1話 目が覚めたら…
「コケコッコー!!コケコッコー!!」
「…うるさっ!!…な、なんの音!?」
耳元で急に爆音で鶏の鳴き声し、俺はガバッと布団から飛び起きる。
少しギンギンする耳を抑えて音が鳴った源をところを見ると、スマホが置かれており、そこに目覚ましと書かれた画面があった。
「…なんだよ、アラームかよ。音量バグりすぎだろまじで。」
そうして少し冷静になった俺は現状の光景を見てこの状況の異様さに気づく。
「……ここは、どこだ?」
パッと周りを見渡すと、俺の知らない部屋が広がっている。
見た感じごく普通のアパートの一室のようでよくある一人暮らしようの部屋だった。
しかし、俺の住んでいた部屋はもっと質素でここまで綺麗ではなかった。
何故なら、家に帰るのなんて一年に2.3回ぐらいしかなく、帰っても疲れで寝過ごすため部屋の掃除なんでできず埃が溜まっていたし、荷物だって散らかっていたからだ。
それだけならいいのだが、何よりもおかしいのは俺は知らないはずのこの光景に見覚えがあるということだ。
おかしな点は他にもある、そう体がものすごく軽いのだ。
これといった疲労感もなく、体が健康そのものなのだ。
ここまで健康だったのなんて俺が高校時代の時ぐらいで……
「…まさか!?」
いやまさかそんなはずはない。この世界は現実で漫画のようなファンタジーの世界ではないのだ。
だから、こんな、こんな、こん…な
しかし、そのありえない可能性は鏡を見た瞬間、確信へ変わる。
「間違えない…高校生の俺の姿だ…」
そう、俺はなんと高校生の自分にタイムリープしていたのだった。
***
「落ち着け俺、まずは現状を把握するのが大事だ。」
俺はこのあり得ない状況を飲み込むために自分に冷静になるように言い聞かせる。
そして、まずは簡単な情報である日付から確認することにした。
「えーと、カレンダーは…あった」
ー2024年、4月15日ー
「2024年というと…高校一年生!?そんで、明日入学式じゃねーか」
カレンダーを見た結果、俺はさらに衝撃の事実を知ることになる。
「お、落ち着け、思い出すんだ俺。この頃の俺の状況を把握するんだ」
高校生、高校生、えーと、確か高校に通うために一人暮らしをしようとして…
そうだ、そうだった。この頃の俺は…
「…そうかこの時期か、これが夢でないならなかなか最悪な時期に戻ったな」
思い出したくもない過去、それは人間誰しもが
持っているものだ。
俺にだってそれはある。そうこの時期だ。
話したくも思い出したくもないから詳細は避けるが、簡単に言うとこの頃の俺は俺は両親を亡くし頼る身がなくなった時期だ。
「この頃の俺は悲しみを消すために勉強とバイトに明け暮れて…」
間違えなく、俺の人生のターニングポイントになったところ。
「…神様、俺にやり直しの機会をくれをくれるのか」
考えていなかったが、もしかしたらこの世界は夢かもしれない。
また、ただの走馬灯なのかもしれない。
ただ、でも、それでも構わない。
社畜になって死ぬ前に最後にこの世界で少しでも青春を感じられるのなら…