33話:S事件―一歩進展
昼休みになった。昼食は、朱野宮家の方で作られたものを渡されている。俺とお嬢様用にサンドイッチが用意されていた。護衛が護衛対象とともに食事してもいいものかと、廊下で待機している暇な時間に匡子先輩に聞いたところ、「別に大丈夫」との返答があった。なので、俺は、お嬢様の教室に入り、お嬢様に、サンドイッチと食べることにしたのだ。
「先輩、昼食のサンドイッチです」
「うん、ありがとう。信也さん」
お嬢様は、ちょっと考え事しているようだ。何を考えているのだろうか。
「ん…。あの、信也さん。信也さんって後輩で年下ですよね」
「え、はい。そうですけど」
何を今更言っているのだろうか。
「じゃあ、信也さんって言う呼び方おかしくないですか?年下なら、呼び捨て…は、恥ずかしいので君付けで呼んでも構いませんか?」
「ええ、構いませんよ」
「では、信也君」
顔が少し赤くなったのを感じた。なんだろうか、この感覚は。
「じゃあ、サンドイッチ、一緒に食べよう。信也君」
いつの間にか、敬語ですらなくなっているお嬢様に、俺は、少しドキドキしながら、ともに昼食を採った。そのサンドイッチの味はまったく記憶に残っていない。




