実技試験
4話目です。
試験場は床も、壁も天井も白だった。
そこにぽつんと1つ案山子が壁際に立っている。
入ってきた方の壁との丁度反対側に立っている案山子
四方は20メートル四方。案山子を北として、陣を南にした場合丁度真西の壁際に試験官らしき人が3人黒い机に座っている。
右と左に30ぐらいの歳の男女が座り真ん中に老人が座っている。
「よ、よろしくお願いひます。
あ、いやよろしくお願いします」
(噛んだ。はずい。。。)
噛んだことを気にすることなく。試験官の男が陣にそのキツメな目で見つめながら告げる。
「では、あの案山子に好きに攻撃をしなさい。もちろん顕魂させて構わない。制限時間は1分。その攻撃力や技の制度を採点させてもらう。あと、我々の事は気にしないでいい。傷1つつかん。部屋もな」
「わかりました。」
陣は緊張しながら返事をする。
「では、始め」
試験官の男が初めの合図をし陣はまず自分の武器を顕魂する。
(やるっきゃねーな)
陣は握った右手を心臓部分にあて、
「顕現せよ。カイム」
とつぶやく。
すると陣の心臓が心まるで火がついた様に赤く燃え。次に右手が燃え、それを右に振り払うと、その手には薄赤色のグラディウスが握られている。
―顕魂―
それは己の霊魂を武器として具現化させること。
これは、基本的に15歳から習得するようになる。そして、ある程度の霊魂の操作も高校の必修科目だ。これを高校でやるか修行場でやるかは人により、分かれるが18になる頃にはほとんどの人間が出来るようになる。
彼は火の霊魂なので、心臓が赤く燃えている。
しかし彼に被害は出ることはない。
出現させた本人に霊魂によるダメージがが入ることはない。
しかし、顕魂させた武器は、顕魂中は一つの武器になるので、手に当てればそれが出現させた本人でも手は切れる。
ちなみにカイムと言う名は彼、陣が自分でつけた名前だ。
理由はかっこいいから。この頃の若者の心は単純だ。
カイムを右手に握り、彼は勢いよく案山子に向かい走り、案山子に近づき、つぶやく
「燃えろ。カイム」
するとカイムの、刀身に火が纏う。
「火歯車」
と言いながら彼は体を横回転させる。
その際に何度も案山子にカイムが当たり、あたった部分が焦げる
(頑丈だな。よし、次は!)
慣性を殺し、案山子と睨み合った陣はまだ、燃えているカイムを上に両手で持ち上げその切っ先を案山子に突き刺す。
「芯爆」
と、彼が唱えた次の瞬間
案山子に刺さった剣が案山子の中で熱を爆発させる。その爆発に耐えきれなくなった案山子は爆散し跡形も無くなった。
「おーけ。ありがと。出口はその近くの扉よ。
合否は一週間後、こちらから貴方にメールするわ。」
と左の女性の試験官が陣に淡々とした口調で告げる。
「あ、はい。」
(ふー。よかった。壊せたから好感触だろ。
、、、たぶん。)
期待と不安を織り交ぜながら陣は扉から出ていく。
―そして一週間後
彼のもとに合格通知がきて、彼のテンションは上がりまくるのであった。