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白昼悪夢  作者: 薄暮
9/30

合わせ鏡

 覗いても覗いても、自分が居る。

 四方を鏡に囲まれた部屋に座っていた。


 まず、右を見た。

 白いシーツ。白い布団。

 やせ細り、ベッドの上に横たわる、幾重にも重なった私が居た。

 左には点滴のスタンドと、ドラマなんかで見る、よくわからない機械。

 様々なチューブに繋がれている。

 あぁ死ぬんだ、と思った。


 次に、左を見た。

 電柱にぶつかり、ひしゃげた白い軽自動車。

 フロントガラスを上半身が突き破り、歪んだボンネットに突っ伏している、幾重にも重なった私が居た。

 黒い煙。

 白いボンネットに映える、赤い血。

 にも関わらず、無傷で綺麗な項が、やけに気になった。

 それでも、あぁ死ぬんだな、と思った。


 3度目は、後ろを見た。

 ガラス張りにも関わらず、靄が内に閉じ込められたかの様に、ガラスの向こうが見えない、オフィスビル前。

 頭の中身をぶちまけて、顔が半分になっている、幾重にも重なった私が居た。

 手足もひしゃげたり、千切れていたり。糸の切れた操り人形を地面に叩きつけたかの様である。

 なんと、醜い為体だろう。

 やはり、あぁ死ぬんだな、と思った。


 あとは前だけだ。

 どうせ、死ぬのだろう。

 何人もの私が重なり、死んでゆくのだろう。

 そう思って、前を見た。


 そこには、無表情で私を指差す、たった1人の私が居た。


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