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第十七話 マチコちゃん、闇ギルドに受け入れられてしまう



 さて、営業権も獲得できたところで、ファイヤ売りを始めるとしましょうか。

 ただ、その前にやることがありました。


「……皆さん、何かわたしに文句でもあるのですか?」


「マチコはなんで好戦的なのっ? 見た目は本当に可愛いのに、血の気が多すぎるわ……」


 エラちゃんは未だに周囲にびびっています。わたしの後ろで小さくなっていました。


 そんなわたしたちを、闇ギルドの冒険者さんたちはニヤニヤと眺めています。


「喧嘩を売りたいのであれば、お金はありませんが買いますけど」


 何か言いたげなので、仕方なく促してやることにしました。めんどくさいことは最初に片づけておこうと思ったわけです。


「いやいや、嬢ちゃん。何も文句はねぇよ」「ぐへへ、ようこそゴミクズ人間の吐き捨て場へ」「これで俺たちは同じ無法者だ」「お互いに命があったら末永くよろしく頼むぜぇ」


 皆さん、思ったより好意的でした。

 やはり最初にモヒカンさんをいたぶったのが良かったのだと思います。おかげで舐められずにすんでいるようです。


「おらよ、飴玉やるから機嫌直せ」


 しかも、一人は飴玉までくれました。二つくれたので一つはエラちゃんに分けてあげて、わたしはすぐに頬張りました。


「はむっ……うむ、仕方ないですね。飴玉をもらってしまっては、機嫌を直さなければならないでしょう。命拾いしましたね」


「ガハハ、助かったぜ。後ろの嬢ちゃんも、そんなに怖がる必要はねぇよ。俺たちは無法者だがよ、ちっちゃい子供に手を出すような外道ではねぇからな。そこのモヒカンみたいな小者には気を付けた方が良さそうだが」


「う、うん……ありがと」


「ガハハ! 礼には及ばねぇ。ま、闇ギルドライフを楽しんでくれや」


 筋骨隆々の悪そうなおっちゃんが豪快に笑って去って行きます。

 エラちゃんも危険がないと思ったのか、ようやくわたしの後ろから出てきました。


 良くも悪くも、闇ギルドは力が全ての世界なのか

 力さえ示してしまえば、見た目がどうであれすぐに受け入れてくれるのかもしれませんね。


 と、いうわけで。


「エラちゃん、そろそろ商売を始めましょうか。ファイヤを売りつけましょう」


「マチコ、強引なのはダメだと思うの……穏便にしないとダメよ? 手とか繋いであげてもいいから」


「幼女臭いので結構です」


 飴玉で空腹は紛れましたが、そろそろお肉が食べたい。

 さっさとファイヤを売ってお金を稼ごうと、そう思っていたタイミングでした。


「失礼。商売の前に、少しいいかな?」


 いきなり後ろから話しかけられました。

 振り向くと、そこにはいかにも胡散臭そうなスーツ姿の男がいました。更に胡散臭い眼鏡もかけているので、胡散臭すぎてきついです。思わず鼻をつまみたくなるほど胡散臭い人でした。


「はい、なんですか? わたしはお腹が空いているので、さっさとファイヤを売りたいのですが」


「では、全て買ってあげよう。その代わり、少しお話をさせてくれないかな?」


 なんと。胡散臭いですが、この人はどうやらとてもいい人みたいです。

 もしかしたら胡散臭いのも勘違いな気がしてきました。


「毎度ありです! えへへ、お話くらい全然いいですよ~」


「ふふっ……露骨に態度が変わったねぇ。そういうところ、嫌いではないよ。そこのお嬢さんも、よろしいかな?」


「……う、うん。別にいいけど、マチコにエッチなことしたらダメだからね?」


「どうしてこんな幼子に手を出す変態と思われているのか……安心していいよ。僕は幼女に欲情する変態ではないからね」


 胡散臭いけどファイヤを買ってくれたので胡散臭くなくなった男性は、ニコリと詐欺師みたいな笑顔を浮かべました。

 まぁ、お金さえ払えばお客様です。いくら胡散臭くても、お金さえあればわたしはとても満足なのですから。


 金だ金だうひょひょ~!


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