表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Si Vis Pacem, Para Bellum  作者: 黒桃姫
黒猫編
58/73

56話:黒猫―大胆な黒猫

 周の格好は、コートだった。それはいい。うん、それはいい。だが、部屋に入り、コートを脱いだ瞬間に、否、脱ごうとした瞬間に気がついた。こいつ、全裸だ。

「まて、脱ぐな」

俺は、コートを脱ごうとする周を止める。そもそも、何故、こいつは、全裸で人の部屋にやってきたのだろうか。その辺は、まったく分からないが、まあ、周の思考は、考えるだけ無駄だ。

「今から、服とって来るから、お前の部屋の鍵を貸せ」

「ほい」

簡単に貸してくれた。さて、こいつは、いったい何が目的だったのか。さっぱり分からないが、周の部屋に向かった。


 周の部屋は、シンプルな雰囲気の普通の部屋だ。俺は、溜息交じりに、適当な服と下着を選び、袋に入れて、部屋に帰る。


 俺の部屋では、周が本を読んでいた。きちんとコートを着ている。俺は、早速衣類を渡す。周は、俺が選んできた衣類を見ながら、頷き、それを着始める。俺は、思わず見入りそうになったが、慌てて、身体の向きを変えて、周のほうを見ないようにする。さて、なんだか、最近、周がおかしくなっているような気がする。いや、おかしいのは俺もか。


 周が、着替えて去っていった。俺は、一息ついて、ベランダで、コーヒーを飲む。すると、「みゃあ」と言う声が聞こえた。そちらを見ると、また白猫だ。それも、また、晴香先輩の。この猫は、俺の部屋に何かを感じて、毎日訪れているのだろうか。いや、そんなわけないか。そして、猫を捕まえようとしたそのとき、猫は、俺をするりと避けて、部屋の中に侵入された。猫は、そのまま、俺のベッドの下に潜り込む。俺は、猫を追ってベッドの下を覗く。しかし、猫はいなくなっていた。


 そして、猫は、いつの間にか、玄関のほうにいる。普通に移動したって無理な速度。この猫は、本当に猫だろうか。溜息交じりに、猫を抱え、六一○号室へ向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ