クラス決め試験
(どうしてこうなった。)
さて、彼の愚痴から始まったわけだが、彼は今学校に来ている。
理由は1つ。
この学校に通う為である。
そう。彼のもとに昨日合格通知が来たのであった。
(白紙テストで合格ってどうなってんだ。頭わいてんのかここの職員。)
失礼なことばかり考えながら彼は受付へと向かう。
そして、クラス分けの為のトーナメント戦の受付をして試合が明日になったので、彼は寮に帰るのであった。
―寮―
一人一部屋設けられていて、学食は朝、昼、夜タダ。
家賃もタダ
光熱費もタダ
何も支払わなくて良いのがこの学校である。
もちろん学費もタダである。
それ程までにこの国の冒険者は優遇される。
大浴場が地下にあるが、各部屋にも簡易的なお風呂があるので殆どの生徒が大浴場を利用する。
愁哉は自室に帰り考え事をしている様だ。
(住むだけなら、めちゃくちゃいいとこだなここ。授業受けないで1年ここにいれねーかな。そしたらその先が真っ暗か。もういっそ冒険者じゃない道も、、、いやできっこねーか俺には。俺は修行しかやって来てないし、この手には何も…)
考え事をしながら眠りにつくのであった。
それから愁哉は19時頃に目を覚ます。
(結構寝たな。腹減ったし飯でも行くか。)
軽く外に行く準備をして、食堂に向かう
食堂には多くの生徒がもう仲良くなったのか、それとも高校からの仲なのかわからないが、グループになって食べている。
(友達ね、、、)
愁哉は受付で野菜と魔物の肉の炒め物とご飯と野菜スープを貰って端の机に座り食べ始める。
机は一つで両端合わせて50人座れそうな長机が4つ並んでいる
「今日の試合格好いい人結構いたよね。」
「えーそう?」
「強がっちゃってー。あい好みの人もいたでしょ?」
「えー、いないよー。茜はー?」
「え、わたし?んー。確かに少しかっこいい人と思う人はいたかなー。」
「だよね?ね?ほら。あいもホントの事言いなさいよ!!」
女子3人が今日の試合について語っているのが嫌でも愁哉の耳に入る。それもそのはず約3人分開けた席に座ってきたのだから。
(何でこんな端っこくんだよ。真ん中の方行けよ。)
愁哉は愚痴を心で言いながら料理をかっこみ気味に食べ、容器を返却口に返し自室に帰っていくのであった。
その背中を一人の女性が見つめていることに気付かずに。
寮に帰った愁哉は自室で、風呂を済ませ仙爺から来た心配しているだろうメールに当たり障りのない内容で返し、部屋に置いてあった少し血のついた唯一残っていた家族全員が残っている写真を見ながら大きくため息をはき、眠るのであった。
―翌日―
今愁哉は、試合の控室にいる。
(さて、負けるか。)
彼は負けることしか考えていない。故に緊張などしていない。
(相手は誰だ?田中 陣??おめでとう。不戦勝だ。)
そして、受付の人に呼ばれ、試合会場に向かう。
そして相手が愁哉を知っているような質問をしてくる。
「やぁ。覚えてる??」
「ん?えーっと。あー。君は〜、、、」
(誰だ。確かに見たことある、、、気がする。)
愁哉が間延びした返答をする。
「あはは。入試の時に入口でぶつかったと思ったけど人違いかな?」
(あっ入試試験でぶつかった人か。)
「あー、あの時はごめんなさい。」
彼がヒントをくれたことで思い出した愁哉が謝った。
「いや、こっちこそ。」
「おし。じゃあいいか?始めて?」
お互いが謝った後審判がそう告げた。
「はい。」
「はい。」
お互い返事をする。
「危なかったら強制退場で負けになるが、死にはしない。思いっきりやりなさい。では、、、始め!!!」
「顕現せよ!カイム!!」
そう唱え初めの合図と同時に陣は霊魂を顕現し魔素を利用した技を使う。
「燃えろ!火歯車!!」
(横回転斬りか、悪くない太刀筋だが、初手にしてはスキが大きすぎるな。でもまぁおめでとう。)
そう愁哉は心で評価し審判の目を見る。
目があった審判は少し驚いたような顔をしながらも、転送装置を起動させた。
そして、愁哉の初戦敗退が決まった。