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桜子伝  作者: いかすみ
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外伝 杏2

子供を助けるためにその身を捧げる杏。

その行為は更なる犠牲を捧げることに繋がる。

そして、桜子との出会い。


杏2


金持ちの男の提案に乗った杏。

だが初めての経験だ。

真っ暗な部屋のベッドの上。

そこで、ふるえていた。

ただ、男は終始優しかった。

それが救いだ。

あの場の発言との違いに驚く。

『もっと乱暴に扱われる』と思っていたからだ。

おまけに体つきが若々しかった。

迎えに来た情報屋は何も言わない。

そして、部屋から連れ出してくれた。

何も言わない。

けれども、そこに優しさを感じた。


その相手からクレームがあった。

しかし、杏は間違いなくベッドにいた。

そのため、却下される。

『来なかったのが悪い』という話だ。

その金持ちは、たまたま、泥棒に入られて縛られていた。

杏には不思議なことだ。

『杏を抱いたのは一体誰だ』ということになる。

ひょっとして、『情報屋ではないか』と疑った。

しかし、情報屋は『天地神明に誓って自分ではない』と否定した。

杏は『そこまで否定しなくても』という思いだ。

赤の他人より『知っている人に』という気持ちだった。

情報屋はなにか隠している。

けれども、なにも話してくれなかった。

それからは杏が担当することが増えた。

相手からの指定だ。

金が無い疾風としては、その提案はうれしかった。

杏の行為で三十人以上が救われた。

節約したお金でそれ以上のものが救われる。

金をかけた奴隷の回収はそれほど難しい。

だから、人身売買の原価で救うのだ。


疾風の資金源は今では本部からのお金と情報屋の金。

『宝くじ』という公開くじによるものがほとんどだ。

助けられた子供の親が寄付をしてくれることもある。

誘拐団を襲う手は禁止されていた。

誘拐団との協定だった。

『犯罪者との協定』というと不自然だ。

けれども、子供の命を人質にされていた。

誘拐団にとって、疾風もお客だ。

疾風にとって、屈辱の協定だった。


疾風の本部から提案がなされた。

誘拐団に手が出せない。

それなら『買い手を叩く』という案だ。

『モデルケースを黒国でやって欲しい』という提案。

黒国が顧客を一番多く把握していたからだ。

そのためには『殺し屋のようなものがいる』という。

『やるものがいないならあきらめる』という話だ。

杏は立候補した。

意外にも「お姉ちゃんがやるなら私も」といって里美が立った。

いたちごっこでは杏がいくら体を張っても無駄だ。

それを止める手段があるなら『身を堕としても』と決断

誘拐そのものが無くなるためならと考えた。



それから二日後、

再び幹部の男が現れた。

そして、二日特訓をしてくれる。

体裁き、ナイフの使い方、魔法と一通りだ。

そして、最後に言われた言葉が「ありがとう」だった。


それからは名前を名乗ることになる。

堂々と「杏の里」という名前だ。

疑問に思った。

『あまりに堂々すぎるのではないかと』

すると幹部の男は答えた。

堂々すぎるので疑われない。

そして、陽動に動くものがいる。

そのことで、疑いがそらされるという。

つまるところ、『看板を背負って堂々とやりなさい』ということらしい。

『フォローは組織が行う』ということだった。


そして、活動を開始する。

一人目をやったとき気付く。

『自分はもう帰れない世界に踏み込んだ』と感じた。

でもそのことに後悔はしない。

目の前の子供はもっと悲惨な状態だった。

これだけのことをやっていた男なら『殺されて当然』と考えた。

情報屋は殺されて当然な者のみを探してきていた。

それが、杏たちにとって救いだ。

後で知ったのだが、『子供は綺麗に治って親に帰された』という。

『あの子達を救うことが出来てよかった』と感謝した。


三件目が終わって騒がれるようになってきた。

二人に監視がついた。

情報屋から『待つように』と言われた。

すると、別のところで「杏の里」が仕事をしたという噂が流れる。

二人を見張っていたものは離れていく。

そして活動再会。


しかし、その三件だけだ。

後はほとんどが脅しだけで事が進んでいく。

噂はどんどん広がっていった。

実際手がけたものより二十倍の被害者が出ている勘定だ。

浮浪者の死体などが見つかると真っ黒こげにして「杏の里」の犯行にした。

情報だけでそんなに殺しているわけではない。

しかし、効果は高かった。


子供を買うものは急速にいなくなる。

それどころか。

二人が、屋敷に雇われて名乗るだけでその家は子供を手放した。

行動を開始前に解決する。

情報屋のさらわれた子供のいる屋敷のリスト。

そのリストは次々と塗りつぶされた。

反面、屋敷に入って命を狙われることもあった。

身を守るため仕方なく殺した。

依頼より、身を守るための殺人だ。

恐ろしいのはだんだん気持ちがすさんできたこと。

感情といものが無くなっていくのがわかった。


最後に残ったのが意外にも狼家だった。

その名前を見たとき胸の奥が痛んだ。

あの子がいた家だ。

『もう、忘れてしまっただろう』と思うと悲しかった。

たとえ、忘れてなくても戻れない体だ。

狼家は求人をしていない。

それで、入ることが出来なかった。


そんな時、刺客組織が求人をしていた。

『目的は狼家』という情報。

『刺客なら入れる』というおかしな求人だ。

それに乗って潜入をすることにした。

話を聞くと『仲間を大量に殺されたから仕返しをしたい』という。

館の主が、依頼主だというのだ。

ターゲットは『子供を送ってくる母親だ』という。

血にまみれた手だ。

目的に近づくためその話を受けた。

契約書をかわす。

そして、使用人として無事入り込んだ。

目的の子供を捜す。

それと並行に刺客の仕事をする。


目的の子は逃がした。

それで用は無い。

けれども、契約なので仕事を続ける。

刺客たちの目標は信じられない女だった。

杏の知り合いの桜姉さんだった。

おまけに魔法力がとんでもなく高い。

組織に契約義務違反を抗議して契約の解除を申し込んだ。

しかし、刺客組織は標的の変更を指示してきた。

可愛い女の子の方、桜子だ。

子供を助けるために入った。

そして、子供に手を掛けることになるとは思わなかった。


一度は断ろうとした。

目標が変わったからだ。

しかし、契約破棄は問題があった。

それで、やるしかない。

自分達のことを洗いざらい警察に届けるというのだ。

いつのまにか、「杏の里」のことが調べられていた。

どうやら、独自の調査で杏たちを調べたようだ。

そして、疾風から新たなる指示が来た。

おかしなことばかり起こる仕事だった。

そして、経験したのは信じられないことばかり。

桜子様を殺そうと考えていた。

それなのに、助けられてばかりだ。

おまけに、忠志様は子供のときの約束を覚えていた。

これで、『死んでも食いは無い』と思った。



桜子とであった杏。

新たなる人生を歩む。

しかし、過去の汚点がある。

幸せになれるのか、次回杏最終話


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