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桜子伝  作者: いかすみ
22/48

第21話 蠍家

今回は他の家がどういういきさつで動いているのか。

蠍家を例に説明します。

他の家も似たような背景です。


蠍家


話は少し戻る。


魔王の噂に街中が暴動に巻き込まれた。

そのとき、さそり 利生としおの両親は暴動を抑えようと動いた。

街の実力者として我慢できなかったからだ。

苦労を共にしてきた人を見捨てられなかった。

だが、自暴自棄になった人たちの前に説得は無駄だ。

治安維持のため動き出した警察軍との戦闘中流玉にあたり倒れた。


残された利生は土の魔法で門まで覆う。

そして、誰も入られないようにして守った。

蠍家の屋敷の中には住み込みで多くの従業員が住んでいる。

それらのものを守るため街を見捨てるしかなかった。

生まれたばかりの子供も大事だ。

そして暴動が終わったとき初めて両親の死を知った。

『なぜあの時止めなかったのか』と悔やんだ。

けれども、時は遅かった。

『救世主の噂がもう少し早ければ』と何度も呟いた。


そんな主人を見る妻の芳美。

彼女は生まれたばかりの赤ん坊を抱いていた。

そして、ただ時間の過ぎるのを待つしかない。

主人の気持ちが癒えるそのときまで。

芳美の実家から連絡が入る。

救世主が魔王を倒す仲間を呼んでいると連絡だ。

遠い親戚の狼家からの連絡だった。

芳美は『主人の生きがいに』とその旨を主人に連絡する。


利生はその連絡を受けるといきり立つ。

そして、芳美に後を任せて旅立った。

見事選抜に残り魔王との決戦に残ることになる。

魔王との決戦場に乗り込んだ利生。

彼はその被害のひどさに驚く。

一番前方にある二人の死体は放送で見た。

しかし、それ以外に散らばる死体の山。

報道による警告を確かめようとして来た人たちだ。

いろいろな防護服を着たものもいた。

顔は見えないが老衰で死んでいるのだろう。

救世主はこんなところに侵入していく。

それを思うと自分が両親の死で立ち止まっていたことが恥ずかしくなった。

利生の意識が変ったときだ。

両親の意志をついで『街と国の発展に力を注ごう』と考えた。


救世主と魔王の戦いは直接見れなかった。

けれども凄惨の一言だ。

アイテムで上昇していた魔力。

それがみるみる吸い取られていく。

六箇所の魔方陣の一箇所でさえ信じられない消耗だ。

破壊力に換算すれば一国が滅ぶぐらいだ。

現場ではどれほどの魔力が消費されているのか。

それを考えるだけで恐ろしくなる。


なんとか魔王を封じることが出来た。

そういう連絡が入った。

そのときには利生の残存魔力はのこりわずかだ。

すぐにアイテムが補充を開始してくれる。

けれども、現場の救世主自身、呆然としていた。

そして、救世主の魔法残量はほとんど残っていない。

最初見たときは無限に思えた魔力。

それが、人間並みになっていた。

今回の戦いがいかにぎりぎりの戦いだったか。

それを、物語っていた。


利生は尊敬の眼差しで救世主を見る。

だが救世主は驕ることもない。

ただ『もう二度とブラックバースト(魔王)を出現させないで欲しい』と

いうだけだ。

そして『後は任せた』と言わんばかりに退場していく。

アイテムを持つ六人には見える。

けれども、他のものからは姿を消したようだ。

そして離れていく。

『待って欲しい』と利生が動き出そうとする。

しかし、一般の人の波に押されて動けない。

そして見失った。

もし住む所が無いようなら『誘おう』と思っていた。

しかし、それは六人共通の思いのようだった。

みんな自分のところで静養していただこうと考えている。

救世主の様子が『ただ事ではない』と感じていたからだ。


各街の復興を進め始めたとき、狼悟朗から連絡が入った。

『救世主は用事が済んだから元の住処に戻った』という。

『なぜ狼家に?』と考えた。

そのとき、『はっ』と思い当たるものがあった。

たしか、妹がいた。

あの妹は『美人だった』と思い出す。

それでは、救世主は『狼家に盗られたのか』と思った。

利生には対抗するだけの身内がいない。

その点が残念だった。



それから十年。

ひたすら、荒れた国の復興に力をそそぐ。

でも食料そのものが足りない。

金も不足していた。

『疾風』という情報屋が助けてくれている。

そのため最悪の状態は逃れた。

どこからか、食料を調達してくる謎の組織だ。

そのため少ない食料の配分に不満がすくなかった。


子供の誘拐が多いのも気に入らない。

けれども、『犯人は組織的』としかつかめなかった。

情報屋を使い、救世主と『桜』という妹の消息を探る。

狼家の周辺を探ってはいた。

けれども、あの妹の消息は不明のままだ。

それどころか狼家が内紛のうえ分解寸前だった。

どうしようかと考えていた。

英雄の一人として助ける方法もある。

そんなとき、悟朗が動いた。

傍目には一日の旅行だ。

だが、それを境に急に悟朗の周辺があわただしくなった。


『噂の「杏の里」が動いた』という。

二箇所の情報屋が同じ情報をもたらした。

まず間違いはない。

『史上最悪の殺し屋だ』という。

正体不明の殺し屋だ。

いや、一見正体はわかっている。

美人の姉妹だ。

ただ『彼女達が絡んでいる』と言うだけだ。

証拠も残さない。

『確実に目標を殺すやつ』としかわからない。

まだどこに配置されたのかわからなかった。

再び悟朗が今度は子供を連れて旅行だ。

目的地は不明だった。

しかも、調査員は殺された。

『まさか、ばれた?』

救世主の行方を探っていることがばれたとなるとまずい。


調査員は悟朗の影の護衛と勘違いされて、殺されていたようだ。

悟朗が送り届けた犯人の自供調書でわかった。

それなりの殺し屋がチームで動いて、なおかつ失敗していた。

悟朗が救世主と接触したのは確実だった。

大急ぎで別の調査員を屋敷に貼り付ける。

調査員が送ってきた情報。

それは息子志郎の婚約だった。

婚約者は八歳の女の子だ。

『桜子』という名前しかわからない。

悟朗が襲撃者を届けた村で似顔絵を見せた。

けれども、『名前は一緒だが知らない顔』という。

あの村は単なる通過点だったようだ。

『桜子』という名前では平凡すぎた。


送り届けた女性の似顔絵。

それと推定年齢がファックスで送られてきた。

『二十歳ぐらいの娘だ』という。

そして、『杏の里がそこに居た』というのだ。

『二十歳?8歳の娘がいて二十歳の母親なわけがない』

ファックスをみて思い出した。

行方不明の妹だ。

十年前とほとんど変わらない顔だ。

二十歳ということは信じられなかった。

それでは、娘はやはり救世主の娘だ。

『出来れば、他の子を我が家にもらえないか』

救世主の子供ならのどから手が出るほど欲しい。


桜という娘。

彼女は、たしか探索の名手だ。

視界ぎりぎりで追跡を指示。

『絶対に近寄るな』とも命令した。

だが『気づかれて見失った』という報告。

だが方向性だけは掴んだ。

その方角にいるはずだ。

一泊二日ならしれている。

探索指示を出した。



その後来る情報は信じられないものばかりだ。

狼家の内紛が終結?

『杏の里』の雇い主組織の壊滅と焼失?

影に八歳の娘が動いたという可能性大?

警察の調査も不発?

『杏の里』の痕跡消失?

どうやら『杏の里』は狼家に取り込まれた模様?

『いったいなにが起きているんだ?』


『もっと正確な情報を集めろ』と指示。

発破をかけるため情報屋に電話した。


「すみません、今後情報をおくることは出来なくなりました」

「どういうことだ?契約だろう」

「すみません、狼家からの要請で逆らうなら抹殺すると言われました」

「黒国のほかの組織はどうなんだ」

黒国のほかの組織を紹介してくれと頼む。

「おそらく、うちと同じだと思います。今度のリーダーはやり手みたいで、狼

 家に関する情報は流してはいけないと、ログ付きで警告を受けました」

「ログ?発信内容が確認されていたのか」

「はい、我々が知らない別の組織が我々を見張っていました」

「そうか、ご苦労さん」


別の組織が絡んでいるとなるとこちらも危ない。

救世主を探るのは蠍家だけじゃなさそうだ。

狼家にばれたなら手を切るのが正解だ。

そもそも、狼家の体制が急速に固まったことが原因だ。

阿呆な当主が抜けたことが大きい。

もはや、脆弱な狼家ではなくなった。

このまま、抜け駆けがばれれば他家から非難が来るかもしれない。


「すみません。依頼料はお返ししますので」

「構わん、今日までごくろうさん」


『口止め料』と考えてあきらめた。




救世主を巡る争奪戦。

今回は例に蠍家を挙げるが実は五家全部が狙っている。

それもお互い極秘での調査をしていた。

次回、杏と疾風の関係を簡単に、そして雅雄の立場は?


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