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最終話~誓い~

家から病院へ向かった時の記憶はほとんどない。

まただ。どうして明日にしようとしたのか。自分に絶望したばっかりなのに同じことの繰り返しじゃないか。


病院についたときはまだ何とか生きていた。

急いで病室に向かった。

病室には明のお母さんだけがいた。

「有人君、来てくれたんだ。」

「明りに何があったんですか!明は大丈夫なんですか!」

病院だということを忘れて大きな声で聞いてしまっていたことに後になって気づく。

「もう長くはもたない、そうさっき告げられたわ。医師がいないのは最後の時を家族で過ごさせてあげようという計らいらしいわ。でもきっと明は有人君と一緒にいたいと思うの。」

その言葉に僕は驚きを隠せなかった。

「それってどういう意味ですか?」

「明は友達がいなかった。むしろいじめられていたくらいよ。でも最近は本当に明るい姿を見せてくれた。理由を聞いてみたら初めて友達ができた、そう嬉しそうに言ってきたわ。」

彼女は、明は僕と同じだった。その事実を聞いたときに何かが目からこぼれた。

涙だ。僕は今泣いているみたいだ。涙を流すなんていつぶりだろう。

「私は部屋を出るわ。最後まで明のそばにいてあげてね。」


僕がもし彼女が僕と同じ境遇で育ったことを出会った時に知っていたら何か変わっていただろうか。

彼女に対して何かしてあげられただろうか。

「ゅ・・・うと?」

ふと自分の名前を呼ばれて明のほうへ振り向く。

少しだけ瞼を持ち上げ微笑んでいる明の姿は本当に弱弱しく一刻の猶予もないことを悟った。

「何も言わないで黙って聞いて。わたしは・・あなたとかかわりがあった。私はあなたの双子の姉なの。」

僕の中には驚きしかもうない。僕の双子の姉?記憶にない。そんな人がいた覚えがない。

「覚えてないのも・・無理はないわね。2歳の時に私たちは・・・離れ離れになったのだから。」

「なんで・・なんでいまさら言うんだよ。出会ったあの日に言っておけばよかったじゃないか。そうしておけばこんな感情抱かなくて済んだかもしれないのに。短かったけどあの日々は楽しかった。最初はただ理由を知るために接触したのに・・。」

もう言葉も出てこない、必要ないのかもしれない。

部屋に響き渡る心肺停止音。

もう2度はない。

つまりもう明は戻ってこない。

でも明からもらったものを無駄にはできない。

僕は立ち上がって部屋を出ようとした・

最後に振り返って一言

「ありがとう明。大好きだよ。」


これが僕が体験したお話。

この日を境に少しずつ学校のみんなと打ち解け始めている。

ひとは必ず変われる。

それを彼女が教えてくれた。

彼女の分まで精いっぱい生きよう、そう胸に誓った。

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