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秋を感じる

作者: 武田道子

秋を感じる


 



黄金に縁取られた道を行く

群青色の空がその上で

塗ったばかりの油絵のように厚く

さわればねっとりと指先に

溶けかかったアイスクリームのように

柔らかく冷たい感触

私の心が今秋を感じている


去る時が来た事を知っているから

嘆きはつかむことができない空の雲が欲しいと

駄々をこねる子どものように

傷んだ心を逆なでする

ただ艶やかに色を変えて

大地を揺るがし勇ましく散っていく命に

私の心が揺れる


去年散ったはずの一つ一つの

思い出がまた同じように散ってくる

忘れてはいけないと

忘れさせてはいけないと

安らかに眠っている大切なものたちが

薄れていきそうな思い出を目覚めさせる

私のいびつでしおれた心は秋を感じている


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