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わすれもの

作者: リュウ
掲載日:2023/10/27

あなたは、わすれものをしますか?

大切なものを忘れないように。

「あれ、ハンコがない」

 また、何処かに忘れてしまった。

「確かにここに入れた」と通勤鞄を探す。

 しかし、そこにハンコは、無かった。

 私は記憶を遡る。

 最後に使ったのは、あの時、鍵を返す時に使った。

 そして、ポケットに入れた。

 そうだ、ポケットの中だ。作業着のポケットの中。

 と言うことは、つまり、ハンコは会社にある。

 明日、会社で確認しようと捜索思考を止めた。

 この止めるってのが、僕にとって大事なこと。

 止めないと、頭のどこかに残っていて、忘れていたスマホのアラームのように捜索に引き戻される。

 そして、頭の中に大きく響き渡るようになるのだ。

 その時にテレビの音とか、人に話しかけられると、もう、頭の中がいっぱいになる。

 そして、僕の発する語尾が鋭利になり、人を傷つける。

 自分でもわかっているんだ。

 イライラしていることは。

 そんなに強く言ってないつもりだけど、そうじゃないと相手の眉間に皺がよっている。

「ゴメン」僕は小さな声で呟く。

 こうなってしまったのは、歳のせいだろうか?

 最近、よく小物を忘れるし、同じところを何度も探してイライラしている。

 これは、よくない。

 誰も悪くない、私が悪いのはわかっている。


 探すことを止める為に、私はあることを考えた。

 物を無くしてしまった時、きっと、そこに居る神様みたいなものが、

「置いてけ」と言っているのだと考えて諦めることにしている。

 何か、私に関する何かと引き換えに何かを置いていくと考えた。

 怪我をするとか、何か悪いことが起こる代わりに、何かおいていくのだと。

 そうすると、未練が綺麗に断ち切れて気持ちが良い。

 物を無くした時に、そこに居る神様みたいなものに、「どうぞ、お納めください」と小声で言う。

 そこからは、全て忘れる。

 諦めることができるのだ。


 そろそろ休もうかと、ベッドに潜り込んだ。

 その時、ふと疑問が浮かんだ。

「あれ、私はだれだっけ?」

 思い出せない、忘れてしまったようだ。

 私は、天井を見上げで「どうぞ、お納めください」と呟いた。

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