殺意マシマシ
俺達は体育館のドアを開けて中に入る。だが、そのときにギャラギャラと大きな音を立ててドアを開けることになってしまう。当然、そんな音を立てたらみんながこっちを見るわけで……
「俺たちめっちゃ見られてるじゃん。やっぱ後から来るんじゃなかった~」
「てうか、これってどこに座ればいいんだ?」
俺は一斉に見られたことにびくっとしたもののみんなはまた前の上に立って何やら長そうな話をしている人の方を見るので次にすべきことを考える。
「もう適当に座ればいいんじゃね?」
「いやいや、もしも間違って上級生のところに座ったらどうするんだよ」
もしも、上級生から変に絡まれたりしたら厄介だ。さすがに暴力を振るわれるなんてことはないと思うがそれでも目立つだろう。上級生とはほどほどの関係が好ましい。あまり目を付けられたくはない。
俺はそんなことを思いながら会話を続ける。
「だから、先生に聞いておかないとダメだろ?先生に聞いておけばそこに間違って入ることはないだろうし?」
「それ完全に上級生のところに行くフラグじゃん。うわ~まじか~俺そんなコミュニケーション得意じゃないのに…」
「なんでもう行った前提なんだよ。とにかくそういうわけだから早く聞くぞ」
俺は近くにいた先生にどこに座ればよいのか聞いてみる。その先生は目が鋭く厳しそうな女の先生だった。なんといっても目を引くのはその容姿だろう。顔立ちは整っており白い髪型で肌も白く赤い目。アルビノのような見た目だ。髪型はポニーテールで長い髪でしっかりと結ばれている。
身長は俺と同じかやや高めの175ぐらいだろうか。女性にしてはなかなか大きい。だが、この先生を見るにあたって最も注目するべきはそこではない。そう、やはり一番は胸だ。でかい。黒いスーツが今にもはちきれんとするほどの圧倒的な存在感を醸し出している。ここまでのサイズの教師が実在したとは……
そして、腰のあたりは無駄な肉がなくきゅっと引き締まっているのがスーツ越しでもわかる。尻もでかい。ボン・きゅ・ボン。
……102・72・104。スリーサイズはこれぐらいだろうか。多少誤差があるかもしれないがおそらく2,3ぐらいしかないだろう。俺がそんな風に見ていたら先生の方から俺に声をかけてくる。
「ちょっと、そこの君。その制服でその色ということはわが校の一年生だろう?早く席につけ」
どうやら制服の色によって学年が分かれているようだ。自分の学校のルールを俺はあまり知らない。そこまで興味がないからだ。俺の制服の色は緑なので一年生は緑ということか。
「そうしたいんですが、あいにく自分のクラスとかがわからなくて……」
「何?名前を言ってみろ」
「矢井田新って言います」
そういうと、その先生は手に持っていたでかいファイルを開けて何やら調べ始めた。しばらくすると、ファイルから顔を上げてこちらの方を見る。その顔にはにやりとした笑みを浮かべながら。
「喜べ、お前は1年B組、私の受け持っているクラスだ」
先生は俺に向かってそう言い放つ。ふふーん、毎朝このでかい乳と尻を見ながら過ごせるのだと思うと、悪くはないな。顔も普通にいいし。声も凛としててクールなイメージにぴったりだ。
そんなことを思いながらぐふぐふ言っていると田辺もその先生に自分のクラスなのかを尋ねている。同じように喜べと言われているのが聞こえた。どうやら、俺と同じ1年Bクラスのようだ。
「あの、1年Bクラスなのは分かったんですが、結局どこに座ればいいんでしょうか?」
「ああ、あのあたりに座っててくれれば構わない。特に細かい場所指定があるわけではない」
そう言って先生は右寄りの前の方を指さしてそういう。俺はそれに従って田辺と同じようにして前の右側の方に向かおうとする。すると、先生が声をかけてくる。
「お前たち初日から堂々と遅刻とはなかなかの問題児じゃないか。一年間はたっぷりかわいがってやるから覚悟しておけ」
口元に微笑を浮かべながら俺たち二人に対してそういう。その笑みはクール系がたまに見せる笑みだった。若干妖艶な大人の色気も出している。
そのあと俺たちは前に行くのだがやっぱり前に行くので多少目立つわけで…まあ、さっきの扉を開けた時よりは全然目立っていないのでいいだろう。
俺達は同じ緑色の制服がいることを確認してそのあたりに腰を下ろす。そして、前に立っている人の話を聞こうとするが、1分ほどして飽きたので田辺に話しかける。
「なぁ、あの俺たちの担任の先生って……」
「101・68・104」
俺が質問をする前から田辺から答えが返ってくる。やはり、田辺も注目していたか。
「ほほう、さすがになかなかやるな。ちなみに根拠は?」
「俺の長年の経験によって生み出された洞察力と観察眼かな。こう見えてもギャルゲーを今まで2桁後半はクリアしてきたからな」
「なるほど、な。ちなみに俺は102・72・104だと思うぞ」
「ふむ、尻は同じか。だが、些か腹が出すぎだとは思わないか?あれはもう少し引き締まってると見た。服もきているしな。そこを除去するのを忘れているのではないか?」
田辺は俺の答えに対して鋭い指摘をする。だが、もちろん俺はそれに対する反論をする。
「いいや、あれは多少筋肉がついているのもあってやや大きいと見た。俺の長年の美少女をアニメで見てきたことによって培われた勘がそう警鐘している」
「ほほう、さすがになかなかやるな。だが、お前は少し勘違いをしているんじゃないか?」
田辺が俺の方に対して疑問形で問いかけてくる。
「勘違い……だと?」
「ああ、冷静になって考えてみろ。あの人は学校の教師。しかも中で作業をするタイプだろう。さっきの校門前にいたやつが体育教師だろうからな。つ・ま・り?」
田辺が俺の方を見ながらそう問いかけてくる。俺はそれによってすべてのピースが頭の中でビビットつながる。まるで、パズルを一瞬で組み立てるように。そして、パチンと指パッチンをして、田辺を指さす。
「運動をしていなくて、筋肉があまりない?」
「正解だ。そして、そこから導かれる結論はあまり肉がなく70は下回っているだろう」
田辺は自分の見解を俺に向かってそう告げる。だが、俺も負けてはいられない。
「いや、まてそれだとおかしくなるぞ。」
「なに、どういうことだ?」
「その見解が正しいと仮定しよう。」
「ほほう、背理法をもちいてくるとは……なかなかやるな」
「まあな。話を続けるぞ。さっき言った通り運動をしていない、つまり肉がないとのことだったがそれは筋肉の話だ。つまり、脂肪は落とされていない、つまり70は上回っているはずだ!」
「くっ、流石の洞察力と推理力。まさか、ここまでやるとは……な」
俺が自分の意見を言い終えたところでふと周りを見渡してみると、かなり大きな声で言っていたようで周りの子たちから注目を集めていた。女子や、男子どちらからも。
いや、それどころから前に立っていた偉い先生らしき人からも見られているようだ……と思った直後、後ろからあきれるような声がする。後ろを振り返るとそこには数分前にあった俺たちの担任の先生がいた。
「はぁ~、やらかすなと警告したところだっていうのにお前らは速攻で……今お話ししているのはこの学校の校長先生」
あの人校長先生だったのか。まだこちらを見られているが手でも振替しておこうかな。でも、校長なら俺たちが在学中に変わることも普通にあるでしょ、気にしない、気にしない。
「を超える理事長だぞ。この学校の一番偉い人に目を付けられるとか……」
噓です。気にします。理事長だ……と?!これから三年間絶対お世話になる人じゃないか。この学校の経営者で校長なども自分の好きなように挿げ替える事ができるそんな人じゃないか。
「はは、お前終わったな~もう、これからの学校生活素直に楽しめないかもな」
隣で俺のことを田辺は笑っている。こいつ、友人がピンチの時に笑うとか非情すぎんだろ。
「お前、何を言っているんだ。さっき、私は「お前ら」といったはずだ」
「ははははは…は?は、は?」
その言葉を聞いた瞬間、田辺の馬鹿笑いがやむ。そしてその顔は見る見るうちに青ざめていく。そして、先生の方を見る。先生はそれに対して先ほどのように微笑を浮かべながら答える。
「もちろん、お前だって怒られる対象だぞ。後で二人とも職員室にこい。た~ぷりしかってやるからな」
田辺の顔がたちまち険しくなっていく。は、ざまあみろ。俺の子と笑っているから罰が当たるんだ。
先生の笑みは、田辺の顔が青ざめていくのに比例してドンドン濃くなっていく。そして、顔全体で笑みを表現する。うん、間違いなくSだ。それもとびっきりの。
「ぷっ…ぷぐく…はは、あははははは、お前の方こそ終わったな~」
俺は田辺に対して馬鹿笑いをお見舞いしてやる。さっきまで俺のことを笑ったのだ。それなら、こちらも遠慮なく全力で笑ってやる。
しばらくして、笑いが収まった時には周りは静かになっていた。そして、先生たちもこっちをみている。前にいてさっきまで話をしていた理事長もこちらを見ている。そして、静かになると理事長が話を再び始める。
「最近の子たちは元気だと聞きますが、今年はわが校にも一段と元気な子が入ってきたみたいですね~」
理事長がそう言い終わった瞬間。会場が笑いに包まれる。皆さん、笑っていらっしゃる。俺と田辺だけは笑えていなかったのだが。
「なあ、矢井田」
「うん、なんだ?]
「俺たちってもしかして初日から失敗した系男子か?」
田辺が俺の方を向きながらそう聞いてくる。俺はそれに対して満面の笑みをうかべながら答える。
「いいや、初日から問題児系男子だよ」
「ふっ、そうか。で、この後の3年でそのイメージを消す事ができると思うか?」
「さあ、99.99999パーセント無理だろう、けどそれでもやるしかないさ」
「やっぱりそうだよな~」
「まあ、この長い話が終わったら俺達は早速先生の元へ行かないといけないんだがな」
「そういや、そうだった」
ようやく長い長い話が終わったら。終盤の方は正直飽きて全く聞いていなかったが…みんなが「終わった~」などと言いながら俺と田辺だけは職員室の方へ向かう。
「やっぱりあの校長?先生が話しているときに俺たちがもっと大きな声でしゃべって目立ったのが原因だよな?」
「ああ、何か言い訳を考えておかないとこれはまずいかもな」
「言い訳ってどんな言い訳だよ。自分の担任の良いところについて語っていただけです~とか言ってごまかすのか?それともほかに何か良い訳があるのか?」
「こんな時にダジャレ言うなんて余裕だな。」
「ま、俺一人じゃなくてお前も一緒だしな。恐れることなんて何もないだろ?」
「まあ、そうかもな。にしても、さっきから先生の姿が全く見えないんだが……本当にこっちであっているのか?もしかしたらまちがえたんじゃ」
周りには先生どころか生徒の姿すら見えない。そして、やけに静かだ。人の声も全くしない。さっき先生に聞いた時には「一階の一番奥の部屋」だと聞いていたんだけどな。
「うん?あれ?」
「どうしたんだ?」
田辺からの問いかけを無視して俺はポケットを探る。ない、ないのだ。先ほど道で拾ったはずの硬貨が。ずっとポケットに入れて出していなかったはずなのに。
「あのコイン、失くしたわ」
「あちゃ~。まぁ、でも誰のものなのかわからなかったしいいだろ」
ようやく一番の奥の部屋が見えてきた。そこには確かに「職員室」と書かれている。どうやら先生の言っていることは正しかったようだ。
「先生の言っていることはあってたみたいだね」
「うん、たぶん先生たちがまだ誰も戻ってきていないだけでしょ」
コンコンとノックをした後ガラガラと職員室の扉を開き中に入る。そこにはさっきのどSお姉さん、ことうちの担任がいた。
「おお、来たか?ここまで来るのに迷わなかったか?」
先生が椅子に座っており、何やらファイルを見ていたのだが顔を上げてこちらに話しかけてくる。馬鹿にしているのだろうか。流石に高校生にもなって迷うはずもないだろう。
「先生、馬鹿にしないでください。流石に迷いませんよ。3歳児でもないんですから」
「そうか。お前たちは迷わなかったんだな。」
先生が満足そうにうんうんとうなづく。その顔には笑みが浮かんでいる。そんなに俺たちが迷わなかったことがうれしかったのだろうか?
「なんか保護者面してね?まるで俺たちがガキの頃を知っているみたいな反応だよな」
「それな。でも俺あの人のこと知らないぞ。お前は?」
「俺があんな人知っているわけないだろう。」
そんな風にこそこそとしゃべっていると先生がしゃべり始めたので俺たちはひそひそ話をやめることにする。だが、次の行動に俺たちは驚愕することになる
「お前たちが持っているものをこちらに渡せ。」
次の瞬間、どこからか出てきたのかガチャガチャと音がしたかと思うと、大量のマシンガンらしきものが何もない空間に出てきて俺たちの周りを円周上に囲む。
「渡さないなら……あとはわかるな?」
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