表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/30

陽光を浴びて


 人は望まない結果、その可能性を無意識に消している。だから、そうなった時には、信じたくない気持ちが勝る。身勝手な話だが、それが人という生き物だ。


 やっぱり、と言うべきなのか。夜宵ちゃんも舞ちゃんも肉食系だった。これが俺の妻らしさなのか?

 そんな事を考えているが、しっかり手を出したのだから言い訳は出来無いが。


 舞ちゃんは動物的と言うのか、本能的と言うのか、俺が勝ったからなのか、とても従順で尽くしたがり屋さんで。兎に角、俺の反応を見たがる。俺が喜ぶと嬉しがる。

 うん、一歩間違うと愛に狂うタイプだ。要注意。


 夜宵ちゃんは……女体の神秘だな。

 小柄だけどサイズは舞ちゃんと同じで、バランスが悪いという事も無い。不思議だが、抱えたりすると皆と比べて密着感が高いからか、イチャイチャ感が強い。

 まあ、それはそれとして。ちゃんと、女だという事だ。

無理をさせるつもりは無かったが、求められると応える。応えないという選択肢は俺には無いからな。妻に限り。


 真っ昼間だけど、初夜が終わって、刻印が施されたら、全員で島の家に移動する。

 驚く二人に経験者達が自慢気に話す様子は微笑ましく、可愛らしい。俺としても同じ説明をしなくて済むからな。余計な事は言いはしない。


 ……ん? どうした? 手合わせの時?

 ああ……手加減はしていたし、身体強化も全く使ってはいなかったな。瑞穂達の時と同じ様に純粋な技術でだ。

 そう言ったら妻達に襲われた。

 集団になったから自制心が緩んでいないか? 違う? 俺を求める気持ちが昂り易くなっているだけ?

 …………そうか。


 「それが緩んでいるんじゃないのか?」等とは思っても口にはしない。笑顔で説得されるだけだからな。肉体言語によって、しっかりと。




 4月7日。今日は鞠花達は二人の引っ越し作業の為に、七人で寮に向かっている。

 女子寮(・・・)だから俺は入れない。

 面倒臭い事になる気がするから行きたくもないからな。丁度良い口実になった。

 引っ越しにはトラックを借り、凜さんが運転する事に。明璃さんは運転で緊張するタイプらしい。安全第一だが、ノロノロ運転なので逆に危ない。他の車等が有る以上は、遅くても流れを乱す。運転というのは協調性が大事だ。


 そんな訳で、俺は一人。寂しく留守番はしていない。

 先日、澄乃が言った様に明璃さん達に刻印が施されたら

新たにDランクのダンジョンが4基、Eランクが6基確認

出来た。更に二人の加入で、その数は倍に。

 ……しかし、それだとスキルとアビリティは3つまで。最大とまでは行かないか。

 まあ、それでも充分なんだけどな。




 御互いに昼には戻る予定で動いていた為、自宅に戻ると見計らった様にトラックが自宅前に到着した。

 凜さんのトラックドライバー姿が意外と似合っていた。実は車好きとか? ああ、やっぱり。それだったら魔石をエネルギー源にした魔力動力の車──機械類の開発とかに興味とか有る?



「それは有りますが……まさか?」

「理論的には魔導器の発展・派生技術だから可能性だ」

「……それを博士には?」

「話してはいない。今の研究にとっては邪念になるしな。この話自体が今、初めて誰かに話す事だ」



 そう言いながら視線を向ければ、凜さんも振り向いた。其処に居るのは鞠花。「聞いてないわよ?」と不満気だが俺の言いたい事も理解出来てしまうから困っている。

 ……いや、拗ねていると言った方が近いか。



「まあ、晶の言う通りでしょうね。知ってしまえば、今の研究がブレてしまうと思うわ。研究者だからこそ、新しい可能性を示されると気になるものだから。容易に御父様が集中力を欠く姿が思い浮かぶわ」

「……研究者だからこそ、一つのテーマに、という訳ね」

「そういう事だな」



 同じ研究者であるからこそ、凜さんも想像し易く、理解出来るだろう。

 まあ、研究者に限らず、新しい事に興味を持ってしまうという事は誰にでも有る事だ。

 ただ、研究者は研究が仕事の為、研究テーマに類似する新しい可能性に興味が向くと支障が出る。勿論、良い方に刺激や切っ掛け、ヒントになれば良いのだが。

 御義父さんの場合は悪影響になる。一途な人だからこそ余計な事は言わない方が研究に打ち込めるだろう。

 何しろ、鞠花()が言い切った訳だからな。



「ただ、魔導器自体の技術としては研究は現時点で殆んど完成していると俺は思う。今はバリエーションという面で実用しながらの検証の段階だからな。研究としては半年も経てば一区切りになる筈だ」

「……晶くんには話していないのよね?」

「ええ、あまり必要な事ではないもの」

「つまり、一般的に知られている事と、魔導器のモニターとしての実体験から、そこまで言い切れる程に理解をしたという訳ね……襲ってもいいかしら?」

「何故、そうなる」

「貴男が魅力的だからよ」



 そう言って抱き付いて来た鞠花に続き、凜さんまでが。いや、二人で終わる訳が無い。

 「あーっ、狡ーいっ!」と明璃さんが気付き、結局は押し切られて、全員で家の中に。

 引っ越し作業が終わってからでも良かったのでは?

 欲しくなった時が一番良い時? ……否定出来無いか。




 2時間程の中断の後、作業を再開する。

 島の家も有る為、此方等では普段の生活──学校や仕事といった方向の荷物が中心で、不要品は俺が預かる。

 一人暮らしではなくなると、共用する電化製品も多い。当然、そんなに要らない為、邪魔になる。売ってもいいが愛着も有る為、俺が保管する事に。

 まあ、一部は島の家の方で使っているが。



「二人共、意外と荷物が少ないな」

「そう? こんなものでしょ?」



 そう夜宵ちゃんが舞ちゃんに訊けば、同意する。

 しかし、二人の前の五人は……そうか、その違いか。

 明璃さん達は独立した一人暮らしだったから荷物が多い事は仕方が無い。

 鞠花は実家が近いとは言え、研究者だから荷物も多い。これも仕方が無い。

 瑞穂は荷物を残せないから仕方が無い。澄乃もだ。

 夜宵ちゃんも似た状況だが、まだ荷物が少ない時期だ。舞ちゃんも不要不急な物は実家に置いて来ただろう。

 その違いが、この荷物の量の違いか。




 あっさりと二人の荷解きが終わって、昼食となる。

 俺も料理はするが、人数が多いと食卓が豪華になるな。まあ、キッチンは手狭になる訳だが、其処は解消済みだ。美咲さんが直ぐに動いたからな。

 鞠花達と四人暮らしだった時は問題無かったが、直ぐに人数が増えるでしょうから、と。

 美咲さんの予見した通りになったな。



「まだ人数が増える予定なの?」

「私達としては増やしていくべきだとは思っているけれど一緒に生活するのかは別の話ね。色々と漏らせない情報が晶には多いから」

「あー……でも、将来的な事を考えると必要な事よね?」

「ええ、勿論よ。ただ、今直ぐにとは行かないけれど、国家の政策として晶の子供を産む為だけの女性達が居ても良いとは個人的には思うわ」

「その女性達は妊娠と出産が仕事だから、ダンジョンには入らなくてもよくなる訳ね」

「そういう事になるわね」

「命懸けでダンジョンに潜らなくてもいいなら、希望者が殺到しそうね……まあ、全員は無理でしょうけど」

「ある程度は()が無いと意味が無いもの」



 ──等と話す夜宵ちゃんと鞠花だったが、夜宵ちゃんが小さく眉根を歪めた。

 二人の話が微妙にズレている為だが……どうする?

 自分で言う様な事では……あ、澄乃が指摘した。

 二人が会話がズレていた事に気付いたが、鞠花は笑って平然と「晶なら一日で百人は相手に出来るわよ」と言うが試した事は無いからな? 試そうとも思わないが。


 夜宵ちゃんは顔を赤くして俺を見る。その眼差しには、驚き、尊敬、そして──熱を帯びた期待(・・)

 う~ん……早くも染まってるなぁ……




 そして、誰か一人のスイッチが入ると伝播する。料理中だから後で、とならないのが若さだろうか。

 キッチンで順番に1回ずつ。

 「食後で良いのでは?」と思うが、それはそれらしい。食後は食後でガッツリだった。


 その後、Eランクのダンジョンに向かう。

 明日は俺達も夜宵ちゃん達も入学式だから、のんびりはしていられない。

 俺にとっては初めての中断になる事も覚悟する。


 ──という覚悟は杞憂に終わった。

 鞠花達の成長も有るが、明璃さん達の実力が高かった。俺の妻に成った事で強化されてもいるからだろう。

 ……いや、本当は二人が発現した自分の固有魔法を使う事を理由に暴れたからだ。

 夜宵ちゃん、舞ちゃん。アレは参考にしなくても大丈夫だから、一歩ずつ遣って行こう。


 そんな夜宵ちゃん達は固有魔法の発現者。

 夜宵ちゃんの固有魔法は【純黒抱擁(フランノワール)】。

 闇属性っぽいが違う。無属性だ。指定対象、或いは指定範囲内を暗闇で包み込む。地味だが、光を呑み込む性質で視覚を完全に潰される。

 俺や鞠花は魔力反応で探れるが、瑞穂達は何も出来ずに夜宵ちゃんに負けた。

 俺との勝負で使わなかったのは、地形的に使っても紛れ当たりが起きてしまうから。全方位攻撃をされてしまうと意味が無いからな。冷静な判断だ。

 そして、澄乃の【歪曲偏光(サイレントレイ)】との連携は凶悪。

 俺達は【編成】の効果で効果を受けなくなる為、視覚を潰されて右往左往するモンスターを一方的に蹂躙出来る。それを想定しての人選ではあったが、実際に填まった所を見ると恐ろしく思う。妻で良かった。


 舞ちゃんの固有魔法は【幸之贈物(ヴァイスギフト)】。

 素直に受け取れば“白い毒”となるが、当然違う。

 その効果対象はモンスターのみなのだが、モンスターを強化する。これには舞ちゃん自身も驚いたが、対象となるモンスターはランク(・・・)が上昇していた。

 つまりだ、強化するが、倒すと魔石の質や獲得経験値が上昇するという訳だ。

 この効果には鞠花と凜さんも興奮し、瑞穂と明璃さんは大興奮だった。流石は戦闘(バトル)マニア。

 ただ、倒せる実力が無ければ自殺行為でしかない。

 しかし、その効果は俺にとっても新しい発見だった。




 これと言って問題も無く攻略し終えて、帰宅。

 挑天の勲章も手に入ったし、一安心だ。


 明璃さん達も魔法陣の効果には驚いていた。経験者でも知らなかった事だしな。我ながら、よく気付いたと思う。



「そんな簡単に済む話ではないわよ」



 そう言いながら正面から俺に抱き付く凜さん。泡塗れの身体を揺らして俺を洗ってくれている。

 自然と唇が重なるのは仕方が無い。俺の両手が凜さんの身体を這い回る事も仕方が無い。


 そんな俺達の隣では鞠花達が戯れ合っている。

 きゃあきゃあと笑い声を上げながら同じ様に洗いっこ。まるで仲の良い姉妹みたいだ。



「実際、姉妹でしょう?」



 そう揶揄う様に、姉妹の繋がりの象徴である俺のモノを絶妙な力加減で握って微笑む凜さん。また、澄乃みたいな事を言って……その通りですけど。

 ただ、御風呂(此処)では挑発するだけ。

 本番はベッドに行ってから。俺達は入学式なんで多少は手加減して欲しいが……俺の方が無理か。

 今直ぐにでも凜さんが欲しくなってるからなぁ……

 皆に構わないとは言われているが、本当に来年の今頃は複数の子供の父親になっている気がする。

 子供を望んでいない訳ではないが……複雑だ。

 寧ろ、当事者の鞠花達が超積極的だからなぁ……

 俺の方が考え過ぎな気がしてしまう。間違ってはいない筈だとは思うが……悩ましい所だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ