衝動的…
いつの間にか、黒い柄の包丁を右手に握っていた。
何故持っているのかと思い、刃を見つめると、不思議と自分の首を切りつけたくなってきた。
そうだ、切ろう。
まるで何でもない思いつきであるかのように閃き、刃を首に宛てがう。
恐怖もないまま、右手を力いっぱい下へ、スライドさせた。
気がついたら、包丁は無くなっていた。
しばらくすると、鈍色のスプーンを右手に握っていた。
何故持っているのかと思い、鏡で自身の顔を写すかのように眼前に構えると、不思議と目を抉りたくなった。
そうだ、掻き出そう。
まるで何でもない思いつきであるかのように閃き、右目の前に垂直に構える。
恐怖もないまま、スプーンを思いきり、目に突き立てた。
気がついたら、スプーンは無くなっていた。
更にしばらくすると、両手に電子レンジを抱えていた。
何故抱えているのかと思い、電子レンジを見下ろすと、不思議と頭をぶつけたくなった。
そうだ、落とそう。
まるで何でもない思いつきであるかのように閃き、頭上に電子レンジを持ち上げる。
恐怖もないまま、両手の力を緩め、電子レンジを落とした。
その瞬間、頭部に激しい衝撃を受け、目が覚めた。
吐き気を覚える程の痛みとぐらぐら揺れる視界の中、顔を上げると。
目の前に割れ、微かに血が付いた姿見があった。




