最高の別れ方を2人でしよう
2人の少女が別れるまでの話。
「嬉しい、はずなのに」
呟き、イヤホンを両耳につける。
アプリを起動する。
そして、私の好きな歌手の曲を流す。
嬉しい、はずなんだ。
うるさい人がいないから。
なのに、何だろう、この感情は。
私は嫌われてしまったのだろう。
そう思い、ため息が出る。
片耳、イヤホンを外してみる。
でも、誰も来ない。
1月20日の放課後。
今日から、私は1人で曲を聴くことになってしまった。
昨日、私と、あの子は別々の高校に行きたいことがわかってしまったから。
『やっぱ高校は地元の進学校だよね』
微笑んで、言ってきた。
『あの高校は偏差値低いから不良が多そうだし、やっぱり、行くなら偏差値がそこそこ高くて不良もいない、進学校の高校だよね、地元の』
私は、返せない。
だって、私は。
『私たちなら合格できるよ、それなりに頭良いし、教科書を1回読んだら忘れないっていう天才じゃないけど、まあ、高校だし? 大学だったら難易度上がるけど』
嘘を吐いたらいけないから、嘘のままじゃいけないから、私は、
『ごめん、隣の市の進学校に行く。
学びたいコースが、あるから』
偏差値は、同じくらい。
けど、あの高校には理数科を特に勉強するコースがある。
地元の高校には、英語コースはあるけど、理数科はない。
放課後、いつものように、2人で曲を聴いてたときだった。
あの子が、うるさく構ってきて。
私が、うるさそうにしながらも、受け入れて。
イヤホンを2人で、私は右耳、彼女は左耳。
『ごめんね』
そう言って、外す。
彼女も、つられて外す。
そうして、2人の関係は終わった、終わってしまった。
「まさか、あの子が好きだったなんて」
聴きながら、口にする。
恋愛じゃない、ヒトとして、好きだった。
うるさい奴って迷惑がっていたけど。
まあ、いいや、仕方ないし。
今日から、再来月の卒業式まで、1人で聴こう。
「ちょっとー! 私は左耳なんだけどー!?」
「!?」
振り向く。
「聴かせてよっ、いつものように!」
いつもの笑顔で、彼女は言ってきた。
「な、なんで。
別々の高校に行くから、別れるって」
混乱しながら、質問する。
「私は貴女が好きだから、卒業するまではずっと一緒だよ。そして、卒業式に告白して、正式にカップルになるのですっ」
「いや、それは困る」
そういう目で見てないし。
『卒業式に最高の別れ方をしよう、仲良くして、それなりに』
右見は私、左耳は彼女。
聴きながら、私は思い、微笑んた。
ありがとうございました。




