人生とは
「……知らない天井だ」
薄暗い中、視界に映る景色に対して、見たままの何の捻りの無い素直な感想を口にしながら布団から左手を出すと、視界に入る様に上げて、ゆっくりと握ったり開いたりして動かす。
力は入るし、感触も有る。
そのまま顔に触れてみると、それなりに自己主張が強かった剃っていなかった髭が生えている感触が全く無かった。
その違和感──否、想定とは違った状況に身体を起こして確認。薄暗い部屋の中を見回すが、やはり自分の記憶とは合致しなかった。
だが、知ってはいる筈だ。
改めて部屋を見回し、記憶と照らし合わせる事で自分の置かれた状況を割り出す。
──と、クローゼットが目に入った。ベッドから立ち上がって向かって行き──開ける。
其処に有る姿見を見て──納得する。
「若いな……二十歳……いや、もっと前か……」
伸びっ放しの無精髭とは無縁そうな顔を見ながら記憶の糸を手繰り、少なくとも髭が生え始めた頃より若いという事を確認。
再度、部屋を見回して──机の奥にカレンダーを見付けて近付き、手に取って確認する。
そして、頭の中で照合・計算。
「平生7年、聖暦100年……今は十五歳か」
そう呟きながら「通りで髭も無い訳だ」と思う。何しろ、髭が生え始めたのは他人より随分と遅く、二十歳に成ってからだった筈だから。
まあ、この頃の若者にとってみれば、髭の有無で葛藤や懊悩を抱える未来など想像もしないだろう。所詮、髭は髭でしかないのだから。
大抵の者にとって髭に大した価値は無いのだから真剣に悩む方が可笑しいとも言える。だが、それが気になるのが人という物でもあるのだろう。
そんな事を考えながらも、立っている事も有って身体を動かしたりして色々と確かめてみる。
特に可笑しな所は無いし、違和感も無い。
思っていた様な不具合は無さそうで一安心。
「…………本当に入れ換わったみたいだな」
正直、半信半疑。超都合の良い希望的展開だとは自分でも思っていた。
部屋の本棚。其処に並んだ本の背表紙を見ながら改めて、これは現実なのだと感じる。
そして、あの出来事を思い返す。
────気が付くと、視界は真っ暗だった。
「まだ夜中か?」と思いながら、ベッドサイドに置いた携帯を手を伸ばして探る──が無い。
いや、それ所か慣れ親しんだ感覚が一切無い。
直ぐに可笑しいと思い身体を起こし──思わず、我が目を疑ってしまう。
そうなるのも仕方が無いと思う。
真っ暗な空間。しかし、闇とは違い自分の姿は、はっきりと見えている。訳が判らなかった。
座ったまま周囲を見回すと──数メートル離れた位置に誰かが横に為っている姿が有った。
顔は見えないが、耳の側の髭、服装や手足を見た印象から歳の近い男性だろうと判断。
近付こうとする──が、何故か近付けない。
立ち上がる事は出来るし、歩けもする。しかし、その場から移動が出来無い。走ってみれば走れるがランニングマシンで運動している様になるだけ。
四つん這いで進んでみたり匍匐前進をしようが、後ろ向きだろうが、跳んでみようが無駄だった。
何故か、疲れもしないのだが。
其処で声を掛けてみたが──起きる気配は無し。だが、死んではいない。僅かにだが、身体が上下し呼吸している。多分、眠っているのだろうと判断し大人しく起きるのを待つ事にした。
──と、そう思った時だった。
その男性の側に、何時の間にかバレーボール程の大きさの淡い照明の様な光る球体が浮いていた。
何と無く、振り返ってみると自分の背後にも。
だが、熱を感じる事は無く、動きもしない。
一度、男性を確認するが起きた様子は無い。
好奇心も有り、その光球に手を伸ばした。
「──────っ!? 今のは……俺の記憶?」
そう呟きながらも、違和感を覚えた。
一瞬の事だったのかは判らない。まだ男性の方に起きた様子は見られないから、そう思っただけ。
光球に触れた瞬間、走馬灯の様に流れた情景は、確かに自分の記憶。人生の足跡だった。
しかし、何かが違うとも感じた。
その違和感が何かを考え──気付く。
記憶と言えば確かに記憶だろう。
だが、其処に俺自身の感情や思考は反映されず、更には個人的な内容も含まれてはいなかった。
具体的に言えば、恋人とのプライベートな内容や性的な事に関係している類いの部分が、である。
その事から推測するなら、この光球は自分自身の人生を他者に見せる為に作ったダイジェスト映像の様な物だという事。
だから、恋人の存在自体は判っても、二人にしか判らない様な細かい部分は省かれている。
まあ、その出逢いや別れといった部分に関しては最低限必要な事として含まれるみたいだが。それは仕方が無い事だとも言えた。
そうなるとだ。向こうの男性の側に浮かんでいる光球は、その男性の人生の足跡。
他者に見せる事が前提ならば──可能な筈。
そう考えて掌を向け、「此方へ来い」と念じれば男性の側に浮かんでいる光球は吸い寄せられる様に此方等へと移動し──手に触れた。
直後、眠る男性の人生を生まれた日から映画でも見る様に──否、追体験するかの様にして知る。
再び真っ暗な空間に戻ってくると精神的な疲労を急激に感じるが、当然の事だろうと納得する。
人一人の人生ともなれば、それ相応の情報量にはなるのだから。
男性の年齢は四十五歳。それだけの時間経過分の情報量がダイジェストとは言え、一気に流れ込めば人の脳の処理能力としては容量超過だろう。
しかし、疲労を覚える程度で済んでいる。
その事実からも、この空間が特殊な事は確かだ。まあ、今更と言えば今更になる事なのだが。
そう思いながら男性を見るが……まだ起きない。
「まだ時間が有るなら」と再び男性の足跡である光球に手を伸ばした。
見返す様に、読み返す様に。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
繰り返しに繰り返し、理解を深めていった。
もう十分。何なら、本人によりも正確に解答する事も可能だとさえ言える。
そう言い切れる位に記憶し、知り得た。
後は本人が目覚めるのを待つばかり──となった状況で、漸く男性が目を覚ました。
「………………は? え? な、何が起きた?」
「よう、やっと目が覚めたみたいだな」
「──っ!? だ、誰っ?!」
自分と同様に、この状況に戸惑っている。其処に突然、声を掛けられれば慌てもするだろう。
ただ、知っているが故に、その反応が面白くて思わず口角が上がってしまう。
意味深な態度に見えなかった事を願う。
「論より証拠だ、“タカタ アキラ”」
「──っ!? どうして僕の名前をっ……」
話しながら、自分の足跡である光球を彼の方へと移動させ、仕草で「触れて見れば判る」と示す。
恐る恐るといった感じだが、他に選択肢も無い。だから、仕方無く、彼は手を伸ばした。
触れた瞬間に強く光り、一瞬で収まる。
客観的に見る事で初めて一瞬だったのだと判る。だから、どうという事でもないのだが。
それは兎も角、彼は「こんなの見せられたって、簡単には信じられない……」という表情だ。
その気持ちは判らなくもない。
字こそ違うが、読みは同姓同名。世界の年表には違いは有るが、10月22日生まれの45歳の男。要は別線世界の似た存在という事になる。
まあ、俄には信じ難い事だとは思うがな。
ただ、知ったから警戒心は薄れた事は判る。
取り敢えずは、それで十分だと言える。
「戸惑う気持ちは理解は出来る──が、少なくとも現実として受け入れられなければ話に為らない」
「それはそうかもしれないけど……」
「単刀直入に言う。今、俺達が置かれている状況を言い表すのなら“魂の邂逅”だろう」
「魂って……」
「そう言う他に無いだろ?」
「……そう、なのかもしれない……」
「その上で、これは奇跡の中の奇跡だと俺は思う。恐らくは俺達自身でさえ、二度と無い事だろう」
「よく有る様な事じゃないとは思うけど……」
「其処でだ。今、魂だけの状態なら入れ換わる事が可能なのではないか、と考えられないか?」
「────っ!! そんな事……いや、でも……」
「俺は、元の世界にも人生にも未練は何一つ無い。寧ろ、其方の世界を知ってしまったから、惹かれて仕方が無いのが正直な気持ちだ」
「…………僕は其方の世界の方が良いけど……」
「だからな、魂を交換しないか?」
「それはっ…………だけど、僕の人生は……」
「知っている。だがな、俺にとっては其方の世界で生きていける事の方が価値が有る。入れ換わったら其処から先は俺の人生、俺の歩みだ。入れ換わった後の事は、お前が気にする事じゃない」
そうは言っても、自分とは違い根が真面目な彼は人生の交換──自分の負債の押し付けに悩む。
普通なら、喜んで直ぐに飛び付く話なんだがな。何しろ、俺は客観的に見れば成功者。交換した後は働かなくても年金が貰える年齢までは一般標準的な生活を送る事が可能なだけの貯金も有るのだから。自分の事だけを考えれば、即決する所だろう。
そういう意味では、だから損をするのだと思う。人としては嫌われはしないが、成功は掴めないな。まあ、何方等が正しいとは言えないが。
ただ、今に限れば、その良さは必要無い。
「お前が負うべき責任は、お前自身の人生の物だ。俺の人生の責任まで負うというのは傲慢だ」
「────っ!!」
「だから、単純に考えればいい。お前は自分自身の人生に満足しているのか? 違う世界、違う社会で新しい人生を歩みたいと思いはしないのか?」
「…………」
「俺は其方の世界で生きてみたい。お前は?」
「………………僕も、其方で生きてみたい」
「だったら、余計な事は考えるな。俺の望む事と、お前が望む事。それが一致しているのだから理由は他には要らない。これは二人だけの事だ」
そう後押しする様に言って──決意したからか。俺達は漸く近付く事が出来た。
そして、「交換成立」と示す様に握手をしたら、空間は夜明けを迎える様に目映い輝きに染まった。
──で、気付いたら、現在に到る、と。
改めて思い返してみても不思議な事だった。
だが、これは現実だ。
本棚に並ぶタイトルが異世界だと物語る。
[初めての魔法]や[ダンジョン入門]といった自分の生まれ育った世界では存在しなかった架空の存在だった魔法やダンジョンが実在する世界。
それを見ただけでも思わず口元が緩んでしまう。どうしようもなく、子供の様に好奇心が疼く。
不満は無く、不自由も無い生活は悪くはないが、生きているという実感、自分の全てを懸けて挑める何かという物が無かった。
だから、未知に溢れた世界に惹かれた。
だから、二度と無い奇跡を迷わず掴んだ。
その結果、この現実が在る。
「まあ、流石に若返ったのは予想外だったけどな。それも別に悪い事じゃあないしな」
それはそれで構わない。その分だけ、この世界を生きる事が出来る時間が増えるのだから。
元の──邂逅した時の年齢を考えれば寿命的には既に人生を折り返していると言えた。長生きしても思う様に動けない介護が必須な状態なら、さっさと死んでしまいたい。そう個人的には思っている。
だから、若返って活動出来る時間が増えた事は、歓迎こそすれ、不満や不安は無い。嬉しい限りだ。
さて、それはそれとして。
切り替えて、部屋の壁に掛かった時計を見れば、まだ6時を少し過ぎた所。カーテンを開けてみれば薄暗かった部屋に光が差し込む。
眩しさに思わず目を細めるが、それは一瞬の事。直ぐに慣れ、目にした景色に素直に感動する。
まるで高級旅館やホテルの売りの様な素晴らしい眺望が自室の窓の向こうに広がっている。
この景色だけでも十分に贅沢だと言えるだろう。其処に水平線の向こうから覗く朝日が見えたなら。民泊でも高値を付けても儲かる気がする。
尤も、世界自体が違うので、以前の感覚のままの価値観が同じ様に通じるとは思わないが。
魔法やダンジョンという異なる存在は有っても、土台となる基本的な人類の歴史というのは、自分が以前存在していた世界と殆ど同じ。そういった意味では全く違うという事でもない。
ただ、ある時を以て異なる歴史を刻み始めた事で世界の、人々の価値観には大きな違いは有る。
それを理解し、当然としなければ浮いてしまう。出来れば悪目立ちは避けたいので要注意だろう。
そんな世界が分岐したのは今から100年前。
西暦1894年。
それまでは歴史を同じくする世界だった。
それは1894年1月1日、元旦の事。
この日、夜明け前に長野県を大地震が襲った。
余震などは一切無しの信じられない様な縦揺れ。あまりの揺れに眠っていた人々は叩き起こされた。同時に死を覚悟したと後に語られた。
死者192名、負傷者5637名という大惨事。
だが、その死者は全てショック死。
負傷者も全てパニックに因るもの。
つまり、地震そのものによる圧死や窒息死の様な直接的な被害という訳ではなく、精神的な死因。
災害関連死という被害の認定と概念が定められる以前の事である為、行政の支援は無かった。
それはそれとして。
人々が体感した筈の大地震は一切の痕跡が無く、建物の倒壊や地形の変化は勿論、家庭の小物一つも地震での落下や転倒、移動した様子すら無かった。
だが、破損被害が無かった訳ではない。
ただ、実況検分した結果、触れたり当たったり、人々が何かしらの形で接触した事に因るものであるという判断と結論となった。
当然、国の保証や援助の対象にはならなかった。
そんな中、陸軍の高官が出身地である現地に丁度帰省中であり、自らも体感した一人だった事から、独自に調査に動いた。
高槻 哲道、41歳。世間一般には無名であり、陸軍内部でも高官ではあるが、知る人ぞ知る人物。特に珍しくもない、どんな組織にも居る様な普通の優良な目立たない一人だった。
そんな彼が地震から十日後に発見する事となる。
安曇野市の西、槍ヶ岳や穂高岳が連なる山岳部の中腹の辺りに記憶には無い、神殿を思わせる造りの大きな入り口が出現したという事を。
それこそが世界最初の第壱号基ダンジョンであり世界が歩みを異なるものとした始端である。
当然、彼の名は世の中に轟く事となった。
尚、その第壱号基ダンジョンには[ジパング]と後に彼によって名が付けられる事となる。
月日が経ち、同年の4月10日の事。
日本時間で、正午丁度になった時だった。日本を含む世界各地で長野県の時と同様に大地震が発生。
それは世界中に、同時に、幾つものダンジョンが出現した事を告げていた。
ダンジョンという未知であり、未曾有の超異質な存在を以て、人間社会は変わる事を余儀無くされ、人類は新たな道を歩みを始める事となった。
翌1895年が西暦としては最後となる。
新時代──D.C.。
Dはダンジョン、ディバイン、デビル等と色々な意味を含んではいるが、一般的にはダンジョン。
それに伴い西暦という表現は改められるのだが、ダンジョンでは“迷宮暦”となってしまう。
そこでディバインの意で“聖暦”へとなった。
この聖暦という表現は日本のみならず、世界中で共通して使用されている。漢字表記で。
それには第壱号基を有するのが日本だからという理由が有ったりもする。
──という二つが、世界の分岐点。
そして、決定的な違いである。
……ああ、それから小さな変化だが、もう1つ。
閏年が無くなり、2月は毎年29日までになり、1年は366日となっている。
これもダンジョンが出現した影響なのだろう。
ただ、そうは言っても、現在の生活的な意味では現世も前世も大差は無い。
「まあ、技術的な意味では懐かしいけどな」
“レトロ・ブーム”と呼ばれていた物が現役。
当時を生きていた身としては若い世代の感性やらブームとして流行る理由が判らなかった。
自分達が懐かしいと思うのは当たり前だとしても当時を知らないのに懐かしむという感覚が。
だからと言って、別に文句も問題も無かったが。理解は出来無かった、というだけ。他意は無い。
改めてカレンダーを見ると予定が書かれていて、机の上に置かれている日付表示機能の有るデジタル時計を見れば、今日は3月12日の土曜日。
カレンダーに書き込まれた予定を見るに11日が中学校の卒業式で──
「──ああ、昨日がそうだったのか」
何度も繰り返したから、しっかりと覚えている。
卒業式の後、予定通り昨日の夕食は元婚約者と、その父親と超高級ホテルで一緒だった。
8歳の時の事。死者100人以上の大事故により両親を亡くした。親戚は無く、孤児に。
だが、その大事故で両親が助けた少女が生存し、その父親が大企業の会長で、後見人として生活等を援助してくれた。加えて少女は一人娘であり、その婚約者になった。ある意味、勝ち組である。
しかし、年頃になった少女は別の男を好きになり父親としても企業的にも良い相手。文句は無い。
だが、世間体という物が有る。
大企業としては悪評は避けたい。
其処で交渉を持ち掛けた。
食事の席で、父親から娘との婚約を破棄したいと告げられ、口止め料と手切れ金として十億円という大金を提示され──了承した。
彼自身、自分ではなく、両親が助けた恩で少女の人生を対価にする事を強いている状況には真面目な性格であるが故に色々と複雑な思いも有った事から御互いの為にも悪い話ではなかったので。
それが昨夜の出来事で、大きな人生の転機。
因みに、後に彼は投資に失敗し、数年と経たずに全額失った上に借金を抱え、自己破産。
彼が魂の交換を渋っていた理由である。
今となっては、それも杞憂に終わった訳だが。
彼の失敗を忘れず、活かして生きよう。
十分な蓄えが有るというのは頼もしいものだ。
そう思いながら、もう一度、姿見を見る。
多少の違いは有るが、概ね向こうの自分と同じ。年齢自体は30歳も若返ってはいるが。それでも、見覚えの有る懐かしい姿だ。
「自分の名前を間違えない様にしないとな」
以前の自分との一番の違いは名前の字。
立方 晶。
それが、これからの名前。字の書き間違いにさえ気を付ければ、バレたりはしないだろう。幸いにも音は同じだから違和感も無い。
性格は違うが、高校デビューという意味でなら、変わっていても不思議ではない筈。
学生時代の節目というのは、大きな変化をしても誰も怪しむ様な事は無いのだから。
勿論、遣り過ぎには注意が必要だが。
普通にしていれば、不自然さは無い筈だ。
窓から差し込む夜明けの光。
ほんのりと暖かな陽光に照らされながら思う。
平穏な日常は兎も角、退屈な人生は要らない。
生きていると確と実感の出来る生き方をしたい。刺激的過ぎる必要は無いが、自分にとって生き甲斐となる何かを見付け、意志を持って歩む。
社会的な成功者としての人生を経験したが故に。そんな贅沢な願望を抱いてしまったのだが。
思わぬ形でチャンスを掴む事が出来た。
もしかしたら、人生の幸運を全て使い果たしたのかもしれないが──それでも構わない。
運任せ・運頼みの人生はスリルが有るだろうが、努力が無意味なら遣り甲斐なんて皆無。そんな生に個人的には価値を見出だせない。
困難だろうが、自らの意志で可能性を拓く。
そういう生き方を俺はしたい。
「何にしても、これから新しい人生が始まるんだ。死が訪れる時まで宜しくな、立方 晶」
そして──この世界にも。
今日という始まり、新たな夜明けに。