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学校戦闘

俺達は何とも麗しい美女に抱き着かれている状態の村田むらたをジト~と見る。(先ほどのやばすぎ発言は無視しして)


「お前、こんなかわいい子がいたのか。俺たちに秘密で。彼女はいませんとか言っておきながら……どう思うよ、田辺たなべ?」


俺は隣にいた同じく彼女がいない我が親友田辺に問いかける。


「これは裏切られた気分だわ。こんなにも自分の容態を把握して愛してくれている子がいるのにその愛情を俺たちに隠しておいてよ。ひどい奴だ」


うん?なんだかわが親友は、先ほどのこの子の言ったきも過ぎ発言に対して喜んでいるようにも聞こえたのだが……


「ちょっと、待ってくれ。というか、君もひとまず離れてくれ」


そう言って力ずくで引き離す。がその子はいまだに村田の手だけはひしと握ったままの状態だ。


村田むらたが制服を着ている3人の方ことを大雑把に紹介する。


「まず、こちらにいる3人はこの学校の俺達よりも前に入学している俺たちの同級生だ。それぞれ名前は……」


村田がちらっと見ると先ほどの村田のことを愛しているであろう女の子が言ってくれる。村田から手を放しスカートの端を持って優雅に言う。


本当にこのポーズをする人が現代でもいたんだな、と思いながらその様子を見る。パンツは意外と見えない。


「名乗り申し遅れました。私の名前はアイリス・ロール・テトラ。アイリスと呼んでくださいませ。これからも宜しくお願い申し上げます」


そう言ってアイリスは自身の気品を見せながら挨拶する。アイリスという名前から考えるに、ギリシャ系とのハーフだろうか?


「えっ?」



アイリスの方を見るとそんな声を出して少し驚いたような表情をして、もう一人の女の子の方を見ている。俺もそのアジア系の顔の女の子の方を見る。その子はアイリスをまねてたどたどしくもスカートをめくる。



そう、スカートの前の部分を持ち上げて、真ん前にいる俺たちがちょうどパンツが見やすいように持ち上げたのだ。


てれているのか頬を染めながら俺たちに自己紹介をする。もしも目の部分に黒いモザイクを入れたら、そういういかがわしいものにしか見えないだろう。


「な、名乗り遅れました。高坂唯こうがさかゆいといいます。同級生としてよろしくお願いします」



そんなことを言うが脳内にそんな情報は入ってこない。入ってくるのはパンツの色が白色という情報だけだ。一体、さっきの子の何を見ていたというかのか。まったく、ダメな子だなぁ。(褒め言葉)



別に見たいわけではないが、本人が見せつけてくれるというのであれば見ないわけにはいかないではないか。しょうがないなぁ、全く全く。


だが誰もそのパンツのことには特に触れず次の男の子の自己紹介にうつる。


「俺の名前はダル。ダルと呼んでくれよろしく」


そう言って自己紹介が終わる。う~ん、こう言っては何だけど……濃い!濃すぎる


今まであまり個性のない俺と委員長と田辺たなべと陽キャの村田みたいな感じで平均して10%ぐらいだったのに、いきなり90%の濃さの奴らがぶち込まれたみたいだ。


「ちょっと待て。一年生って俺たち4人とこいつら3人の7人だけなのか?」


「ああ、そうだよ」


田辺の質問に村田が答える。


「少なすぎだろ。普通1学年って言ったら100人ぐらいいるもんじゃないのか」



「そうだね。でも、【聖術】を使える人は極めて少ないし、それを使えることをあまり周りに言わないから、発見するとなると数はさらに少なくなる。その結果がこの人数というわけさ。人手不足の理由がわかっただろう?」



「ああ」


「それじゃ、ひとまず教室にいこっか」


そう言って村田がアイリスと手をつないだまま教室の方に歩き始める。俺はアイリスとの関係が気になったので聞いてみる。


「なぁ、アイリスと村田っていったいどんな関係なんだ?」


「それは……」


「もちろん、未来の夫婦です!」


村田が俺の質問に答える前にアイリスが大きな声で答えてしまい、さえぎられてしまう。


「自称で一方的に言っているだけだけどね」


村田はぼそりとつぶやく。


「私達は結ばれないといけないのですよ。お互い満足できる相手でしょう?決して悪い話ではないでしょうに」


「ところで、先生は?こっちがここに来る途中で別れちゃったから、まだついてないかな?」


村田はさらりと話題を変え、ごまかす。アイリスもあえてその変わった話題に乗ってあげる。


「いえ、まだついてないですね。先生が直々にいかれたんですか?」


「ああ、車からさっそうと。かなり厄介だったみたいだ」


「つまりかなりの案件ということでしょう。ならばそれ相応の時間がかかるはずです」


「まぁ、それもそうか」


「心配なのですか?」


「そりゃあそうだよ。先生だって人間だ。無理をすれば死んでしまうからね」


「我々が心配しても仕方ありません。先生は私たちよりも強いのですから、先生が無理なことは私達では解決できませんよ」


「その通りだけど……」


村田が言いかけたところで村田の手をアイリスがぎゅっと握ってあげる。村田がアイリスを見るとアイリスは笑みを浮かべながら言う。


「不安なら私がこうして握ってあげます。いつだって怖いときは私がそばにいるってことがわかるように握ってあげます」


「ありがと」


俺たちの前を歩きながらそんなことをしている。非モテの俺達からしたらうらやましいことこの上ない。俺は田辺に声をかける。


「なぁ、初見で見たときは少し引いたけど、普通にお似合いのカップリングじゃね?」


「それな。こんなん見せつけられてたまったもんじゃないぜ。ま、村田むらたもただの男子高校生ってことだ」


俺たちがそんなことを言っていると隣にいた委員長から言われてしまう。


「二人とも見苦しいですよ。素直に嫉妬しているとでもいえばいいじゃないですか」


「「うぐっ」」


それを言われると俺たちは黙ってしまう。あんなしっかりと彼女はおれも欲しいもんだ。


「ほら、着いたよ」


村田が校舎の前で立ち止まって俺達に言う。学校の敷地内を歩くだけだというのに5,6分はかかったな。どんだけ敷地が広いんだこの学校。


「じゃあ、俺達が使う教室まで行こうか」


そう言って校舎の中に入る。一階にはでかい教室が1個あるだけだった。そこに1年と書かれていたのでここなのだろう。


ガラガラと開けると、すでに中には辻井つじいさんがいた。教壇の上に立ってスマホを操作していたが俺たちに気が付くとスマホをしまって声をかける。


「やっ!遅かったやん」


「先生!早かったですね。もう終わったんですか?」


「まぁね。今はもう後片付けの処理班が向かっていると思うで」


村田と辻井つじいさんは軽くそう話した後で村田は席につく。そして、辻井さんは俺達の方を見て声をかける。


「新入生の君たちも好きなように空いている席に座ってくれたらええで」


「あ、はい」


そう言って俺たちは空いている席に適当に座る。すると、少し離れたところに座った田辺に対して辻井さんが声をかける。


「うん?席も空いているんやからもう少し近くに寄ってもええんやで」


「ああ、わかりました」


そう言って一番端の席から中央寄りの方に座りなおす。そして、全員が座ったのを確認して辻井さんは教壇の上から話す。


「え~今年度の一年生の担任を務めることになった辻井つじいです。新入生の人もほとんど知っとると思うけど改めてよろしゅう。

この学校で大事なことはたった一つや。アイリス言うてみ」


アイリスは当てられると凛として答える。


「はい、先生。強者でも弱者でも他者を重んじることです」


「そうや。この学校では様々な変わったやつがおると思う。今までの常識では考えられんようなやつとかがな。

そいつらのことを最初から否定せずにひとまずは受け止めろ。そのうえでキミたちが判断したらええ

そしてその判断を否定であれ肯定であれそれもまたされた側も受け止めるんや」


なるほど。誰も高ヶ坂さんがパンツを見せた時に誰も言わなかったのは受け止めていたからだったのか。


これはいい校訓だ。この学校に入学して良かった良かった。


「じゃあ、さっそくやけどグラウンドに出てなぁ」


そう言われて俺達は村田の後をついていきグラウンドまでいく。


「グラウンドって先生は言ってたけど……」


「これじゃあ、林と大して変わんないだろ」


そう、木々が生い茂りその中に日光が差し込んでいる。川のせせらぎが聞こえてくる。そんなところに連れてこられたのだ。


「いやいや、ほら、そこにグラウンドって書いてあるでしょ」


すぐそこにはグラウンドと書かれた看板がある。


「いや、こんなのがあるってことはここをグラウンドだと分からなかったやつもいるってことだろ?」


「まぁ、そうともいう」


やっぱりそうだ。ここは森なのだ。グラウンドとはもっと平地で木なんてないはずなのだ。


「みんな集まったかな?」


そういって辻井さんが聞くとみんなの代表役ともいえる村田がそれにこたえる。


「まだ高坂さんがまだきていません」


「そうか。じゃ、今日やることを軽くだけ説明しとくで。今日やっていくのは新入り4人VS古参3人での軽く戦闘対決や」


「どれぐらいまでの怪我はOKなんですか」


「う~ん、そうやね。医療班が治せるレベルのけがやったらOKやな。後遺症とかが残るレベルもダメやな。もしやったら、ペナルティがあると思っていてくれ」


そこまで話した所で高坂さんが来る。どうやら服を着替えていたようだ。ショートパンツにスポーツブラだけという運動に適した格好をしている。


これにより、筋肉質な体が一層あらわになっている。うっすらと筋肉の筋がお腹に入っており、脇腹に無駄な筋肉はない。


全体的に細く一見頼りないがしっかりと必要な量の筋肉はつけられており、日ごろから鍛えているということがわかる。


そして先ほどまで制服を着ていたせいか気が付かなかったが意外に胸もある。スポーツブラに所せましとギッシリと入っている。


「すいません。遅れてしまって」


「ええよ、ええよ。これで全員そろったことだし詳しく話を始めていくで。

さっきも言った通り今日やるのは古参3人VS新入社4人の戦闘対決。

時間は1時間。このグラウンドからは出たらあかん。

勝敗は君たちについているこの紙の形代を通じて教員たちが余力を鑑みて判断する」



そう言って一人につき一枚の何やら術が書かれた人型の紙がそばに来る。辻井つじいさんは話を続ける。


「もしもこいつらが無理だと判断してSTOPという声がかかったら戦闘をやめること。

それでも戦闘を続けていた場合は何かしらのペナルティをくらうで。

武器や【聖術】や陰陽術の使用はもちろんOK。

ルールとしてはこれぐらいやけどほかに質問あればどうぞ」



アイリスはすっと手を上げる。辻井はアイリスを当てるとアイリスは質問する。


「今回の対抗戦は一体何が目的でなさるんですか?もしも交流関係を深めるということなのでしたらお世辞にもこのチーム分けはよろしいとは……」


それは俺も思っていたことだ。新しく入ってきた同級生と仲を深めるためにするのであればこの分け方ではあまりよろしくないだろう。


「その通りやね。でも即興のチームを作ってもうまくいかんことは目に見えている。だから、すでに仲がある程度いいチームで作ったわけや」


「なるほど。先生にも考えがあるのはわかりました」


そう言って納得した様子だ。大方ケチをつけて村田と一緒になりたかったんだろう。どこまで愛しているのやら。


「それじゃあ、ある程度土地勘がある古参組は残って新入生組は森の中を見ながら待機しといて。5分後には始めるで」


そういわれて俺たちは森の中に入っていく。要はこの5分の間にある程度森の地形を把握しておけよという話だろう。俺達は森の中に入っていく。


「でどうするんだよ?」


俺はみんなに尋ねる。このままやったところでどっちが勝つかと言えば向こうだろう。何せこちらは新人3名と経験は多少あるが実践を最近していなかった村田だ。


それに向こうの方は土地勘がある。対して、こっちは現在見ている最中だが、ほとんどわからない。このままいけばこっちの方が不利なのは明白だ。


「どうするもこうするもないだろ。俺達のアドバンテージを最大限に利用するだけだ」


俺の質問に田辺たなべが答える。すでに何か策有りなのだろうか?


「アドバンテージって?」


「人数だよ。だから、誰か二人が相手の二人を引き付けている間に俺ら残り二人が残りの一人を倒す。そうやって順番に消していくんだよ」


言い方は悪いが勝率がだいぶ高そうな作戦だ。問題はその引付役の二人が耐えられるかどうかだが……ある程度実戦経験を積んでいる村田と俺が行けば大丈夫だろう


「あ、あの」


「うん、何委員長?」


「村田さんって相手の方々と面識があるんですよね?」


「まぁ、一応はね」


「なら、相手の能力とかもある程度知っているんじゃないですか?」


「ああ、知っているよ。全員じゃないけどね」


「なら、その情報を共有して能力的に相性のいい人たちをぶつけませんか?そうすればこちらもさらに有利になると思います」


「うん。賛成だよ。じゃあ、相手の能力を言っていくね」


そう言って村田は俺たちに相手の能力を言ってくれる。そのうえで俺たちは即席だが作戦を立て森の中で待機する。


「みんな準備はできたかな?」


辻井さんの放送が入り森の中に響く。この人型の紙で分かっているはずだからわざわざ聞く必要はないとおもうが……盛り上げるためにわざわざこんなことをしているのだろう。


「では用意ドン!」


その掛け声とともに古参メンバーが森の中に入っていき一年生同士のバトルが始まった。






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