祖母の家
懐かしい夢を見た。
祖母の家で、真夜中に泣きじゃくる幼い私と、今よりは幾分か腰が伸びている祖母。
そんな2人の様子を、私は角が丸く、四角く何処か色褪せた液晶越しに、眺めていた。
幼い私は、人形好きの祖母が集めたコレクションである大小様々で、家の至る処に置かれたそれが怖くなり、今すぐ家に帰りたいと泣き喚いていた。
当時住んでいた家から祖母の家まで、車で2時間はかかってしまう。
その上、時計の針が頂辺をとうに過ぎた時間である。
そんな時間に、孫が帰りたがっているから迎えに来い、と言うのは幾ら何でも酷な話である。
祖母は、訳も話さず唯泣き叫ぶばかりの私をどう宥めれば良いのか、あれこれ声をかけながらも、困惑していた。
馬鹿な私め。
そんなにおばあちゃんを困らせるなよ。
私は液晶越しの懐かしいはずの思い出に、酷く苛立った。
”欲しいおもちゃがあるのかい?”
”それとも、今日の晩御飯に、嫌いなものでもあったのかい”
聞く耳持たぬ状態の私に、祖母は困ったように笑いながら優しく問いかけた。
それ以上、おばあちゃんにそんなことを言わせるんじゃない!
苛立ちが愈々頂点に達し、私は液晶に向けて両掌をばん、と叩きつけた。
その瞬間、液晶の中の幼い私がびくり、と肩を震わせ、慌てた様子で腫れた瞼をこちらに向けた。
あぁそうだ。
おばあちゃんの家には、あそこには丁度テレビが…
怒気と混乱を纏った私を液晶越しに認めた幼い私は、先程とは比べ物にならない程に大きな声を全身で鳴らし、喚きたてた。
”あぁごめんね。おばあちゃん、あなたの欲しいものをあげられなくって…”
違うんだ。
違うんだよ、おばあちゃん。
みんな、私が悪いんだよ。
短気で愚かな私が。
私は液晶の前に崩れ落ち、色褪せた世界の中にいる私と同じように、大声で泣いた。




