模擬戦②
結構な内容変更をしました。
具体的にはこの話の歴史についてです。
3話でその辺語っているので、もし見た方いたら読み返した方がいいと思います。
2019/04/18
場所は、闘技場。
そこに4つの影がある。
愁哉たちだ。
拓と愁哉たちが試合内容を決めている
「じゃあテレポート装置ないから寸止めの勝負ってことでいいか?」
「あぁ、それでいいよ」
(どうせ、何も出来やしない。俺がな)
「準備オーケー?じゃあ始めるわよ。はじめ!!!!」
唯の開始の合図と共に急接近してくる拓。
拓と愁哉の距離は5mはあったが、拓は跳ぶようなステップで自慢の槍の紐を踊らせながら一瞬で詰める。
(はっや!まぁこれで終わりだな。俺がな)
早くも負け宣言をかます愁哉だったが、武器での攻撃がいつになってもこない。
不思議に、思い拓の顔に目を向けると彼は少し怒ったような顔をしていた。
「なぁ、手は抜いてねーよな?ほんとにそれが全力か?やる気が全く感じられない。」
怒気を含めた拓の声が愁哉の耳に入ってくる。
しかし、これで終わらない。
「俺は阿久斗の友達だからな、正直に言うが今のお前は好きになれない。なぜかって?自分でわからないのか?お前のその俺は無理なんだって言う諦めの姿勢がだよ!」
唯と阿久斗は今は遠くの方で見てるので、ここにはおらず、この話は聞こえていない。
(こいつ、何言ってんだ?つまり俺がやれるのにやらないのが嫌いってことか?だからさああ、)
「何度も言うが握れなくなったって言ってんだろ?俺の何を知ってるのか知らないが今の俺はこれで精一杯だ、お前の動きも見てたし、間違いなく止めれる。、、、剣だったらな。だが今俺が握ってるのは全く使ったことない槍だ。これではあんたの動きは視えてもどうする事もできない。正真正銘の全力だよ」
愁哉も校長と拓に同じことを言われ、少し苛立ちが溜まっていたのもあり反論する。
しかし、拓が続ける。
「そうか。じゃあ相手にならないことはわかった。俺の見当違いだったよ。でもな、1つ言っておくがそんな事ずっと続けてたらあんた、なんもまもれねーよ?。後悔してからじゃ遅いことだってあるんだぞ?」
拓が愁哉の心をえぐる。
そう、愁哉は一度全てを失っている。勿論今のような怠惰を続けていたときではなく、寧ろ剣に全てを注ぎ強くなろうとしていた時にだ。
ーそれでも、何も出来なかった
ーだから、何も守れなかった
ーそして、全てを失った。
ー家族も、剣も、強くなろうとする意思さえも
そんな経験をした愁哉だからこそ、拓の言葉は腹立たしくてしょうがない、だってそうだろう。
やってきた。一所懸命に。ひたすらに、ひたむきに。
しかしどうだ?
結果は付いてきたか?力は付いた。間違いない。
だが、その力で守るべきものはどうなった。
強くなる修行の為、最愛の家族のもとを離れ
最愛の家族を守るための力をつけて帰ってきたら、
ーそこには守るものは、残っていなかったんだ。何一つ。
愁哉の感情が爆発する。
「………てんだよ」
「は??きこえねーぞ」
「…ほんとに、おまえがぁ!おれのぉ!何を知ってんだって言ったんだよ!!!!
なぁ??努力?したさ!バカみたいに!なんの為にって?そりゃ守りたいものの為にだよ。拓、あんたが俺に言ったそれだ。だが、どうだ?俺には何も残ってねー。
はは。笑えるよ。守るための力を身に着けて帰ってきたらもうなんもねーんだよ?もう俺には守るものは存在しないのさ。空っぽだよ。
それで何を目標にしてきゃいいんだよ?また新しい守るもの?腐るほど考えたそんなの。でも結局は同じことの繰り返しだ?違うか??俺は間違ってるか??俺はあんな地獄みたいな経験は二度とごめんだ!だから剣を握らない。いや、握れない!
どうだ、これがお前の見当違いだった男の正体だよ。
悪かったな見当違いでよ。」
そう言って拓は槍を投げ捨て、闘技場を出ていった。
闘技場には立っているのが辛いほどの重い空気と、今まで一度も振られなかった槍。そして、三人だけが残っていた。
読んでいただきありがとうございました