迎え
愁哉はあの日の次の日、つまり今日学校を休んでいた。
(なんだよ。結局こうなるんじゃねーか。)
愁哉は、予想していた。こうなる事を。いづれ使えない武器で戦い、なんの成果も座学もだめ。そんなやつがいたら、確実によく思わないやつや不思議に思うやつは間違いなく存在する。
もしそんなやつがいたら、尋ねるだろう。自分も。
「お前なんの為にここにいんの?」、、、と。
それがこんなに早いのは予想外だったが、大体は想像した通りになった。
(来るんじゃなかったんだよ。悲しい思いをまたぶり返すだけならなんの為にほんとにここにいんだ。もう。帰ろう。仙爺に言ったらなんとかなる)
もう愁哉が故郷に帰ることを考えていると
コンッコン
ドアをノックする音がする。それに続き、
「おーい。しゅーやぁー!いるんでしょー!!」
阿久斗の声がする。
(なんで来たんだよ。あいつ。)
「私もいるわよー。」
唯も来ていた、それに続き、
「お、おれもいるぞー」
「拓!そんなんじゃ聞こえないわよ!!」
拓が小声すぎて、愁哉には聞こてなかったが、拓もいる。
ーッ!!
拓がいるとわかっただけで、愁哉の心臓がえげつない程の主張を始める。
(なんで、なんで来たんだよ。)
愁哉は混乱する。たった4日程の付き合いだ。なのに、こんなにも愁哉を気にかけてくれる。それが、そんな優しさが一層愁哉の過去を呼び戻す。こんな優しくされたのは今はもういない家族と仙爺ぐらいだ。
「ほっといてくれ。来てくれたのはありがとう。でも会う気になれない。」
(このまま優しい言葉をかけられたら、俺は多分、、、)
「わかった。愁哉。じゃあ会わなくてもいい。でも話は聞いてほしい。」
真面目な、何時もの笑顔の阿久斗とは違ったトーンの声に自然と耳が聞く準備をしてしまった愁哉。
「僕の、、、昔話をさ」
そう言った阿久斗のこえは、またいつものような笑顔がよく似合う優しい、優しい声だった―
阿久斗は吸血鬼とのハーフである―
今は阿久斗の一族しか残っておらず、ほぼ存在自体が知られていない。
1500年前の震災級神魔ティフォーネとの戦いにより、吸血鬼族はほぼ全て絶滅。
しかし、この出来事は歴史上良かったこととして、記されている。何故なら吸血鬼族は強力でだった。人族や他の亜人とも比べ物にならない程。そして、その力で人族から血を吸ったり、エルフ族の領土に進行していた。つまり恐れられ、距離を置かれ続けた。吸血鬼族は他の種族に、忌み嫌われていたのでここで、全滅したことは他の種族からしたら、喜ばしい事であった。
しかし、偶然一つのダンジョンを、攻略中だった阿久斗の父だけが生き残り全滅を回避。そして、人族と子をなす。それが、阿久斗、そして、阿久斗の妹の瑠璃である。
しかし、この婚約は愛のあるものでは無かった。
一族が生き残るため、人族の魔力が高い女性を選び、それを妻とし、子を孕ませた、ある程度子が育った後は血を吸われて、亡くなった。
そして、、、吸血鬼の血が、うまく人族と調和する訳もなく、阿久斗は血の欲求が皆無であった。
しかし、血を取り込まなければ、自分の力を半分しか使えない、文字通りの半端者。
それを、一族存続の為にと奮闘した父が喜ぶわけもなく、過去の隠蔽。つまり、二人の子を殺そうとしたのである。
ここで阿久斗は血を嫌々吸い、激闘の果てに何とか父から逃れることに成功する。
しかし、失ったものは大きかった
ここで、阿久斗は今の愁哉の様に世界に絶望する。
そして、阿久斗の脳が拒絶に拒絶を重ねたこの出来事。そ精神状態に耐えれなかった阿久斗は記憶喪失になり、自分が吸血鬼族である事を忘れる、その後小さな孤児院で拓と出会い、徐々にこの世界が好きになり、それと同時に記憶が全てではないが、戻り始めてる。今では自分が吸血鬼族だと言うことはしっかりと自覚している。
その時、誰から言われたかは未だに阿久斗は思い出せてないが、こんな言葉を言われていた。
「今は吸血鬼族って嫌われてるけど、阿久がヒーローになったらそんな事なくなるよね?だから阿久が悪い魔物いっぱい倒すの!そして、人気になったらみんなの前で僕は吸血鬼だって言うんだよ。そーしたらきっと吸血鬼族でも何も言われないよ!悪が全部悪者だって思われないような世界になったら、○○嬉しいな」
この言葉をきっかけに、冒険者の道を歩むことを決意した。
話を書くのって難しいですね。
読んでいただきありがとう!