第1話 仕事の依頼
《登場人物》
ナオキ・ステッド 記憶消去人
イプシロン 暗殺者
トラヴィス・ペン 脳科学者
クリス・ハーラン 連邦政府情報管理省長官
高度発展した都市では、人間の記憶や映像などを自分の脳内に記憶AIチップを埋めて記憶し、人々は安全な生活をしていた。だが、最近では、《部分的記憶消去》という違法犯罪が多発していた。その犯罪は、特殊な銃で人々の対象の部分的記憶だけを消去するものだった。しかし、唯一、連邦政府に認可された記憶消去人がいた。それがナオキである。
6月11日――都市グライド――情報管理省長官室――
1人の情報管理省の高官が1つの書類を持って、情報管理省長官室に向かって急ぐ。
連邦政府情報管理省長官のクリス・ハーランは、いつも通り最新型のパソコンで、情報管理をしている。すると、部屋のドアからノック音がする。
クリスは、パソコン画面を見ながら対応する。
「入りたまえ」
「失礼します。お忙しいところ申し訳ありません。緊急の用事がありまして……」
「一体、何だね?」
「この書類を読んで頂ければ分かります」
「何?」
その書類の封筒には【機密事項】という印が押されている。
クリスは、高官からその書類を机越しに手渡される。高官は書類をクリスに手渡した後で、高官は長官室から足早に出ていく。クリスは、パソコンの画面から視点を外し、書類の封筒に視点を合わせ封を開けて書類を取り出した。
書類の内容は、【部分的記憶消去で起こる身体障害理論】《トラヴィス・ペン》と書かれており、何十枚以上の書類であった。クリスは、時間をかけて書類を読み進める。
クリスは、書類を読み終え眼鏡を外し、急いで、電話を掛ける。
《あ、もしもし、私だが、これは大変な事だ。すぐに――を消した方がいいな。ああ、できたら、この理論の記憶を消した方がデメリットは少なくて済む……勿論だよ。礼はする。いつも通り前金は振り込んである。後は、頼んだよ。》
クリスは、電話を切り、機密事項の書類を自動シュレッダーにかける。クリスは、電子煙草をくわえながら、情報管理省のビルの窓から見える夜景を眺めていた。
同日――数時間前――首都大学第一研究室――
脳科学者のトラヴィス・ペンは何人ものの助手達と一緒に脳の記憶についての研究を行っている。だが、それも今日が最後だろうと思いながら……
いつも通りに、記憶の研究を進めていると、研究室の入り口から、大学関係者に連れられて一人の男が研究室に入ってきた。
男は、トラヴィスに近づき軽く挨拶をする。
「どうも。お久しぶりです。教授」
「ああ、久しぶりだったな。ここで話すのもなんだ、別のところで話そう」
トラヴィスは、奥の教授室に男を招く。トラヴィスは、男に仕事の話をする。
「ここに呼んだのは、単なる話ではない。依頼の話だ。ある男を消してほしい」
「消して欲しいのは?」
トラヴィスは、白衣のポケットから壱枚の写真をだし指で示した。
「こいつを消して欲しいんだ。情報管理省長官クリス・ハーラン。成功すれば、約束通りの金はくれてやる」
「いいでしょう。でも、良いんですか? 奴を消しても?」
「ああ、構わんよ。しかし、急いでもらいたい。時間がないのでね」
「分かりました」
男は、教授室から出ようとした途中トラヴィスに止められる。
「おい、ちょっと待ってくれ。くれぐれも注意するんだぞ! 頼むぞ。イプシロン……」
「ええ、あなたもね」
男は、軽く相槌を打った後、部屋を出て行く。トラヴィスは、そのまま部屋のパソコンを起動してから、椅子に座り直して、白衣を脱ぎカッターシャツの左袖をまくりプラグをパソコンに接続し、今日、イプシロンと会った記憶をパソコンのデータメモリーに集めて消去を開始した。
トラヴィスは、記憶が消去される少しの時間の間、目をつぶり考え事をするが、時間が経つにつれて自分の頭に何かしらのモヤモヤ感を感じた。 イプシロンに向かって言った言動や渡した写真についての記憶が消されていく証拠に脳裏に映るさっきのイプシロンとの会話が巻き戻され、次第にイプシロンの姿が徐々に黒く消えていく。そして、トラヴィスが集めたデータメモリーの中に入った教授室での一場面の記憶は消えた。
時間はある程度過ぎ、気付いた時には、教授室で話した事イプシロンがここに来て自分の仕事の依頼を承諾した事、自分が『クリス・ハーランを消して欲しい』と暗殺者であるイプシロンに依頼したこと等、忘れていた。
プラグを外し、トラヴィスは少し大きめのため息をついた……
同日――夜――
ナオキはいつも通りの仕事を済ませてゆっくりと睡眠をしていたが、いきなりベッドの隣からコールがかかってきた、着信名には、何も入ってはおらずただダイヤルの番号しか表示されていない。恐らく政府関係者か。
「仕事か……せっかくの睡眠が……」
このまま無視しようかと思ったがせっかくの眠気がコール音のおかげで無駄になってしまったから、仕方なしにコールを取る。
「……はい」
その声は、昔から聞き覚えのある男の声であり、その男は、クリス・ハーランだった。
「あ、もしもし、私だが、これは大変な事だ。すぐにトラヴィスを消した方がいいな」
「トラヴィスって、脳科学者のトラヴィス・ペンですか?」
「ああ、できたら理論の記憶を消した方がデメリットは少なくて済む」
「分かりました。引き受けましょう。情報を送ってください。ああ、依頼金もよろしく」
「勿論だよ。礼はする。いつも通り前金は振り込んである。後は、頼んだよ。」
「……じゃあ、また……」
ナオキは、コールを閉じて、軽いあくびをしながらやれやれとベッドから起き上がり、仕事の準備をゆっくり始める。ぼやきながら……
「……頼むから、寝させてくれぇぇ……」
ナオキはゆっくりながらも準備を済ませ、仕事用のデスクのパソコンと左腕のプラグを接続させて、トラヴィスの情報と現在地のGPSを取得する。情報収集を済ませ、プラグを外し、装備を持って車庫に向かう。車庫のシャッターを開けて中に入る。
車庫には、一台の車があったが、デリックは、奥から一台のバイクに近づいた。
「今回は、このバイクで行くか」
そのバイクは、最新式のスピーダーバイクで人工知能が搭載され、事故は起きず最短目的ルートの検索、自動運転機能が備わっている。ナオキはモーターバイクに跨って、バイクのエンジンバロメーターの下にモニターがあり、ナオキはそのモニターを左手の人差し指で触る。
するとモニターが起動し、現在地から目的地までの最短ルートを検索する。そしてモニターと触れたと同時にエンジンがついた。ナオキは、スピーダーバイクのグリップを握り、トラヴィスの自宅へと向かう……
部分記憶消去人ナオキ・ステッドが再び活躍する話を作ってしまいました。
下手くそなのに……
シリーズ化しちゃおうという安易な発想ですね。ははっ
上記のとおり、下手くそです。超展開になる事はお許しください。
読んでいただけたら幸いです。
基本もできていないかもしれません。それにつきましてはすいませんでした。
「ここはこうしたらいいのでは?」や「もう少し表現を変えてみては?」など、感想や批評をいただけたら幸いです。
宜しくお願いします。