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テンプレ

まるで人間のようなチームワークを発揮していたゴブリンたちの解体も終え、俺はまた別の獲物を探しに来ていた。


ちなみに今は元の九尾狐の姿に戻っている。

特に大きな理由はないけど、強いて言うならこの姿が1番魔力を使いやすいからかな。

他の姿でも自分の魔力は問題なく使える。

でもやっぱり自分の本来の姿なら何のストレスも無く生まれ持った手や足を動かすように使えるからね。



こういうどこから魔物が来るか目では分かんない状態では、魔力感知が命綱。

その命綱を補強する意味で元の姿に戻っている。




しかしこの姿になってからというもの、全く魔物が寄ってこない。

ククールフォルムの時もなかなか魔物とは出会えなかったが、その時よりもさらに出会えていない気がする。

もうさっきの戦闘から2時間くらい経ってるはずなんだけどなぁ。



現在時刻は午後九時頃。

まだまだ夜は長いが、この調子だとほとんど何もせずに終えることになりそう。



そう考えた俺は行動範囲を街の外壁が見えないところまで伸ばすことにした。

と言ってもそんなに遠いところに行くつもりは無いけど。

きっと実家イレンフォレストに帰ることが出来れば、沢山魔物はいるだろうし、レベルも上がると思う。

だけど往復4時間~5時間かかる道のりは長すぎるし、そんなに歩き回るつもりもない。

戦闘をしては休み、戦闘をしては休むくらいのペースが理想だな。

そういう理由もあり、街の周りと言える範囲で活動することにした。



行動範囲を広げてから30分ほど経った。

魔物は何匹か見つけることができたのだが、その全てが単体であり、あまり経験値を得ることは出来なかった。

ちなみに出会った魔物は、テナガザルのような見た目だが、その長い手が通常の数の倍あるという『エポソル』や、俺の半分くらいの大きさを持つ巨大蛾で、翼の模様を見せることにより人のトラウマを引き出す『パラノイア』だった。



あと2匹オークを仕留めたが、やはりあれからゴブリンの姿を見ることは無い。

かなり警戒されてるようで1度魔力感知の範囲を限界まで広げてみたが、その中には先程挙げたエポソルやパラノイアしかいなかった。



ゴブリンを1匹くらい生きて残しておいてもよかったかなと思うが、過ぎたことはどうしょうもないので諦める。

別にゴブリンを滅ぼしたいわけでこの夜の森で暴れまくってるわけじゃないしね。

Lvが上げられるだけの魔物が出てきてくれれば充分だよ。



その充分な魔物も出てこないんだが。



正直本気で戦闘できる相手に出会えていない今、ストレスを発散できる相手は魔物くらいしかいないんだよね。

こんな所で満足できる魔物が出てくるとも思ってないが、数がいればそれなりに楽しいだろうと思っていた。



しかし蓋を開けてみれば、もちろんそんな強い魔物もいないし、頼みだった数も中途半端。

さっきのゴブリン達との戦いはいくらかマシだったので、ちょっとゴブリン達のことが気になるのは仕方ないことだろう。

数も充分だったし、あの練度なら正面からの戦闘は楽しめそうな気がする。



ただそのゴブリン達には嫌われているようで気配すらしない。

ボク、カナシイ。




外で過ごす覚悟を決めた顔をアスカに見せてしまったので、つまんないから宿に戻ってきましたともなかなか言いづらい。

というかもう寝てる気がする。

今日は動きっぱなしだったし、分かれてからもう大体4時間ほど経っている。

俺なら間違いなく爆睡してそうだ。



圧倒的に暇だがこれもひとつの試練と考えて明日の日の出くらいまで、残り9時間ほどあるが頑張ろう。

再び覚悟を決めた俺はさっきより、少し堂々と歩き始める。















ーーーーー9時間後。

朝の太陽の光と心地よい風に起こされた俺は酷く絶望していた。

覚悟を決めて歩き始めて500m程のところで唐突な眠気が俺を襲い、それに耐えきれなかった俺はササッと近くの木の上に登り、魔力感知の範囲を3mまで狭めて寝てしまったんだ。

すぐ起きるすぐ起きると考え寝たのが間違いだった。

しっかり9時間寝てしまった今のこの状況が何よりの証拠。

結果合計15匹程度の魔物しか倒すことはできず、Lvも元々のLvより7ほど上がっただけだった。

《魔の加護》のおかげで、やはり魔力の上がりは凄まじいが、その他はそれほど上がっていない。

SPDとVITに関しては100ほどしか上がらなかった。

俺の種族はそういうステータスが上がりにくいんだろうか。



詳しいことは分からないが、とりあえず今はこれからどうするか考える。



今街に戻るのもいいが、アスカはもう情報収集に向かっているかもしれないし、何処にいるかも分からない。

情報収集を頼む時に、「昼頃帰る」と言ってあるので、昼には宿にいるとは思うが。

もうここまで寝てしまったんだからさらに寝てもいいだろうという悪魔の声も聞こえる。

ただこの誘惑に負けたら何か大事なものを失う気がしてどうにか必死に抵抗する。



誘惑に打ち勝つためにサッと木の上から降りた。


…名残惜しいが仕方ないことなんだ。


自分の中の悪魔の中に言い聞かせ、昨日睡魔のせいでズタズタになった覚悟をどうにかこうにか修復し、魔物を探しに歩き出す。



明るくなったおかげで夜に比べてとてもあたりの状況が把握しやすいが、逆にこうなってしまうと魔物も警戒して出てこないような気がする。

そんなことを思っていると、金属同士がぶつかり合う音が耳に入ってくる。

音量的にはそんなに遠くなさそう。

今までこんな音してなかったので、たった今始まったんだろう。




音のする方へどんどん向かうと、街道に出た。

そこには馬車が1台止まっていて、その馬車を囲うように5人の黒い動きやすそうな服を着た者達が剣を構えたり杖を持ったりして立っていた。


その3人と向かい合わせになるように馬車を背にして戦っているのは3人の男達。

馬車の中には恰幅のいい男性が震えながら残されている。

おそらく商人の護衛の冒険者たちが、馬車を襲っているというありがちな状況なんだろう。



だけど今の俺にとっては好都合。

色々なものに変身することが出来ると出来ることも広がるし、戦闘ができるというのは非常に嬉しい。



3対5という不利な状況でもどうにか冒険者たちは少しの傷を負う程度で戦っているが、彼らがやられるのも時間の問題だろう。

俺はさっさと戦闘したかったので、力強く地面を蹴り放ち、馬車にしか目を向けていない5人の盗賊たちの1人に斬りかかった。




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