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第十二話 マチコちゃん、闇ギルドに向かう



 さてさて、お着替えも終わったことですし、これからどうしましょうか。


「お腹が空きました……」



 わたしのぷくぷくしているぽんぽんが『くぎゅ~』と変な鳴き声をあげています。

 昨日は結局、城壁の騎士さんからもらったチョコレートと、エラちゃんから強奪したチョコレートしか食べていません。甘い物が大好きとはいえ、今度は肉とかご飯とか腹持ちがいい食品を食べたいところでした。


「そうなの? マチコは食いしん坊ね」


「……エラちゃんはお腹空いてないんですか?」


 この子も昨夜から何も食べていないはずですが。

 しかし彼女は笑顔で首を横に振りました。


「大丈夫よ。だって、食事抜きの生活には慣れてるのっ」


 闇が深い。しかもそれを笑顔で言い切るあたりに切なさを覚えます。


 わたしはどんなに貧乏でもせんせーの食事を奪ってまでお腹を満たしていたので、空腹には慣れていないんですよね……やはり食材の入手、ひいては金銭の確保を優先するべきでしょう


 と、いうことで、結局やることは昨夜と変わりませんでした。


「ファイヤを売りに行きましょうか。結局、お金がないと何もできませんからね」


「そうね。あたしは料理が得意だけど、食材がないと何もできないし」


 とはいえ、ファイヤを売るにあたって大きな問題がありました。


「うーん……どこで売りましょうか? 城下町に行くと、たぶんわたしは捕まってしまいますよね」


 そう。昨夜、わたしは城壁に放火した挙句、王女を誘拐しました。

 つまり重罪人です。騎士さんに見つかれば即座に逮捕されてしまうでしょう。なので、城下町に行くことはできません。


 ですが、人がいないところで商売はできないので、どうしたものか悩んでいました。

 そんなわたしに、エラちゃんは素敵な提案をしてくれました。


「ねぇ、そういえばここは郊外なんでしょ? だったら『闇ギルド』って近くにない?」


 闇ギルド。無法者の冒険者が集う、闇の集会場。

 そういえばせんせーから、一時間ほど歩いた場所に闇ギルドがあると聞いたことがありました。


「ずっと気になっていたんだけど、マチコの『ファイヤ』って攻撃用の魔法でしょ? 一般人より、冒険者とかの方が需要あると思うわ」


 エラちゃんにしてはかなり的確な意見でした。


「ぐぬぬ……や、やりますねっ。ただのクソザコ王女様と思っていましたが、評価を改めましょう。エラちゃんは、ちょっと賢いクソザコ王女様です」


「結局クソザコじゃない! 腐れ幼女めっ」


「うるせーですよ。ひんにゅーが移るからこっちこないでください」


「あんたもひんにゅーでしょ!? なんであんたは自分のことを棚上げに出来るの? なんならあたしより幼女体形のくせに!!」


「はぁ? わたしがエラちゃんより幼女? そんなわけないでしょう。わたしは数年後に爆乳のセクシーなレディになるのですから、実質的に幼女じゃありません」


「ツルペタ! 寸胴! まないた!」


「くっ……ば、ばーか! ばーか! ばーか!!」


「バカって言った方がバカです~。うんこ!」


「ムキー! この闇幼女め、どっちが上か立場を分からせてあげますよ!! とりゃぁあああ!!」


「あ、ちょっ。ぼーりょく反対! ひきょーよ! い、痛い痛い……うぇぇぇん、痛いってばぁあああ!!」


 こうしてわたしたちは、少しの間醜い争いを繰り広げてしまうのでした……子供かっ!

 いや、まぁ子供なんですけれども――



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