第40話 日常の魔法
自分が救世主の子供だったと知らされた桜子だ。
その影響の大きさを改めて知らされる。
そんなとき、過去の約束が持ち上がる。
日常の魔法
桜子が父親と離れて沈んでいる。
父親が『救世主だ』といううれしさ。
それに反して、会えない寂しさだ。
母親から『父親はもう人間に関らない』と教えられた。
悟朗は自分が約束を破ったことに責任を感じている。
しかし、あの場では収集をつけるため言わざるを得なかった。
きっかけは長老の発言だ。
けれども、長老を責めるわけにはいかない。
里美もそんな桜子を気遣った。
桜子を介して『救世主に会おう』という人の多さに驚く里美。
悟朗があの日、こっそり教えてくれた。
そのあと、『絶対に秘密だ』と言った意味がわかる。
狼家しかいなかった場の発言。
それなのに瞬く間に広がった噂。
今では専門の門番を置いて門前払いするしかない状態だった。
桜子は父親と生活していたことを思い出す。
気づいたことがたくさん思い出された。
雅雄は、魔法というものを特別視しない。
それは、魔法というものを構えずに使うことだ。
自分達の魔法が世間からずれて見えていた。
それは、早くから知っている。
特に属性関連だ。
普通は火と水は同時に使えない。
桜子はそれを簡単に使っていた。
お湯を沸かすのも簡単だ。
そういうことを一つ一つ思い出していた。
桜子に面会人が来た。
『誰か?』と思っていると、あの事件の時の署長さんだ。
魔法の指導の催促にきた。
桜子は約束していたことを思い出す。
そして、その場で返事をして署長と外出した。
里美義母さんに連絡すると『一緒に行く』という。
二人は署長に連れられて警察に向かった。
里美は二月経つのにいまだに『母さん』といわれることに慣れていない。
だが、一年も経たないうちに本当の母親になるのは確定だった。
おなかに悟朗の子供がいるからだ。
うれしそうにおなかに手をやるポーズはすでに母親だった。
警察に着くと幹部のものは連絡を受けているらしい。
すでに、部屋にそろっていた。
いずれも、桜子が『救世主の娘だ』と知っている。
そのため、みんな真剣だ。
一応、水が扱えるものばかり揃えられていた。
中には『その上司』という者もいる。
その者は火しか扱えないということだった。
まず水の玉を手に集めることを教える。
ほぼ全員、誘導を知っていたのでそこまでは出来た。
その時点で全員、魔法をそのような『固定する』ことに驚く。
そもそも、そういう発想がない。
その固定された玉を大きくするイメージを持たせる。
慣れない者はそこで玉が壊れてしまう。
数人が完成させた。
それをみてさらに完成させるものが多い。
やがて、水の玉を作ったもの全員が出来た。
さすがに、警察をやるものだ。
みんな勘がいい。
そして、『それが消火のための玉だ』と教えた。
勘のいいものは作った時点で気づいている。
大半のものは言われて気づく始末だ。
桜子はその魔法を消す。
そして、雷の魔法を出す。
大半の警官は驚いていた。
そして、説明する。
このままでは相手に火傷を負わせてしまう。
5センチの小さな玉だ。
そんなに威力があるとは思えないものばかりだ。
すると、水と同じように大きくする。
感心してみているものばかりだ。
玉は40センチほどになる。
説明を続ける。
今度の玉なら相手を気絶させるだけだと説明した。
その意味が会場に広まっていくのに時間がかかった。
しかし、意味が知れると驚愕の声があがる。
いままで、魔法が強力すぎて使えないこともあった。
それが、『大きくすれば仕えるようになる』という意味だ。
警察の署長は魔法の希薄概念を教えられたことに驚く。
犯人逮捕において抵抗するものを攻撃するときどうしても強力な魔法を使う。
しかし、希薄な魔法なら抵抗を奪うだけの使い方もできる。
そのことを知った。
言われてみれば大したことではない。
だが、その発想の自由さに驚いた。
そして、その日の講義は終わった。
署長は桜子に『続けて講義をして欲しい』と頼んだ。
警察からの依頼に断る理由は無い。
そこで桜子は引き受ける。
それから、毎月1回づつ講義が行われることになった。
始めは幹部又は候補のものばかりだ。
そのうち、下のものでも興味あるものは参加してよくなった。
解禁したとたん会場をあふれてしまう。
あわてた署長はくじ引きで決めるようにした。
ただし、本来勉強する幹部は無条件参加資格だ。
拒否するものはいない。
そのため、僅かな一般警官の参加だ。
会場が少し大きくなって多めに入れるようになった。
そして、驚くべきことが発表される。
それを聞いた警官は信じられない気持ちだった。
いままで、当たり前と思われていた属性というものだ。
それは、本人の『イメージ一つ』という
強い魔法は無理だ。
けれども、弱い魔法なら『誰でも使える』という。
半信半疑の警察官。
模範に前に出て実演することになった。
本人は水しか使えない。
最初の講義から出ているので桜子に心酔している。
その桜子が『雷を使える』という。
そして、目を合わせて雷のイメージを教えられた。
美人に見つめられた警官はボーとしている。
そして言われたようにイメージを持つ。
そして、水を作るように魔法を繰り出した。
そこに在ったのは雷の玉だ。
驚く警官達。
署長はその事実に驚きそして全員に口止めをする。
この事実を世間一般に教えればなにが起こるか。
それは、想像できない。
だが、警官全員が雷による逮捕術を覚える。
それはありがたいことだ。
署長は桜子に『この件の公表をしないこと』をお願いする。
そして、警官全員に指導を頼んだ。
桜子はこんな一般的なことも知らない事実に驚くことになる。
自分達が育った環境がいかに恵まれていたかを改めて知った。
その後、月二回に増えた講義は半年続く。
ほぼ全部の警官に教えた桜子だ。
警官の間ではアイドルになっていた。
講義がなくなってがっかりするものが多かった。
権力志向はない桜子だが回りは桜子を利用しようと
よってくる。
そんな大人たちを嫌い日常に逃避する。
次回最終話、日常の幸せ