入学式 (愁哉)
今日は入学式である。
晴れてDクラスになった愁哉はぐだぐだ口を言いつつもなんだかんだで学校には来ていた。
(はぁ。なんだかんだで来ちまったよ。)
愁哉は今クラスの前にいる。
扉の上にはDと書かれた立札がついている。わかりやすい。
そして彼は、扉を開ける。
中にはもう殆どの生徒が来ていたようだ。
そして、黒板には名簿と席が貼ってある。どうやら名簿順の様だ。
彼は自分の席につき大きくため息を吐く。
(始まっちまったな。朝早いし、なかなか大変だわ。これ。)
また愚痴を何度も心で言っていると、教室の扉が開く
「おし。全員いるな。俺がDクラスを受け持つことになった斎藤竜介だ。宜しく!」
扉の前の教壇に立って先生が自己紹介をする。それに生徒各々が「よろしく」や「よろしくお願いします」などと返事をする。愁哉は小声でよろしくと言っておいた。
「さて、初日はみんなの自己紹介と席替えをする。その後学校の説明を少しした後今日はお昼で解散だ。明日から授業が始まるからそのつもりで。では相澤亮から、」
「はい。あいざわ……」
と名簿順で自己紹介が始まる。
(何言おう。趣味も何もないしな。)
考えているうちに愁哉の番になった。
「次、小鳥遊 愁哉。」
「はい。小鳥遊愁哉です。高校は行ってません。好きなものは猫です。よろしくお願いします。」
(スタンダード。素晴らしい自己紹介じゃないか)
と、愁哉は自分の自己紹介を称賛していると…
「趣味とかないのか?」
(げ。ねーよ。どーしよ。)
先生から変化球がとんでくる。まぁ普通の人なら趣味の1個や2個あるだろうが生憎愁哉にはない。
「え、えーっと。寝ること?ですかね。」
「寝ること。先生も好きだぞ」
と笑いながら先生が答え、続けて質問してくる
「剣を振るのは好きじゃないのか?高校に行ってないってことはどっかで修行してたんだろ?」
「今はそんなに好きじゃないですね。」
(最悪の質問だよ。)
「そうか。ありがとうでは次……」
少し愁哉の胸に黒い何かが残りつつも、
自己紹介は、続いていくのであった。
「よし、全員終えたな。では次席替えをしてもらう。先生が、クジを作ってきたからこれを1人1つ引いてくれ。その番号の席に着いて席替え完了だ。」
席替えが終了したが、愁哉は1個前の席になっただけだった。
そんな幸先の悪さに授業の間の休みにまたため息を吐くと、
「どうしたの?そんなため息吐いて、席よくなかった?」
隣の席のおかっぱの髪型の黒目の少年が話しかけてくる。
「んと、君は確か、」
「一回じゃ覚えられないよね、人の名前。僕は白阿久斗よろしくね。」
「よろしく俺は小鳥遊愁哉。席はまぁあんま変わんなかっただけだけど、ちょっとね、、、」
と、愁哉は歯切れの悪い返事をする。
「Dクラスが嫌だったとか?修行結構してたんでしょ?」
「いや、そうゆうわけじゃないんだけどね。」
(すごいコミュニケーション能力だな。こいつ)
「わかるよ。僕の友達もさ、二人ともAクラスでさ、僕も頑張ったんだけどね」
と阿久斗は苦笑いを浮かべながら悔しそうに呟く。
(まぁ、俺はA行きたいわけじゃなかったんだけどな。)
「そうなんだ、残念だったね」
そう、愁哉は労った。
「うん。でもしょうがないねここからまた頑張ろうと思うよ!」
「お、おう。頑張れよ」
「ありがとう。愁哉も頑張ってね!」
「お、おう。」
お互い応援しあい、休憩を終えるのであった
「さて、今日はこの学校の説明をする。」
説明を引き取ろう。
―冒険者学校―
授業は座学で冒険の知識について学ぶこれを週3回2時間。後はすべて実技だ。一日約一時間の授業を5回行い、それを週5回毎週行う。
そして、この学校には部活は存在しない。あるのはギルドと呼ばれる部活のようであり、バイトのようなもの。
ギルドは学校からの依頼や、地域の人からの依頼などが学校ギルドの掲示板に張り出される。それをパーティと呼ばれる約4〜5人で組まれるグループでこれをこなして小遣い稼ぎをする。ギルド内でアルバイトや飲食店でのアルバイトをしてお金を稼ぐ方法もあるが、それは冒険者学校に入れなかった人が優遇される。
また、複数のパーティが集まったグループをクランと呼び統率の取れた団体行動をする。ソプラビートの時に真価を発揮する。
クラン内でのパーティメンバーの入れ替えや、材料の分配なども行われていて、基本的に冒険者パーティはクランに入ったほうがメリットがある。有名なクランもいくつか存在する。
ギルドのランクはS、A、B、C、D、E、Fまである。また、SランクのみS1、S2が存在し、S1はギルドが出す最上級の依頼で緊急任務。S2が国からのみの発行になる特急任務。
Sランクはどちらも強制ではあるのだが、S1は全ての冒険者が参加義務。
S2はAランク以上のパーティのみ参加可能の任務。
理由は基本的にS1は基本的にソプラビートである。数は多いが魔物一匹一匹は強くないので、数が欲しい。
S2は災害級魔物が、主の為数よりも一人一人の力が欲しい。よって、ハードルが設定されている。今までで発令されたのは4度だけ。
お返しします。先生。
「とまぁ大体こんな感じがこの学校のシステムだ。じゃあ今日は終わりだ。明日から本格的にスタートするから気を引き締めろよ。んじゃあ解散!!」
そう言って先生は教室を出ていくのであった
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