その後
拓が、愁哉の傷をえぐってしまった次の日。
ー愁哉は、学校に来なかった。
「これは、ちょっと問題だね。」
阿久斗が、切り出す。
「そうだな。昨日も結局は見つからなかったんだよ。結構探したんだけどな」
そう。昨日は拓はかなりすぐに追いかけたが、見つけることは出来なかったのである。
みんなは知る由もないが、愁哉はずっと鍛えてきた(最近は少し堕落してたので、全盛期ほどではない)のでそれなりに基礎体力はある。
そして拓は正確な位置がわかるわけではないので、すぐに寮に帰った愁哉をほぼ見つけることは不可能だったのである。
「みんなで寮に行かない??」
「本当に阿久斗はあいつ気に入ったんだな。正直もうそこまでしなくていいんじゃねーの??だめかー?」
拓が、すこし皮肉混じりに言った。
それに、唯が
「はぁー。あんたそんなんだから私に振られるのよ。
まぁ最悪そうなってもいいわよ。、、、私達はね?」
唯が、呆れた感じに言った。しかしそれで終わらない
「考えても見なさいよ。もし、仮にここで縁を切ったとしてよ?私達は恐らく今後接点はないわ?でも阿久斗は違う。だって同じクラスなんだよ?特別なことが無ければ、、、ね?だから阿久斗の気持ち考えるならそんな解答は出ないわ。
それに、そんな無責任な終わり方してあなたなんも思わないわけ?人として最悪だわ。
まぁこのばかはどうでもいいとして、私は行くわ。阿久斗。行くなら一緒に行きましょ?」
「ありがとう。唯。でも拓は、必要だよ?悪いのは彼なんだからね。彼が謝らなきゃ僕らが行ってもほぼ意味ないよ。
、、、それに、さ、」
阿久斗が何かを含んだ笑みで続ける
「僕らでギルドを作ろうって話になってたじゃん??
それに彼を入れたいんだ。絶対に!」
「お、おいまじか?阿久斗?」
「そこまでとは思わなかったわね。さすがの私も」
阿久斗の内なる気持ちに二人が驚く
そして阿久斗が2人の論破にかかる。
「彼はまちがいなく過去に何かあるよ。僕らと一緒でね。
だから、必要なんだよ僕で言う拓が。唯で言う僕らがさ。
今回はマイナスに働いちゃったけど、拓のその何も隠さないで全部はっきり言うところ結構いい事だってあるんだよ?」
「なるほどな。それは確かにありそうだな。でも俺らは日が浅い。それでもなんとかなるもんかな?そういった心の内ってやつは親しい仲間にしか話さないんじゃねーか?」
「それもそうね。」
2人の反論を待ってましたかのような顔で阿久斗が続ける
「うん。だよね。僕もそう思うよ。でも僕らってまだ、18歳だよ?これからじゃん?これから仲深めてけばいいじゃん。ギルド一緒なら学校だけの1年の付き合いになる事もないんだしさ!
ね!どうかな!?!?」
「「んー」」
ふたりは少し悩んでいる様子だ。それもそうだろう。ほぼ一生の付き合いになるギルドに出会って1週間の人を入れようって言う提案だ。悩まないほうが可笑しい。
しかし、阿久斗は知っている。今阿久斗がしているキラキラ目を輝かせた子供が何かお願いするときに似たその瞳で見つめられた二人は、、、
「まぁ阿久斗がそこまで言うならしゃあないな」
「私もいいと思うわよ。少なくとも悪いやつじゃないんだしさ」
返事にNOがあり得ないと。
「ありがとう!二人とも!」
じゃあさっそく迎えに行こう!と言った阿久斗に二人は付いていく形で教室をあとにするのであった。
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