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生まれて初の死闘勃発

「お、俺たちの持っているものってなんですか?今、俺たちは手ぶらで来ているんですが……」


俺は田辺と身を寄せ合いながら先生に対して質問をする。それに対して、先生も答える。


「ほう、ここで白を切るというのか?それとも本当に知らないだけかな?」


「ほ、本当に知らないんです。良ければどういうことなのかを教えてくれませんか?」



・ー ー・・ー ・ー・・ ・・・ ー・ー・ー ・・・ー ・ーーー・ ・ー・ー・ ・ーーー ・ー・・

・ー・ー・ ・ー・・ ・・ ー・ーーー ー・ーー・


’今から作戦を考える‘


モールス信号ーーこれは俺たちにとって非常になじみ深い暗号だったりする。俺はいつぞやのアニメを見たときにこれを使っている主人公たちに憧れて覚えた。田辺はゲームでの攻略でこれを覚えさえられた、とかいっていた。



たとえくそげーだったとしても、一度やると決めたら絶対にやりきるタイプの田辺は周りが答えを入手しているなか真面目に覚えたんだとか……


まあ、とにかくそういうわけで俺たちにとってはもはや普通の言語でしかない。それを使って俺の背中を指でたたきながらこちらに伝えてくるということは……



俺がやるべきなのは時間稼ぎだ。おそらく、この状況をクリアするための方法を考えるための時間が欲しいという合図だろう。もしかしたら無理かもしれない……だとすればこの世界でこの状況をどうにかできる人間はいないのだろう。


こいつはあほみたいにゲーム馬鹿だがそのゲームに対する技術力と気持ちは本物だ。ここまでの思考を先生が話始めた話を聞きながら行う。ものすごく頭を使う。



「まぁ、説明ぐらいはしてやろう。いいか、お前たちがとったその独特なコインは世界を壊すかもしれないんだ」



田辺に関する思考が終わって先生の話にリソースを割いた瞬間にそんな言葉が頭の中を駆け巡る。


「ど、どういうことですか?」


「今からその説明をしてやると言っているんだ。」


先生は少し不機嫌になったようで、俺に対して若干強い語気で話す。俺はそれに対してびくっとする。

なにせ、何個もの機関銃のようなものが俺たちに向けられてるのだ。少しでも機嫌を悪くしたら、最悪ハチの巣にされるかもしれない。



「まず、この世の中は様々なものが存在している。例えば人間。例えば鳥。例えば魚。など。」


この人は何当たり前のことを言っているのだろう。頭がおかしいのだろうか?それともこの人なりのギャグ?それなら笑わないとハチの巣にされるかも……



俺は顔をくしゃとして笑っているような雰囲気を醸し出す。それに対して、先生は怪訝そうに言う。


「なんだおまえ?どこか体でも悪いんじゃないのか?いや、頭が悪いのか?」


「いえ、大丈夫です」


どうやらこれはギャグではなかったらしい。これからは気を付けて返答していかないと。



「まあいい、話を続けるぞ。そう言った様々な生物がいる。人間はそういった生き物たちを発見して観察して分類しようとする」


「そ、そうですね」



俺はすかさず合の手を入れる。相手を不快にさせず、かといってこちら側があなたの話に興味を持っていると思わせながら。


「だが、どんな時だって例外や矛盾は存在する。理論の上ではそういうものがなくても実際にはある。」


「そ、そうです。」


「つまり、分類できないということだ。そう言った、分類できない種族を我々は【魔獣】とよぶ。」


「そうなんですか。」




こうして話しているうちに田辺からモールス信号がきた。それに注意をしつつ先生の話もちゃんと聞こうとする。両方ともやるのって意外と難しいな。



「8万人」


「はい?え、えっとそれは……」


なんだ?急に数だけを言うなんて、何か聞き逃したか?声がさっきまでよりも一段階低くなったこともあり俺は一瞬焦る。



「日本で年間行方不明になっている数だ。世界全体でみるなら年間100万人以上が行方不明になっている。これだけ技術が発展しているのになぜこれだけの数が死亡したのかどうかもわからないのか?」



先生が僕にそう問いかけてくる。僕はとにかく無難な答えを選択する。


「人間だってミスをするから、とかですかね?」


「違う。答えは【魔術】、【魔獣】にかかわったからだ」


「でも、そういったものは普段聞かないですよ。本当にそういったものがあ……」



そこまで言いかけて、自分自身のさっきの力のことを思い出す。あの異常なまでの身体能力。確かにあり得ないことも…ない?



「気が付いたか?世界各国で起こっている科学ではありえないようなこと。それを可能にしているのが【魔術】だよ。」


「さっきから言っている【魔術】っていうのはなんですか?」


「【魔術】というのは現在科学で解明できていない力の総称だ。【魔獣】は【魔力】によって元の生物が突然変異のようなものを起こした、と考えてくれれば問題ない」



まずいな、かなり話題が尽きてきた。そろそろ時間稼ぎができなくなる。田辺はまだモールス信号を送っている。これは長いのが弱点だな。できるだけ早くしてくれぇ。


「ちなみに君が持っていた硬貨もその【魔力】と関係しているものでね、何としてでも回収しないといけないんだよ」


「それは具体的にどういうものなんですか?」


「あれは最上位種【龍】がいるところとこちらをつなぐためのものだ。」


りゅ,龍だと?さっきから魔力のことを熱く語ったりしているあたりこの人は中二病かな?いやそれよりも…


「それがないのとあるのとでは何が違うんですか?」


「あれがないと、龍に生贄をささげれなくて我々に災いをもたらすかもしれない。下手をすれば日本全体を巻き込むレベルのものが来るかもしれない。だから必要なんだ」


やばいよな~。これなくしたって言ったら完全にアウトな空気じゃん。


「うん?そんな質問をするということはまさかお前……」


ワンテンポ遅れて先生が気が付いたようでこちらを見る。俺は覚悟を決めて話すことにする。


「そうですよ!なくしました。なくなってしまいましたとも。でもね、俺はずっと持っていたんですよ。持っていたはずなんですよ!」


俺は先生に対して大声でそう叫ぶ。自分が悪いのはわかっているのだが、銃が周りにあっていつ死んでもおかしくない状態で、どこを探してもない硬貨。


それらが俺を一種のパニック状態にしていた。


「きっと足でも生えてどこかに行ったんじゃないですか?俺の知ったことじゃないですけど!」


はぁ、はぁといいたいことを言ったあとに息をつきながら先生の方をちらっと見る。


「そうか……ならば貴様の死をもって竜の贄にしよう」


先生がどこから取り出したともわからない刀を持ってこちらに構える。そして、機関銃もかちゃりと音を立てて一斉にドドドドとものすごい火力でうつ。



だが、僕はそれらの動作、さっきの先生のセリフが終わったぐらいのタイミングで行動を起こしていた。まず俺は田辺をお姫様抱っこしてジャンプして先生を飛び越え教室の扉まで来ていた。


機関銃がドドドドドドドドドと今までにアニメでしか聞いたことのない音で扉の方を向きながらうつ。そこには大量の穴が開いている扉があった。そして、俺たちはというと、既に廊下に出ていた。



教室に取り残された先生の方は見向きもせず一目散に廊下をかけていく。途中で石のようなものにあたったようだが、俺はそんなことを気にせず走っていく。


「人間をかなりやめているな。普通の攻撃では傷を付けるのも厳しいか」


先生は機関銃の弾が矢井田に当たり貫通することなく、打った角度に反射した様子を見ながらそうつぶやく。





「危なかった~、ここまでは作戦通りだな。田辺」


俺は田辺にそう問いかける。田辺も俺の方を見てGOODというように親指を立てる。


先生が起こるタイミングと機関銃が発射するタイミングを教えてくれていたので何とかなったが、ここからも作戦通りうまくいくとは限らない。


俺はひとまず学校の外に出ようとする。田辺いわく、俺のスキルはどう見ても体力系なので屋内の戦闘よりも屋外の戦闘の方が向いているんだとか。


「なぁ、相手のスキルの予想はできているのか?」


俺はお姫様抱っこしながらそう聞く。これを聞いたのはもしも相手も屋外戦闘が得意な能力であった場合はどうするのだろうという気持ちがあった。


「おおよそは。でもスキルが1人1つなのかどうかがわからないのが危険かな。」


どうやら、俺の親友はもう相手のスキルを把握したらしい。まだ、ほかにも持っている可能性がある以上、何とも言えないが。


「ちなみになんなんだ?」


今から戦う可能性があるからな。できるだけ、相手側の情報は集めておきたい。俺はテレポートのような能力だと思うんだが……


「おそらく、空間系統で別の空間を持っているスキルだと思う。」


「へぇ、俺はてっきり【瞬間移動】かと思ったんだが」


「根拠は?」


「あいつはどこからか機関銃や刀を取り出した。それらは本来その場所になかったものだ。ここから考えられるのは別の空間から持ってきたということだ」


俺は自分の考察を田辺に伝える、すると田辺ははぁとため息をつく。そして、続けてこう言い放つ。


「それならあの位置で銃が固定されていた説明がつかないだろう」


そういえば、そうだ。俺たちが話している間も、あの銃は俺たちの方を向いたままあの位置に固定・・されていた。もしも瞬間移動なら固定、はできない。


「つまり、あれはあいつの能力で空間を固定していたってことか?」


「そ。これですべてのことに説明がつく。あんなにきれいな円になっていたのも円という空間を作っていたから。武器を取り出したのも別の空間から、と考えればつじつまが合う」


「うん?でも、待てよ。空間を操る能力って事なら、こんな風に逃げててもすぐにこの空間・・をとらえられて捕ま……」


「それはない。もしもそれができているならもうやっている。それができていないということは何かしら条件があるはず」


俺は走る。そして、窓をバリンと割って外に出ようとする。窓が割れても俺の体は全く痛くない。そして、廊下に降り立つ。そして、走りながらまた窓を割る。そして、廊下に降り立つ。


「田辺~どうやらこちらに攻撃を仕掛けてこないんじゃなくて、もう俺たちは相手の術中みたいだぜ」


さっきから何度も外に出ようと窓を割ったが何度やっても戻ってくるのは緑のタイルの廊下。おまけに俺たち以外のすべての生物がいないのか全く物音がしない。


「もしかして、ここの高校ってすんごいお金持ちで外側からは小さく見えても実際はめっちゃ大きいってこともあり得る?」


俺は田辺に違和感を伝えながらもわずかにあるかもしれない可能性を聞いてみる。


「ありえない。それに割れたはずの窓ガラスがすぐに修復している時点でここはおかしい。」


やっぱり、そうだよな。完璧に敵の術中じゃん。どうやったらにげられんのこれ?そんなことを思っていると俺たちが来た廊下の方からコツコツと足音が聞こえてくる。


そちらにちらりと目を向けると、でっかい刀を持って機関銃を周りにふわふわと漂わせながらこちらに照準を定めようとしている先生がいた。


「まだ話の途中だというのにつれないな。まぁ、ここの空間から逃げることなどできないだろうが……」


えげつないプレッシャー。俺は今まで格闘技も何もやってこなかった素人の中の素人だがそんな俺でも分かる圧倒的なまでのプレッシャー。


どうやら、田辺の方もそれを敏感に感じ取ったようで、ぶるっと体を震わせながら言う。


「この空間から逃げられるほぼ確実な手段が1つある。やってくれるか?」


俺に対して田辺がそう質問してくる。今の状況、そして今までの異能力物のバトルアニメを100は見たであろうおれもおそらく同じであろう1つの案が浮かんでいた。


「やるも何も、これ以外に方法がないだろ?」


「それはそうかも、ごめん。」


俺はその言葉を聞いて頷く。そして、挑む。そう、俺たちが思いついた方法、それは「相手を倒す。」定番中の定番だ。大抵これで元の空間に戻れることが多い。


だが、まれに倒しても元に戻れないというパターンもある。いや、そもそもこいつ相手に勝てるのか?武器がどれぐらい持っているのかもわからないのに。


そんな不安が胸の中を埋め尽くしている。だが、開き直る。失敗したって仕方ないじゃないか。


だって、俺たちはついさっきまで普通の高校生なんだ。こんなゴリゴリのいかにも訓練を受けてきましたと言わんばかりの軍人のような奴相手に勝てるはずない。


「うおおおおお」


俺は雄たけびを叫びながらこぶしを構える。そして、後ろに引き一気に加速させて先生めがけて全力で前に出す。その瞬間、周りの空気が後ろに行って前に一気に行く。


ドゴおおおおおおん。周りにあったはずの機関銃の一つにもろにあたったようだ。それは廊下の向こう側に消えていく。そして、その風の影響で周りにあった機関銃も後ろに吹っ飛んでいく。


それは廊下の緑のタイルもはがれ、窓もばりんばりんばりばりばりという音を立てながら割れていく。


そして、この建物自体にひびが入る。田辺も吹っ飛ばされる。


「は?」


先生からそんな声がする。どうやら俺の攻撃の直前に素早くよけていたらしい。だが、その表情は目が大きく開かれて驚きが顔に現れている。


だが、俺自身も驚きだ。身体能力が高くなっているとは思っていたが、まさかこれほどまでとは…そんな風にあっけにとられていると少し離れたところから田辺の声が聞こえてくる。


「馬鹿ぁ、何やってる早く攻撃に移れ!」


その言葉に我を取り戻し、先生の方を向いて殴ろうとするが,時すでに遅し。力を込めて殴ったつもりが今度はそよ風程度の風しかおこらない。そう、俺の両腕は切られている。


「は?」


俺は足から大量の血が出ているのを見て驚愕する。それに対して、先生は先ほどまでの焦った様子も驚愕した様子もなくクールな表情に戻っている。


「貴様の実力がまさかここまでとは思わなかった。だが、経験の差というやつだ。」


俺は手が切り落とされているが足がまだあるので逃げようとする。だが、次の瞬間に俺の足がばしゅっと切り落とされる。


刀はあくまでブラフか!さっきの腕がなくなったのも同じ技で切ったのか、くそ種が分からん。


「安心しろ、切るのが早すぎて痛みも感じられんさ」


先生の言っている通り、俺の切られた手も足も全く痛くない。だが、死という文字が頭の中を確かによぎる。


「逃げろ。矢井田、お前じゃ無理だぁ!」


その声の方を見ると、足から血が出て動けなくなっている。こんな時でも俺のことを心配してくれんのか。いい友達だぜ。


「田辺、逃げらんねぇよ。覚悟とかそういうのじゃなくてCANNOT、できないんだよ」


俺は田辺の方を向きながらそう言い放つ。そして、俺の足を見て田辺はくそと小さく悔しそうに声を上げる。


「さらばだ。」


そういった瞬間、この空間自体にぴきぴきとひびが入り、バリンと割れる。そして、外側から招かれざる人が入ってきた。


「はいはい、そこまでにしいや。舞花ちゃん、その子殺したらあかんで」



話の舞台をきちんと整うのにかなり話を進める必要があります。舞台が整うまではできるだけ毎日更新を続けていくつもりです。応援お願いします。

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