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その1

俺が生まれたのはいつだったか記憶にはない。


沢山の兄妹たちと一緒に硬い寝床でゆらゆらと揺られ、いつのまにか冷たい水の中へ移された。


両親の顔は覚えていない。俺らの世界はそういうものだから特にさみしいという気持ちはない。


ある日小さな尾ビレをゆらゆらとゆらして遊んでいたら、上から大きな影があらわれて俺は他の仲間たちと一緒にぬるくせまい世界へ移された。


俺たちの世話をしているであろう人間とやらの声が聞こえてきた。


「ここらへんのやつは夏祭りで売りさばくか!

どうせ長生きしないやつらだしなぁ」


おいおい、長生きしないとか冗談じゃない!

どうにか逃げたいものだが、そんなことはできないことは知っている。人間どもの悪趣味な暑い日の遊びである「金魚掬い」なるものへの生贄になるのだろう。


兄妹たちやどこぞの親から生まれたものたちも、きっとこうやって短い命を散らしていくのだろう。


願わくば、気まぐれに俺を救ってくれた人間が今よりもマシな場所へ連れていき、少しでも生きながらえさせてくれるといいのだが…。


そんな淡い夢を抱きながら乱暴に揺れる水の中で眠りについた。

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