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2話 登校そして自己紹介

「カバンよし、制服よし、スマホ、財布よし、準備完了。では、いざ出発!!」


 次の日、俺は家に置いてあった学校の制服などを身につけて登校をする準備をし、忘れ物の確認をきちんと行い家を出た。


「やべえ、ただ登校するだけなのにめっちゃ緊張する。」


 家を出て数分、学校までの20分の道のりがとても遠いものに感じる。

 35歳のおじさんがしかも基本会社にいて外にろくな出ていない人間が約17年ぶりに登校するというのだ色々ボロが出ないからとか緊張するのは当たり前のことだ。


 勝負は学校生活。放課後はバイトの掛け持ちで時間がないため、友達を作るには普段の学校生活が大切になってくる。

 昔の俺は良い企業に就くためという名目の悲しみの誤魔化しのために学校では友達なんか作らずずっと勉強していた。

 おかげで学年3〜4位の位置をキープ出来ていたわけだが今に思えばなんと寂しいやつなのかと思う。


 しかしまあ、その努力があるため昨日少し内容を思い出すために予習をしていたらすぐに解けるようになっていたため勉強の量を減らすことができるというメリットがある。

 周りからしてみたらチートみたいなものだが、バイトの時間を加味すると勉強する時間が全くと言っていいほどなかったのでだいぶありがたい。


「お、ここだな。…うわー懐かしい。」


 考えながら歩いているといつのまにか高校についていた。

 校門に咲く桜と共にまるで俺を歓迎しているように立っている高校を見て俺はとても懐かしい思いになる。

 17年前とはいえ3年は通っていた高校、なんとなくだが見覚えはあるものだ。


「これからだな、俺のセカンドアオハルは…」


 きっと3年間きちんと青春をしていなかった俺にはこの学校生活は全く新しいものになるだろう。

 けれど中身の人間は仮にも社会人、人と話せれば友達の一人や二人ぐらいはできるはず…


 そんなこんなで淡い希望と共に俺の二度目の学園生活は始まった。


 ***


 それから俺は入学式を終え、この学園の学生の一人となった。

 いろんなありがたい話があったが、正直うちの元上司並みに話の長い校長のせいで眠気に襲われ、

 ほぼ話が入ってこなかった。

 …恐るべし、うちの校長。


 まあ、そんなことがあった後、俺たち新入生はそれぞれのクラスに案内され俺たちは自己紹介をすることになった。


 そう、自己紹介だ。(ないメガネをガチャリ)


 自己紹介とは学校なら一番最初にほぼ必ず行う強制イベント。

 このイベントは学生にとってはとても重要な役割をもつ。

 誰と仲良くするか、どんな人がいるのか、などなど、第一印象を大きく与えるのがこの自己紹介というものなのだ。

 だからこそ、友達を作ろうと思っている俺にとって第一の試練と言ってもいい。


 自己紹介の順番はなんとも珍しいくじ引き制。

 くじを引いた結果、俺は真ん中ぐらいになった。

 苗字順なら印象の強い最初の人だっただけに少し惜しいところだが、これはこれで逆にありがたい。

 何故なら、自己紹介で避けたいのは変なことを喋ってクラスで浮くことだからだ。

 変に自己主張をして周りから近づいきがたい人物になっては元も子もない、かといってありきたりを喋っては一切印象に残らないだろう。

 つまり、ちょうどいい塩梅を探すことが先決となる。

 その点でこの順番というのは程よく他の人の自己紹介を学ぶことができる最高の位置と言える。


「では、1番を引いた人から自己紹介お願いします」


「はい、私の名前は――」


 くじの一番を引いた人から次々に自己紹介は進んでいく。

 ここは高校、今更自己紹介ごときで過度に緊張する人なんていない。

 名前、挨拶、人によっては好きなものなどをいい自己紹介を終えていく。


 この傾向から悪目立ちしないぐらいを目指すなら、名前、好きなもの、プラスαを目指すのが良さそうだ。

 それにしても、このクラスは2回目なはずなのに聞き覚えのある名前が一つもあらず、17年立っているのもあるが、当時本当に聞いていなかったのを

改めて自覚する。


 そうしているうちに俺の順番の一つ前まで回ってきた。

 みんなが自己紹介する人の方向を向き、俺もそっちを向く。

 そして一人の少女が立ち自己紹介を始めた。

その少女は銀髪という珍しい髪色をしており身長は小さめだがとても可愛いい顔をしており、一部の男子が小声で騒いでいるのが聞こえる。


「……水野雫……よろしく……」


 ぼそぼそとした声で彼女はそう自己紹介した。

あまりに小さい声だったため何人かは聞こえていなかったようだが、周りが拍手を始めたためそれに合わせている。


 きっと話すのが苦手なのに頑張ってやっただろう。…よし、次は俺の番だしっかり親しみやすいやつだと印象付けるんだ!


 そう、気合いを入れ立とうとしたその瞬間、一部が急に騒ぎ出した。


「おい、水野雫って水野財閥のお嬢様じゃなかったか?」


「まじで!?」


「あ、それ。私も知ってる」


 周りからざわざわとそう聞こえてくる。

どうやらさっき自己紹介した子が水野財閥のお嬢様だとわかり、騒いでいるらしい。


水野財閥…その名は俺でも覚えている。

何故ならその財閥は高校生になる前の俺の世界でいろんなものを生産しており、日本で一番大きい財閥になっていて、俺もすごいお世話になったからだ。

 そんな財閥だ、この時代に有名であっても不思議なことではない。


 それはそうと俺、クラスメイトにそんな財閥のお嬢様がいたのに一切覚えていなものなのか…

 …まあ、だいぶ張り詰めていたもんな…







 あれ?…っていうか、これ、俺の自己紹介、一切印象に残らないのでは…?




 ー自己紹介イベントの結果ー


一つ前の人の巨大インパクトによりしだ失敗

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