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Si Vis Pacem, Para Bellum  作者: 黒桃姫
学園編
17/73

15話:加奈穂

「え、みやくん?」

みやくんが、なんで生徒会室にいるのだろうか。その横にいるのは、確か高野藍さん。《響乃四大美女》の一角と噂されている女の子。なんでみやくんと一緒に居るのだろうか。

「藍、なにしてるの?」

少し怖い声で、如月さんが、高野さんに聞きます。どうやら如月さんと高野さん、それにみやくんが付けているブレスレットは、同じもののようです。関係性がいまいち見えないけれど、三人は、知り合いらしい。そういえば、如月さんとみやくんは自己紹介から察するに同じクラスみたい。だから、そう考えると高野さんも同じクラスなのかもしれない。

「ちょっとこれを届けにね。彼は荷物持ち係」

「あ、如月さん、か、境出さん。邪魔しているよ」

みやくんは、一度、わたしを加奈穂と呼ぼうとしてから、境出さんと言いなおした。それは即ち、みやくんであるというある意味での証拠だ。でも、名前が思い出せずに戸惑っただけと誤魔化すんだろうな、みやくんなら。それにしても、如月さんの時も少し言いよどんだように感じたのは気のせいかしら。

「んで、境出さん。みやくんって誰?」

会長にそう言われ、わたしは、なんと答えようか迷う。彼がみやくんであるといっても構わない。しかし、すると会長は偽名で入った理由を調べるはず。しかし、みやくんは理由があるから偽名で入っているのであって、ばれたら困るはず。ここは、みやくんに恩を売っておくべきかな。

「えっと。その。なんというか、漣君が幼馴染のみやくんにそっくりだったものでつい」

「そう。アレね。授業中思わず先生をお母さんと言っちゃうような」

「そ、そんな感じです」

実際、授業中に教員をお母さんなんて呼んだことはないので何ともいえないが、まあ、そう思ってくれるならありがたい話なので、合わせておく。

「へぇ、俺に似た幼馴染か。どんな奴だったんだ」

みやくんは、誤魔化すためか、わざとわたしに聞いてくる。

「う~んと、みやくんは、優しかった、かな」

本人の前でものすごく恥ずかしいことを言っている気がするが、気にしたら負けな気がするので、考えないようにしよう。

「そ、そうか」

なにやらみやくんが微妙に照れているような素振りを見せているのがまた、わたしの照れを引き上げる。

「ああ、確かに漣君は優しいですから」

高野さんも同意してウンウンとうなずいている。如月さんも、「まあ、そうね」と言って同意しているようだ。はあ、やっぱりみやくんは、誰にでも優しい。少し心が痛い、かな?

「はぁ、優しいなら、勧誘断らないで生徒会に入ってくれない?」

などと言ったのは無論会長である。訂正、やっぱり、優しくする人としない人がいるみたい。


 その日の生徒会は、そこで解散となり、みやくんも高野さんも如月さんも会長も、みんなバラバラに帰っていった。


 みやくんのことは、考えてもやはりわたしには分からない。

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