旦那ちゃんと嫁ちゃんのメリークリスマス
童話の世界にそっとやって来ました。
今日はクリスマスイブ。
旦那ちゃんサンタは、子どもたちへ配るプレゼントの準備をしていた。
嫁ちゃんはそれを手伝っている。
「この子はオセロが欲しいんだって、今どき古風な」
「黒の世界を白に変えたいのよ、きっと」
「何の話」
「さぁ?」
「・・・・・・」
嫁ちゃんの言葉に旦那ちゃんは首を傾げ、次の手紙を読む。
「ほう、この子はあの流行りのDX日〇刀か」
「良かったわね。買わなくって」
「ああ、子どもの夢を取り上げてしまうところだった・・・」
旦那ちゃんサンタは苦笑いを浮かべながら、袋におもちゃのプレゼントを入れる。
それから、
「・・・プレステ5だとっ!ふざけるな!」
旦那ちゃんの手紙を持つ手が震える。
「ちょっと旦那ちゃん。子どもの願いよ」
「これっウン万円もするの・・・それに見て、この字、達筆、日ペンのみ〇ちゃんに倣ったみたいに綺麗だ。これは大人だよ・・・子供の皮をかぶった大人になれない子ども・・・そんな大人子どもには・・・」
旦那ちゃんは一冊の本を取り出した。
「「かぼちゃ〇イン」の三巻を贈ろう。これはクリスマスの奇跡と呼ばれる贈り物だ」
「えー嫁ちゃん、それ知らない」
「嘘つけっ!ドストライクだろ。あなた同い年生まれっ!」
「・・・じゃ「ハイスクール奇面○組」で」
「なつかす・・・前奏(口ずさむ)♪長い渡り廊下で♪」
二人で合唱する。
「・・・俺って、ハイスクールじゃなくて「三年奇〇組」が好きだったんだよね」
「知るかッ!」
などと、いったやりとりが、あったりなかったりとかで、ようやくすべての子どもたちのプレゼントの準備が整った。
白い粉雪がしんしんと降りだし、二人の住む丸太家や隣のモミの木に降り積もっていく。
夜に舞う白い結晶たちも今夜ばかりは嬉しそうだ。
「そろそろいくか」
旦那ちゃんは雪舞う星空を見上げた。
「いってらっしゃい」
微笑む嫁ちゃん。
トナカイ達も今日のこの時を待ちわびている。
「じゃ」
「ちょっと旦那ちゃん」
「ん?」
「下」
「へっ?」
「はいてない」
「どうりで俺の日〇刀が縮こまってる筈だ!」
「・・・いや、あんま変わんない」
「嘘」
「ホント」
聖なる夜にメリークリスマス。
もうすぐ、メリークリスマス!