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桜子伝  作者: いかすみ
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第28話 悟朗の決断

襲撃に失敗したボス。

手を変えて、新たなる攻撃をかける。

それに対して反撃の手を封じられている悟朗。


悟朗の決断


警察署で犯行を犯したボス。

彼女は騒ぐ署員にまぎれて逃げていた。

痕跡を消そうとして追いかけた。

すると偶然、杏を見かけたからだ。

そのため、強行した。

まずいタイミングだが一気に蹴りをつけようとする。

警官を乗っ取り、攻撃した。

けれども、失敗だ。

至近距離の60センチ級の火の玉。

それを防ぐシールドがあるとは思わなかった。

さすがは英雄だ。


やはり、作戦を急ぎすぎた。

しかし、予定通り痕跡の三人は殺してきた。

だから、大丈夫だろう。

救急医療車も来なかった。

それは死んだからだ。

これで、しばらく時間が稼げる。

しかし、里美一人に三人も使わなければならなかった。

それが、予想外だ。

二人で十分と思った。

その楽観が失敗だ。

二人の不意打ち。

それに冷静に対応されたのが意外だ。

こんな街中でさえ油断していなかった。


おまけに、攻撃直後に二人が原因不明で倒れてしまう。

準備していた、今回でさえ失敗した。

『次はない』と思ったから強行。

野次馬にまぎれて、別の男を使って至近距離からの攻撃だ。

さすがに、防御不能だった。

三人目の洗脳に大きな力を使った。

そのため、痕跡が残ってしまう。

一番の失敗は三人の中の誰だったのか覚えてない。

道具の顔を覚えていないボスだった。


わからないから三人とも始末した。

おまけに警察署の攻撃も散々だった。

警官を自殺させる前に英雄に気絶させられてしまう。

もちろん警官に痕跡が残る。

けれども、一人なら方向しかわからない。

だが、あの庇った一瞬でわかった。

英雄は杏に惚れている。


調べて見ると、英雄は杏に対して思いが強いようだ。

学長に推薦した背景。

あの一瞬の行動。

子供より先に庇ったとこを見ると不倫だ。

『これを公表して杏の評判を落としてやろう』と考えた。

こうして、ボスはゴシップ記事で有名な出版社に向かった。

三日後に発表された雑誌に黒国の国民は衝撃を受ける。

そして、『英雄も人の子だ』という噂が立った。

その噂に大きく反応した者がいた。


悟朗は理事会の呼び出しを受ける。

そして、杏も呼ばれていた。

理事会としては噂の真偽。

それより、そのような噂が立つことが問題だ。

そして、理事会が独自に調べていく。

警察署の前で待ち合わせたことまで確認されていた。

その後の警察署内の記事の証明に関して情報が入手出来ない。

記事では、『人目を避けて抱き合っていた』という。

しかし、署員に確認しても言葉を濁すのみ。

『なにかある』と勘ぐるしかなかった。

もっと少数の場なら緘口令の可能性を考えたかもしれない。

まさか、警察署全部に緘口令が出されたとは考えもしなかった。

そして、出た結論は『理事会で問いただす』と言うことだ。


呼ばれた悟朗。

すでに何故呼ばれているかは承知だ。

これだけ噂になれば嫌が応でも判る。

心配そうに付いて来た里美を残して会場に入っていく。

すでに杏は来ていた。


杏としてはその日、一日中家に篭って子供の相手をしていた。

久しぶりの休みでのんびりしていたので証人はいない。

いくら否定しても信用されない。

『杏を見た』という人の方が多いからだ。

里美に確認しても歯切れがよくない。

その態度に姉としてひらめくものはある。

けれども、相手は英雄だ。

報われないのはわかっている。

有力者の承認でもないかぎり結婚は無理だった。

英雄が相手では、一個人の裁量では結婚もままならないからだ。


悟朗が会場に入ると下品な笑いをするものがいる。

杏のことで恥をかかされた男達だ。

あの時の杏の庇い方。

それが半端ではなかった。

それは、『記事を裏付けている』と思っている。

そして、女性の理事達も渋い顔をしていた。

記事の中に、『悟朗が近づく女性をもてあそんでいる』と書かれていたからだ。

一緒に視察にいくこともある。

そんな時、女性職員はみんな悟朗に秋波を送っている。

それを見ているからなおさらだ。

いつまでも再婚しないことがそんな状況を作っていた。


司会を頼まれた男が質問する。

「悟朗さん、あなたは警察署で女性を抱いていたという告発を受けてます。

 間違いありませんか」

「あれは・・・」

思い出していた。

とっさに桜子より里美の方を庇って抱き寄せていた。

自分でもよくわからな行動だ。

しかし、状況を説明は出来なかった。

緘口令2級だ。

たとえこの場でもいう訳にはいかない。

それほどのルールだ。

発言した事が判れば投獄だった。

そして、緘口令が出されたことも言ってはいけない。

それほどの秘密が行われたことを公表につながるからだ。


「間違いありませんか」

「・・・・」

黙るしかなかった。

黙っていることは事実上の肯定に繋がる。

それは承知だった。

「その女性とどういう関係ですか」

関係を問われた。


簡単に否定すれば済むことだった。

だが思い出していた。

職場で、彼女が『重傷』と聞いた時のこと。

桜子があの瀕死の容疑者を治したこと。

それを考えれば結論は一つ。

事実、彼女は事実重傷だった。

そして、彼女が『重傷』と聞いたときの衝撃。

こんな、立場ではいつ彼女を失うか判らない。

現に、彼女はテロの標的になっていた。

それなら、後悔するような発言はしたくなかった。


「恋人です」

会場は一気にざわつく。

「間違いありませんか」

司会は確認してくる。

悟朗は答えた。

「プロポーズも考えています」

ますます会場はざわついていた。

「不謹慎だと思いませんか」

「いいえ、今この場でもしたいです」

すると、例の理事が催促をする。

「そんなにしたいならしたまえ。理事会で公認しよう」

賛同する理事たちがまばらに拍手する。

それは英雄の失墜を意味するので歓迎だった。

「ありがとうございます」

そう言って、会場を後にする。


みんなは『どこにいくのか』と不思議がる。

杏なら目の前にいるではないか。

そして、里美の手を引いて戻る悟朗。

なにがあるのかと、わからない里美。


「里美さん、結婚してくれないか。本気だ、そして理事会も承認してくれた」

里美としては雲の上の存在だった悟朗だ。

『人知れず恋していても結ばれるわけない』と思っていた。

だけど、『近くに居られるだけでいい』と思っていたのだ。

それが、突然こんな場所でプロポーズに驚いた。


会場のほとんどのものはすぐに気付く。

里美を見て記事の相手は里美だとわかった。

だから、もう記事のことはどうでも良い。

今目の前で起きている前代未聞の事態に興味がある。

「あのう、里美嬢返事はどうされました」

無粋な司会が返事を促す。

里美はもう真っ赤だ。

姉の杏の方を見る。

杏は頷いていた。

まさか、こんな形の理事承認が得られとは考えてもいない。


里美は悟朗の方を見て返事をした。

「はい」

蚊の鳴くような声だ。

しかし、高感度マイクはしっかり捕らえて会場に流す。

女性の理事の一人が拍手をする。

それは、徐々に広がっていく。

そして、会場のほとんどの理事が拍手していた。

その頃には二人はしっかり抱き合っていた。



予想外の結果にボスは動動くのか?

次回、前哨


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