プロローグ 地獄の終わり
暗いオフィスでキーボードを叩く音がする。
終電なんかとっくに過ぎているそんな時間にまだ働いている男がいる。
彼の名前は新井佑樹35歳どこにでもいる一人の社畜だ。
「あと、3ページ…」
彼の机にはいくつものエナドリのからが置かれており、彼の目には大きなクマがあり、体はやつれ、髪はボサボサでもう何日も帰っていないのが伺える。
一体どこで間違えたのだろうか?
頭の中でその言葉が常に回り続けている。
常に後悔がつきまとうこの人生、きっともっといい未来になる世界線だってあったはずだ。
それを俺はどこで間違えてしまったのだろうか、
あぁ、だめだ…最近仕事ばっかりしていてもうまともに頭が回らない。
…最後に寝たのいつだっけ?
いやでも、まだ寝るわけにはいかない。
まだ、この仕事が…
「…ぅっ!………」
ードサッー
い、痛い!し、心臓が張り裂けそうだ。
…体に力が入らない…。俺…ここで死ぬのか?
ああ、そうか…じゃあ、やっと解放されるんだ。
…もうここは嫌だったんだ、ここは冷たいから…
……こんな人生に悔いはない、悔いは…ない、けど…
…もう、一度だけ、温かみを感じたい。