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【05】冒険者として、(※嫌な意味で)“超”有名人になりました。〜親友(とも)達を捜して②〜

──〈オルティーンの街〉で、賢太ことクロードと再会を果たしてから…僕達の旅の最初の目的である前世の親友達を探す為に、〈オルヴェイン王国〉国内各地を旅して回る事となった。




実を言うと…出会った最初の時点で、クロードは〈オルヴェイン王国〉にある〈冒険者ギルド・オルティーン支部〉始まって以来…異例の早さでCランクまで昇格した期待の新星であり、『爆炎の武神』という二つ名持ちだった。


そして、クラウシスの方は最高ランクのSランクであり、父さん達と旅していた時に得ていた『叡智の大賢者ソフィアアカシック・オブ・マギアマギ』という二つ名を持っていたんだ。




──さて、問題です。


まだ冒険者として無名の僕が、そんな“超”が付く有名人の二人と共に行動していたらどうなるでしょうか?





「おい、そこのガキ。ちょっと待てよ」

「どうせ一人じゃ、大した依頼は出来ないだろ?」

「俺らとちょっと遊ぼうぜ~」




──答え:ガラの悪い連中に絡まれる。




……いやね。クロードのCランク昇格が異例な早さだった件や二つ名持ちだって聞いた時点で「旅の道中に、変なトラブルに巻き込まれないといいなぁ~」…なんて、いらない事を考えた事が盛大にフラグを立てる事になったんだと思うよ。


そして今現在、一人で〈ダーリクの街〉にある〈冒険者ギルド・ダーリク支部〉に入って受付に向かおうとしたら…如何にもガラの悪そうな五人組が突然近付いて来て、あっという間に周りを囲まれている事態に陥った訳だけどね。



「大体な、テメェーみたいなヒョロヒョロの弱っちいガキが『爆炎』と一緒に組んでるのが気に食わねえんだよ!」

「どうせ、『爆炎』や『大賢者マギアマギ』の旦那の力頼みで此処まで来たんだろ!」

「分かったら、ガキはさっさとお家に帰ってママに甘えてな!」



──はい!フラグ回収!!テンプレ来たー!!


と言うか…この人達、何処までも悪役として御約束な科白がポンポンと出てくるんだけど、なんてテンプレな人達なんだろうか…。



そんな風に、暢気のんきに考えている僕。




──さて、再び問題です。


周りをガラの悪い人達に囲まれた状態で、何故僕は暢気のんきに考えていられるのでしょうか?




「テメェー!俺らを無視シカトしてるんじゃねぇぞ!!」


一人が、僕の腕を掴みに掛かってくるけど…僕はこれをあっさりかわし、相手の力と勢いをそのまま利用して軽く投げ飛ばす。


「なっ!?テメェ!舐めたマネしてくれたな!!」

「ふざけんなよ!!」

「調子に乗んじゃねぇぞ!!」

「ぶっ飛ばしてやる!!」


そう言って僕に殴り掛かってくる残り四人も、僕は相手の力と勢いを利用して次々と投げ飛ばしていく。


再び向かって来る相手を僕がかわしながら軽く投げ飛ばし、向かって来るのをかわしながら軽く投げ飛ばしを繰り返す内に…いつの間にかギルド内は騒然となり、投げ飛ばした五人組は全員床に突っ伏しているという状況になっていました。つまり……




──答え:ドラゴンの驚異的な身体能力と公爵直属の騎士団長シグルナさん直伝の格闘術があるからでした。




実は…〈竜の渓谷ドラグレスト〉で騎士団長のシグルナさんが武器の扱いに関する指南をしてくれた時に、同時に武器を持たない状況での戦闘も想定して格闘術の方も教わってたんだよね。

しかも、剣術も格闘術もどっちも騎士団で行われている本格的に実戦向きなのものを教わっていたから…こういう事態の時には大いに役に立った訳なんだけどね。







「くっ、くそ……!」


五人組のリーダー格らしき人物が床に突っ伏した状態で悪態をついている。


遠巻きに傍観していた冒険者やギルドスタッフは、未だに唖然としたまま。


僕の方は、苦笑いを浮かべたまま右側の頬を軽く掻いている状態。




──何?この混沌カオスな状況は……。お願い、誰か助けて…(泣)。



こんな時、消耗品の買い物の為に別行動する事になった二人が此処にいれば……




半ば現実逃避に近い様な思考を巡らせていた時…五人組の一人が立ち上がると同時に腰に差してあった短剣を抜いて、僕に向かって駆け出そうとする。


「食らえ!!」


僕は身構えようとするが…フラリとその人に接近した長い黒髪の和装した鬼人の女性が短剣を握った腕をあっという間に掴み、合気道の様な動きで床へと組み敷き…腕を掴んだ方と逆の手で肩を押さえ、背中の辺りを片膝で押さえ付けて動きを完全に封じてしまう。

見事な手際で制圧してしまうと、女性は周りにいる残り四人に向けて口を開いた。


「貴方達、いい加減やめなさい。

冒険者ランクはあくまでも、〈冒険者ギルド〉に所属してからの経歴を簡単に表す為の目安であって…その人の実力を示す試金石では無いのよ。

そして、彼の佇まいや身のこなしから…貴方達の実力では、全く歯が立たないと私は見たわ」

「君達。相手のランクや見た目で相手の力量を判断するのは、いい加減にやめなさい。

それと…弱い相手を威圧したり、見下したり、恐喝するのもやめなさい。そんな風だから、いつまで経っても上のランクに昇格出来ないんですよ」


そう言いながら、ギルドの奥から眼鏡を掛けた聡明で冷静そうな感じの雰囲気を纏った美形のエルフの男性がやって来た。

すると、周りから「あれは…ダーリク支部ギルドマスターのウィルヘルムさんじゃないか!?」「えっ!?何でギルドマスターが出てくるんだ!?」「アイツら、ギルド内での要注意人物にもなっていたしな」という声が聞こえてくる。

周りに意識が向く様になって初めて、僕の身に着けた〈魂鳴石〉がリィーンリィーンという澄んだ鈴の音が鳴っている事に気が付いた。

そこで、目の前にいる鬼人の女性が纏う雰囲気が…親友の一人と同じ雰囲気だという事にも気付く。


「あ──」

「シーッ。話は、後でゆっくりとするよ」


自身の口元に右の人差し指を当てて、鬼人の女性は僕の発言を遮った。




──その後は、怒涛の勢いで状況が急展開していった。



親友の生まれ変わりである鬼人の女性と共に、〈冒険者ギルド・ダーリク支部〉のギルドマスターであるウィルヘルムさんからギルド内にある応接室へと通され…そこで色々と事情を聞かれる事になった。


無論、僕が異世界からの転生者である事や主神アークさんに勇者として任命されている旨は伏せておいた。


その上で…あの五人組がいきなり僕に絡んできた事、自己防衛の為に対応した事、一人が武器を抜いたのを確認した鬼人の女性が制圧に動いた等…簡単ながらも順を追って説明をした。


それらの事情を鑑みた上でのウィルヘルムさんの判断は…ギルドマスター権限で、特別措置として僕の冒険者ランクをFからCへと一気に三段階昇格にする事が決まった。




──理由としては…僕の旅の仲間である『爆炎の武神』クロードの冒険者ランクが現在Cランクである事が一つ。

冒険者初心者や駆け出しの者達相手に対して何かと問題を起こすチーム〈雷の嵐ライトニング・テンペスト〉─あのガラの悪い五人組の事─を懲らしめてくれた事が一つ。

〈雷の嵐〉はDランクチームであり、それを見事に対応し撃破してみせた僕をいつまでもFのランクでいさせるべきでないという判断された事が一つ。

そして…僕が、これ以上余計なトラブルに見舞われない様にする為の予防策としての意味合いが一つである。




預けていた〈ギルドカード〉が手元に戻ってくる頃には、僕の冒険者ランクは“Cランク”へと昇格していた。







──ようやく解放された僕と鬼人の女性は、〈冒険者ギルド〉からそのまま僕達が泊まっている宿屋〈白雪兎亭〉の一室までやって来ていた。




この時、僕は〈ギルドカード〉の通信機能を使い…クロード達に、ギルドでの事の顛末や彼女の事を簡単ではあるけど伝えておいた。


今の僕達は、二人が合流するまで軽くお菓子を食べながら待機している状況だった。


その際に、僕達は軽くお互いの身の上話をする事になった。

まず最初は、お互いの名前の確認からである。


「明日香…で、合ってるよね?」

「うん。そっちは、髪と目の色が違うけど…遠夜君で合ってるよね?」

「うん、そうだよ。明日香、今世の名前を教えてくれる?

僕の名前は、シリウス・ティアマットだよ」

「私の名前は、刃武瑠璃じんぶるりだよ。大和では、日本と同じ様に姓が前で名が後なんだよ」

「成程。じゃあ、瑠璃…でいいんだね」

「うん。それで合ってるよ」


お互いの名前を確認した後は、故郷の話になった。


「瑠璃は、何処の出身?まあ、名前から何となく分かるけど…一応ね?」

「私は〈極東島国 大和〉の出身だよ。大和に居る魔王様の一族─鬼流きりゅう家に仕える『刃武侯爵家』の生まれだね。あ、侯爵は“おおやけ”じゃない方の“侯”だよ。シリウス君の方は?」

「〈オルヴェイン王国〉にある〈竜の渓谷ドラグレスト〉の出身だよ。〈ドラグレスト〉は、『姫勇者レイナ』の子孫が治めていたから…比較的安全に生活出来ていたよ」

「へえー、そうなんだ。まあ、シリウス君が昔と変わらない性格でいられたのは…きちんと安全が保証された環境じゃないと無理だとは思ったんだけどね」


そんな風に和やかな雰囲気で会話をしていると…部屋の扉が開いて、丁度戻って来たクロードとクラウシスが入ってくる。


「あ、クロードとクラウシス。おかえりなさい」

「うむ、ただいま」

「ただいま。……明日香と再会したって本当か?」

「本当だよ。久しぶりね、賢太君…でいいのかな?」

「ああ、そうだぜ」


クロードの言葉に瑠璃が返答し、クロードは声の主に目を向けた。


「改めて、自己紹介した方がいいよね?

私の今世(・・)の名前は、刃武瑠璃だよ」

「俺の今世(・・)の名前は、クロード・オストンだ」

「我はクラウシス。シリウス・ティアマットを主とする〈古代級エンシェント〉の武器〈神剣クラウシス〉の〈思念アストラル体〉だ」

「宜しくね」

「こちらこそ、宜しくな」

「うむ。宜しく頼む」


お互いの簡単な自己紹介を済ませる。ちなみに…クラウシスについて瑠璃がクロードの様にツッコまなかったのは、宿屋に来る道中に簡単ながらも説明しておいたからである。まあ、説明した時はかなり驚いていたけどね。


「ところで…“オストン”って、〈オルヴェイン王国〉で『仁君』と名高きオストン伯爵の事?」

「そうだよ。まあ、今じゃ“貧乏貴族”って周りからは揶揄されているけどな」


クロードの父親であるウィリアムズ・オストン伯爵は、〈オストン伯爵領〉を治めている領主であり…貴族でありながらも領民思いの良き領主で、〈オストン伯爵領〉の領内や〈オルヴェイン王国〉国内での評判はすこぶる好評価だ。

本来の意味での“正しい貴族”を体現していて、領内を発展させる為と領民が安心して日々の暮らしを保証する為に、時に自身の私財を惜しみ無く使う慈悲深さから国内外からは『仁君』と呼ばれている。そういう領内の内政手腕や貴族としての姿勢が評価され、オルヴェイン王家からの信頼も厚く…王家の保養地としても重宝されているらしい。


但し、私腹を肥やす様な貴族達からの評価はすこぶる悪く…王家の舞踏会でも質素な服(とは言っても、庶民から見ればこれでも良い品の貴族服らしい)で出席する姿を見て“貧乏貴族”と揶揄しているらしい。



まあクロードの話では、オストン伯爵自身は贅沢をする位なら領地と領民の為に私財を有効利用した方が断然良い…という感じで良い人なんだそうだ。いつか〈オストン伯爵領〉に行く機会があれば、是非オストン伯爵に会ってみたいな。


「そう言う瑠璃の方は、鬼流家に仕える〈鬼門八閃きもんはっせん〉の内の一家、〈刃閃の刃武じんせんのじんぶ〉と呼ばれる刃武侯爵家だろ?」

「うん、そうだよ」


鬼流家とは…〈極東島国 大和〉の北の地にある一際大きな島を治める魔王とその一族の事を指している。

〈鬼門八閃〉は、この鬼流家に仕える八つの侯爵家の事を指し…大太刀や太刀の刀術を極めた〈刃閃じんせん〉の刃武家、槍術を極めた〈槍閃そうせん〉の槍武家、錫杖や棍等の棒術や大斧・大槌等の打撃術を極めた〈撃閃げきせん〉の撃武げきぶ家、暗器や忍術を極めた〈暗閃あんせん〉の忍武しのぶ家、短弓・狩弓・長弓・和弓の弓術を極めた〈弓閃きゅうせん〉の弓武きゅうぶ家、拳や脚等の体術を極めた〈武閃ぶせん〉の闘武とうぶ家、様々な武器の二刀流を極めた〈双閃そうせん〉の双武そうぶ家、大和特有の魔術を極めた〈魔閃ません〉の魔導まどう家となっているんだ。

瑠璃の生家は、その内の一つである刃武家で…大太刀や太刀等の刀系の扱いに長けた一族なんだ。

ちなみに…鬼流家や〈鬼門八閃〉は“鬼”の字が入っている事からおおよそ予想がつくと思うけど、魔族の鬼人種で構成されている。

鬼人種は、ゴブリン種が上位種に進化する際の進化先の一つで…武器や魔法を巧みに扱える知性を持っている事が進化出来る条件らしい。

これは追記だけど…鬼流家や〈鬼門八閃〉と瑠璃は、生まれた時から既に鬼人種だったそうだ。これは、上位種同士で子を授かると同じ種族として生まれてくるそうなんだ(※突然変異の場合は例外で、突然変異の種族では生まれないとの事:クラウシス談)。


「ところで…話は変わるけど、瑠璃はどうして〈オルヴェイン王国〉へ来たの?もしかして、僕を捜していたの?」


僕のその質問に、瑠璃がニコリと笑みを見せながら答えてくれた。


「うん、シリウス君を捜して旅をしていたんだよ」

「それって…居場所についてのおおよそ目星をつけてたって事?」

「うん、生まれる種族がある程度分かっている皆から優先的に捜していたんだ。

後、シリウス君の転生先をアークさんの話から予想してね…ドラゴン族か龍族のどちらかだと当たりをつけてたんだよ」


瑠璃の予想が当たっていたおかげで僕達がこうして会えた訳だから、瑠璃は凄いなぁーって思ったんだ。


「けど…それなら、自分の故郷である大和にいる龍族から普通は捜さないか?」

「ふむ、確かに。普通であれば、そうした方が早かろう」


クロードのその質問に、クラウシスが同意する。

その理由は、すぐに瑠璃の口から語られたんだ。


「実を言うとね…最初は、『龍族の中で五千年ぶりに“ミコ(・・)”が生まれた』って話があってね…もしかしたら“ミコ(・・)”は遠夜君の事じゃないかなって思ったの。

でも、蒼龍そうりゅう家に生まれたのは女の子…“巫女(・・)”の方だったの」


蒼龍家っていうのは…大和にある六龍皇家ろくりゅうおうけの一つで、水龍の一族の事を指しているんだ。

ちなみに…火龍は紅龍こうりゅう家、地龍は黄龍おうりゅう家、風龍は碧龍へきりゅう家、光龍は白龍はくりゅう家、闇龍は黒龍こくりゅう家って呼ぶんだって。


「えーっと……つまり、どういう意味なんだ?」

「簡単に説明するとね…大和の六龍皇家では、“類い稀なるたぐいまれなる能力を持つ者”の事を共通して“ミコ”って呼んでいるんだよ。

この“ミコ”を…男性の場合は“神の子”って書いて“神子”って呼んで、女性の場合は神社の巫女と同じ字の“巫女”って呼んでいるの」

「じゃあ、蒼龍家に生まれたは女の子だから“巫女”って訳か」


瑠璃の説明で、クロードは“ミコ”の事が大まかに分かった様だ。


「じゃあその話を聞いた時点で、大和の龍族を僕の転生先から除外した訳だね」

「そうだよ。でも、私は蒼龍家の“巫女”が私達と同じ転生者だと思っているんだけど…シリウス君達はどう思う?」


瑠璃の問い掛けに、僕はしばらく考え込み…アークさんが言った“ある言葉”を思い出す。


「その可能性がかなり高いと思うね。

前にアークさんが言っていたんだ。『“異世界からの転生者”の魂は強すぎて、我々の管理する世界の“理の中”に完全に収まりきらない』って。

そして、それ故に『君達の持つ力は元々その世界に生きる数多の種族達より強力である』とも言っていたからね」

「その“巫女”、魔法を習い始めてすぐに高度な回復魔法を行使出来たって話だったから…もしかしたら、“陽菜”の可能性が十分高いと私は思うよ」

「……って事は、一度は大和に行く必要がある訳か」


大和の蒼龍家にいる“巫女”が“陽菜”なら…会いに行く必要があるからね。旅の目的地の一つとして、大和に向かうのは必定って事だね。






──その後、すぐに瑠璃が〈白雪兎亭〉の方に宿泊先を変更し…今後の旅の行先を含めた予定の計画を立てる事となった。




「今後の予定なんだけど…僕は、まず〈オルヴェイン王国〉国内を旅しながら、突出した能力の持ち主についての噂等の情報収集をメインに行動していこうと思っているんだ。〈オルヴェイン王国〉をある程度巡った後に大和を含めた様々な国や大陸を旅して行こうかと考えているんだけど……クロード達からは何か意見とかある?」


そう僕が話を切り出すと、まずクロードが口を開いた。


「〈オルヴェイン王国〉を巡った後の旅の目的地で、大和以外で行く場所ってあるのか?」

「陽菜がいる可能性がある大和もそうだけど…士郎と遥斗さんが転生している可能性が高いエルフ族の国〈神樹の森共和国ミストラル〉や琴音が転生している可能性が高い獣人ビースト族の連邦国〈エルザード獣連邦国〉も目的地の一つになるね。

僕個人的な希望としては〈ドヴォルグ王国〉や〈学術魔法都市ウィザルード〉、〈竜の大陸ファーヴィルム〉の父さんの故郷である〈リヴァイス帝国〉にも行ってみたいかな?」



──僕の〈オルヴェイン王国〉を出た後の旅の目的地についての予定や行ってみたい場所の希望を伝えてみた。

それについては、誰からも反対意見は出なかった。それは……



「勇者であるシリウスのささやかな望みを叶える事位、神も許してくれる筈だ」

「ただ仲間を捜して邪神を倒すだけの旅だなんて、つまんないだけだしな」

「いいんじゃないかな?

行ってみたい所、やってみたい事…折角〈エルターナガイア(この世界)〉に転生したんだから旅を楽しんだり、何かに挑戦したりしてもいいと思うよ」



──という事だった。



「……ありがとう、三人共」


三人の言葉に対して、僕はお礼の言葉を述べた。






──翌日、今度はクロード達を連れて〈冒険者ギルド・ダーリク支部〉に再び訪れた。



これは、次の街〈カルティエの街〉に向かう際…そこへと向かう商隊等の護衛依頼があった場合、それを受注する為だった。


けど、そこで僕は…周りの冒険者達から自分に付けられた二つ名を聞いて、頭を抱える事になった。



──僕に付けられていた二つ名は…『幸運の新星ニュービー・オブ・ラック』。



冒険者最高Sランクの『叡智の大賢者ソフィアアカシック・オブ・マギアマギ』クラウシスを筆頭に…Bランクの〈神速の刃風〉刃武瑠璃、Cランクの〈爆炎の武神〉クロード・オストン。




そんな、冒険者として超有名人である二つ名持ちの三人と行動を共にする無名の僕。




──『恐ろしい程の幸運にでも恵まれていなければ、有名どころ三人と知り合えないだろ』という誰かの意見から、この不本意な二つ名が与えられてしまった訳である。










──この二つ名は……後に、努力の末に全ての魔法と剣技を極めた事で呼ばれる二つ名と新たに得た職業から付けられた二つ名が〈エルターナガイア〉中に知れ渡るまで呼ばれ続ける事となった。

トホホホホ……(泣)

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