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白鴉。  作者: のり
11/17

逃亡者と追跡者

カラスが走っていた。

全速力で走っていた。

イサミちゃんも走っていた。

勿論彼も全速力で走っていた。

ただカラスの数メートル後方ではあったが。

祭りの観衆が埋め尽くす表通りを駆け抜け、住宅街を縦断し、畑だか田んぼだかのあぜ道を疾走し、段々と前方に竹林が広がっているのが見えてきた。

既に日は落ち、真ん丸なお月様が夜空に浮かんでいる。

かなりの距離を走っていたが、二人の間の間隔が中々縮まらない。

どうにかせねば。

イサミちゃんは必死に打開策を練っていた。

それはカラスも同じであった。

延々走り続けながら、周囲に気を配る。

何か使える物は無いか?だが、そういう時に限って大した物・使える物は皆無に等しかった。

そんなこんなで前方のカラスが竹林に到達しようとしていた。

あのスピードからすると十中八九は竹林に入っていくだろう。

イサミちゃんはマズイと思った。

何がマズイかって、竹林なんかに入られたら、追跡が困難になる可能性が高いからだ。

特定出来てる内はまだいいが、案外竹林というものは気味が悪く、特に夜ともなれば、その不気味加減は数倍に跳ね上がり、人は有りもしない恐怖に怯えてしまうのだ。

そんな中、逃亡者を見失えば、竹林の中に一人きりという、かくも恐ろしい目に合う。

更には隠れていた犯人に不意の反撃を食らって命の危険にさらされる事態も否定できないだろう。

諸々の事情を考慮すると犯人には竹林に逃げ込まれて欲しくないという事になる。

奴を止めなきゃ!イサミちゃんは意を決して、丁度前方に転がっていた拳大の路傍の石を拾って、サイドハンドの要領で投げ付けた。

一か八かである。 ビュッ。 ボグ!

「うぎゃ!」

石は見事カラスの背中に命中した。

カラスはその場に転倒。

悶絶しながら背中に手を伸ばし、地面を右へ左へのた打ち廻った。

イサミちゃんは渾身のガッツポーズを決め、汗を拭いながらカラスに近付いた。

カラスは痛みに苦しみながら、それでも何とか逃げなければと思ったが、やっぱり痛みに耐え切れず、立ち上がることが出来ない。

遂にイサミちゃんはカラスの側に立ち、その様を見下ろした。

「手間掛けさせやがってよ。取って食う訳じゃないんだから逃げるこたぁねーじゃんか。それとも逃げなきゃならねぇ理由でもあるのかな?」

イサミちゃんは、倒れてうんうん唸っているカラスに手を伸ばし、腕を掴もうとした。

「うわっ!」

ドシャッ。

うんうん唸っていた筈のカラスは、突如イサミちゃんの腕を掴むと体を思いっ切り反転させて、引っ張り込む様にして倒した。

グルッと一回転して背中から地面に叩きつけられるイサミちゃん。

カラスは素早くマウントを取りに行くが、イサミちゃんも負けじと上体を捻り起こして抵抗する。

夜の竹林の前で手に汗握る一進一退の攻防が続いたのだった。

「くっ、あんたなんで追っ掛けてくんだよ、むっこの!しつこいんだよ!あだだ、髪掴むな!」


「お前が逃げたから追っ掛けて来たんだ!ちっ、くそっ、むん!あ、あ、いででで!お前こそつねるなよ!」

襟首を掴んだり、髪を引っ張ったり、適当な体の部位をつねったり、押したり、引いたり、とにかく二人は凄まじい戦いを繰り広げた。

イサミちゃんなんかは剣を携えていたが、なぜかそれを使う事はすっかり頭に無く、不毛な取っ組み合いに精を出しているのである。

二人がこの様な取っ組み合いをしているのには訳があった。

というのも、夜の闇の中、喧嘩をすれば必然こうなるのだ。

殴るという行為には瞬間的に力を込める必要があるのだが、渾身の一撃も当たらなければ全くの無意味。

打撃というのはポイントをずらされるだけでその威力を大きく半減されるもので、ましてや一度取っ組み合いに突入してしまうと、蹴りというものは不必要になる。

間合いや体勢の観点から、蹴りを出すのが困難だからだ。

目の利かない夜の闇の中、常に動き回る相手のポイントを的確に捉えて、その上で打撃を当てる事など人間には困難極まる事なのである。

かくして二人は激しく揉み合い、絡み合い、掴み合い、己の力の許す限り全精力を放出して大熱戦を展開した。

対等に渡り合い、二人の実力は均等に思われがちだったが、実はそんな事は無かった。

腕力的にも体力的にも、体が大きなイサミちゃんの方が勝れており、本来なら実力的にイサミちゃんが圧倒していてもおかしくないのである。

ところが実際は二人が互角に渡り合っている。

要するにカラスが予想以上に頑張って、善戦しているのである。

宵闇の竹林の真前、二人は野獣が互いを貪る様にして絡み合いながら地面を転げ廻った。

肉体と肉体。

精神と精神。

飛び散る汗と熱い吐息。

漆黒に包まれた景色とゆらり天に浮かぶ月。

逃亡者と追跡者。

死力を尽くし、エネルギーを爆発させながら、二人の男は己の現実を、魂を激しく鳴動させ、時には共鳴させてぶつけ合った。

二人の価値観が衝突する度に互いが互いを人間として認め合う。

熱く煮えたぎる溶岩の如き二人の熱気は、俺はお前をもっと知りたい!さぁ来い見せてみろ真のお前を!と二人を焚き付けている様であった。

「はぁはぁ・・・やるじゃないか・・・そんなひ弱な体付きでよ・・・はぁはぁ。」


「ぜーぜー・・・マジで俺は何もやってないって・・・さっきのはヤクザに絡まれたから仕方なく応戦しただけだ・・・ぜーぜー。」


「はぁはぁ・・・。そんなこたぁわかってんだよ・・・はぁはぁ。こっちが聞きてぇのはなそーゆーこっちゃねーのよ!」

二人は度々会話を挿みながら戦った。

汗と埃に塗れながら、それでも尚、二人の目はけいけいと光っている。

しかしここにきて、二人の均衡が崩れ始めた。

体力的に劣るカラスが押され始めたのだ。

飲酒している上に、ヤクザ者二人を相手にし、窓ガラスを突き破って外にダイブ。

更にはイサミちゃんとの鬼ごっこ・・・。

とにかくカラスは疲労していた。

その疲労はピークに達し、徐々に身体の動きを鈍くする。

その内にカラスは、もうどうでもよくなってしまった。

今まで、まぁ割りとよく頑張ってみたけど考えてみたら相手の方がデカイんだし、最初から勝てる要素なんて無かったじゃん。

もういいや。

これ以上は無理だし。

抵抗すんのやめよ。

おとなしく捕まるか。

カラスは諦めて、はははっと虚無的に笑い、地面に座り込んでしまった。

イサミちゃんは不思議そうな顔で首を傾げた。

「もーいいや。ホント疲れた。これ以上は無理だよ。限界。マジ超限界。どーせ捕まるんなら早い方がいいや。さ、逮捕してくれよ。」

イサミちゃんはカラスが急に開き直ったので、少し驚いた。

潔いと言えば潔いが、なんか寂しくなってくる。

追われる者、追う者、双方譲れぬ思いがあって、それが為に互いの持てる情熱を精一杯ぶつけ合いながら、少しずつ互いが譲歩していると感じていたイサミちゃんには、この中途半端な状態で二人の魂の交差が唐突に終了してしまうのが残念でならなかった。

カラスはすっごいブルーな感じで力なくヘラヘラ笑う。

イサミちゃんは立ち尽くし、落胆する。

すると、カラスがせつなさを目一杯演出しながら喋り始めた。

「フッ。大体いつもこうさ。俺が何をした訳でもないのに、世間って奴はよってたかって俺を攻撃する。バイト先じゃ泥棒の濡れ衣着せられて、学校じゃ俺が女子更衣室を覗いたといって退学にはなるし、絡んできた酔っ払いが自分で足を滑らせて打ち所悪く死んだ時にゃ俺を殺人罪で捕まえようとするし・・・。好きな子に告白すりゃあ俺に告白された事を苦にその女は自殺するし、その家族は団結して俺を起訴するし、家に帰れば親父に勘当されて追い出されちまうし・・・。何度となく立ち上がるのにその度に次から次にド壺にはまっていく。前向きに生きなきゃって・・・頑張れば頑張る程に状況は悪化していく始末。俺が一体何をしたっていうんだよ・・・。借金だらけでどーしようも無い俺から金をふんだくって楽しいのかよ!女にもてない俺が必死になって彼女を作っちゃいけないのかよ!俺にこれ以上惨めになれっていうのか!?俺はまだまだ甘えてるか?ヤクザ者に絡まれて何とかやっつけて、そしたらなんか知らないが追い掛けられて、背中に石をぶつけられて、逮捕されてさ、何の因果なのよ?ただ一人酒を飲んでただけじゃんかよー。自分にほんのご褒美上げてただけじゃんかよー。なんだよ、畜生。理不尽すぎるよ、バカヤロー・・・・うっぅぅっ。」

カラスは喋りながら泣き始めた。

髪の毛ぐしゃぐしゃ汗だらだら、埃に塗れて真っ黒け。

そんなんで肩を震わせ泣くもんだから、たまらない。

イサミちゃんは何だかカラスが気の毒になってきた。

「もうだめだ・・・。こんな運命俺は受け入れられない・・・俺はそんなに強い人間じゃないもの。俺はそんなに逞しくないもの!その腰の剣で俺を刺してくれ!俺を突き殺してくれよ!こんな理不尽な運命にケリをつけてやる!俺は死ぬんだ!死ぬしかないんだぁぁぁ!うををををーーん!」

カラスはイサミちゃんの腰の剣を指差し、泣き叫んだ。

イサミちゃんはなんだか切羽詰まってるのが忍びなくなったが、目の前で人が死ぬのは嫌なので、とりあえずカラスを落ち着かせる事にした。

「えー・・・あの、気持ちはわかるんだけど、少し落ち着いてくれよ。理不尽なのは確かに分かるんだが、死ぬのは違うんじゃないかな。それって逃げてる事にしかならないし、己の呪われた不運を恨むなら、耐えて生きる事も一つの抵抗だと思うんだ。死んだって解決しない。君が今迄の分、幸せにならなきゃ解決しないと俺は思うな。」

イサミちゃんは言いながらいたたまれなくなってきた。

こんなにこの青年が過酷なしがらみに苦しんでいたとは知らなかったからである。

そして自分が追跡した事で彼を自殺したいとまで言わせる程追い込んでしまったとは・・・。

第一彼は確かに身体的特徴が目撃証言と酷似してはいたが、彼が犯人だという確証は何一つ無い。

話を聞くだけと称しながら、自分は彼を確保しようとした。

容疑者と見立てて、追跡した。

そして話を聞くだけと言いながら、背後から石を投げ付けた。

それが彼を追い込んでしまったとは。

もし彼が犯人に似ているだけの人物で、本当の犯人は今頃のうのうと呑気に色街にでも行って遊んでいるとしたら・・・。

なんとこの青年は不憫な事だろうか。

ただ似ている。

ただそれだけでここまで追い込まれて・・・。

イサミちゃんは何だか気持ちが憂欝になっていった。

何の関係もない幼気な青年を精神的に圧迫している。

その事が今度はイサミちゃん自身をひどく困惑させ、心を苦しめる。

話を聞くだけと言いながら、ここまでの事をしてしまった・・・。

イサミちゃんは自責の念に駆られた。

「俺は・・・その・・・今、君を傷つけた事を深く後悔している。ごめん。そんなつもりじゃ無かったんだけど・・・結果的に君は涙を流して死にたいと言った。本当にごめん。ただ俺は話を聞かせて欲しかっただけなんだ。君に。協力というか、何というか、とにかく話をと思い、それで・・・」

イサミちゃんが言い掛けて言葉を詰まらせた。

見ればイサミちゃんが泣いている。

涙の雫を一つ二つと落として、鼻を赤くしているのだ。

それを見たカラスも殊の外テカテカと頬を濡らしていた。

「・・・もう、いいよ。あんたは悪くないよ。泣くこと無いって・・・。俺、あんたみたいに他人の為に泣いてくれる人が側にいてくんなかったから・・・。こっちの方こそ見苦しい真似ごめん。そしてありがとう。」

イサミちゃんは泣きながら、カラスの顔を見た。

カラスは涙に顔をクチャクチャに歪ませていた。

何というかよく分からない雰囲気になっていた。

なんか展開がムチャクチャになりつつあった。

「すまねぇ・・・。でもなんか・・・今日の一連の自分の行動を鑑みたら情けなくなって。石ぶつけて、ホントにごめんよ。」


「大丈夫だよ。勘違いされんのは慣れてるし。むしろ俺こそ、あんたに変な負い目感じさせちまって・・・」


「そ、そんなことねぇって!バッカヤロ!き、気にすんなよな、ンな事はよ、な?」


「そうかな・・・。」


「おぅ当たり前だ!なんか色々あったけどよ俺は別に何とも思ってねぇからさ。とりあえず死ぬなんて言わないで、頑張って生きようぜ。約束だぜ?」


「あぁ、そうだね。ありがとう、頑張って生きるよ。」


「よし、それでいい!あ〜なんか気持ちが晴れたなぁ〜。じゃあ俺は行くよ。」


「うん、そろそろ俺も行こうかな。会えて良かったよ。」


「ああ。俺もだ。」

などと互いを励まし合い、二人は共に涙を拭って笑った。

若干のホモ臭が漂う青春学園モノのノリである。勘弁してくれ。

「あ、そうだ。」

カラスに背を向け、歩み出そうとしていたイサミちゃんが唐突な声を発して振り向いた。

「え?何?」


「いやさ、危うく忘れそうになったんだけどよ、ちょいと話を聞かせてくんねーかな?いや、何、疑ってる訳じゃねーんだけどね。まーなんつーか逆にね、再確認っていう意味合いでさ。」

イサミちゃんのセリフにカラスは表情を険しくして答えた。

「あのさ、今さ、折角綺麗に終わろうとしてたよね?お互いがさ、なんつーか人には分かり得ない部分を共有して共に涙をながしてさ。コレって一番いい終わり方だったじゃない?でもさ、君はさ、そーやって治まりかけた状況という名の湖面に平気で石を投げるんだね。わざわざ濁すんだね。そーやってさ。何?さっきはさ、同情してくれてさ、泣いてくれたけど芝居だった訳?俺は味方だよ、なんて安心させておいてからいきなり自分の利を押し通すんだ。ふーん。」


「いやいや、そんなつもりねぇけど仕事なんだよ頼むよ。ね?」


「いいよ。わかったよ。何でも聞けよ。答えるから。君のその重要な仕事手伝ってやるよ。折角俺みたいな社会の鼻糞の為に泣いてくれたんだもの当然だよ。さぁ聞けよ。仕事なんだろ?俺みたいなクズが君の出世の為に犠牲になって役立つならいくらでも犠牲になって散ってやるさ。そーやって君は俺の屍や俺の謝意的道義心を踏み越えて出世するんだね。でもいいよ。許すよ。ちっとも恨まない。君は俺の為に泣いてくれたしね。例え嘘でも芝居でも俺に生きろといってくれたからね。利用しなよ。好きなだけ利用しなよ。俺の孤独な心の隙間に付け入って、親切ぶって裏切ってさ、そーやって出世したいんだろ?やれよ。壊せよ。君のおかげでギリギリで踏み止まった俺の心だから、好きなだけ崩壊させればいいよ。これ以上の無い惨めな気持ちに陥れろよ。さぁどうした?早く俺の心を殺せよ。俺の心を刺し殺して出世の道具に使えよ!」


「えぇッ・・・。」

カラスの手の平を返すような厭らしい反論にイサミちゃんは戸惑った。

困惑し絶句するイサミちゃんを見て、カラスはニタァッと笑う。

「ははは。出来ないでしょう。貴方には出来ないでしょうね。貴方は優しい人だもの。職務とはいえ俺みたいな奴を自殺に追い込んで、罪悪感を抱えて生きる事ないじゃん。それとも貴方は自分を押し殺して仕事に邁進するのですか?それって悲しいよね。悲しい現代人の価値観だよね。そうせねばならないと自分を慰めてるに過ぎないよね。空虚すぎる。空っぽだ。物質中心化した依存的社会に毒されているよ。もっと見つめ直してみてください。貴方自身を。貴方が生きる、貴方が貴方らしく生きるという事の意味を。」

イサミちゃんは俯き、黙ってカラスの言葉に耳を傾けた。

なんて事だ。

実際自分は流されて生きているだけじゃないか。

ローン、仕事、俗世間、その他諸々・・・。

取り巻く全てに翻弄されて、いつしか自分らしく信念のもと生きられなくなっている。

イサミちゃんはキッと唇を噛んだ。

「分かってる・・・分かってるけど・・・俺は・・・俺は・・・。」


「フッ。もういいって。言うなよ。あんたの気持ちよく分かるからさ。俺はあんたを信じるよ、あんたが自分らしく生きてくれる事をね。」

カラスはニコリと微笑んでイサミちゃんの肩を叩いた。

イサミちゃんは静かに目を閉じ、そしてゆっくり顔を上げるとその目を見開き、言った。

「ありがとよ。なんかモヤモヤが取れた気がするぜ!!よし、明日からまた張り切って捜査するか。俺はてっきり、今追ってる事件の容疑者が君なんじゃねぇかと疑っていたが・・・違う気がする。君は心の温かい人だ。とても冷酷非道の殺人鬼なんかには見えない!本当に君と出会えて良かったよ。君と出会えなかったら・・・俺はちっぽけな社会の下僕になっているところだった。マジでありがとな。」


「それは俺も同じだよ。あんたは俺を、そして俺はあんたを助けたんだ。互いが抱いていた、社会に影響され増幅していった胸中の根本的問題意識を捉えて指摘し合い、現代社会からの精神的脱却を図る意志を持つ事が出来た。ていうか嬉しいね俺はさ。うん。」


「俺も嬉しいぜ。」



二人は薄く笑って、握手をした。


互いが互いの手を堅く握り、あたかもそこに友情が芽生えた様にすらみえた。


カラスは握手を終え、くるりと背を向けた。


イサミちゃんもカラスに背を向ける。


そして二人は静かに歩み出した。


3歩程歩いたところで同時に足を止める。



立ち止まった野郎二人は偶然にも声を揃わせて言った。





「またいつか会おう。」





満月を浮かべた夏の夜空に、二人の熱い思いが煌めいた。


窮地を脱したカラスがニヤリと笑う。

皮肉にも熱い思いなどイサミちゃんしか抱えていなかったのだ。

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