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海を描く  作者: 伊勢彰
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はじめに

1894年7月16日、この小さな島国『日本』がまだ近代国家の道を走り始めたばかりの頃。


日本を近代国家として世界に知らしめることができた明治外交史上の大仕事をその日、日本は成し遂げた。


それは、旧幕府が諸外国と結んだ不平等条約の改正。つまり、領事裁判権(治外法権)の撤廃である。



【陸奥宗光】


彼はこのとき外務大臣として条約改正に尽力した。


確かな才覚と広い知識を持ち、常に、自分にはもちろん、他人にも厳しかった。


そして、刃物のように切れる頭から「カミソリ大臣」の異名をとった。


類い稀な逸材であったため、人から嫌われることが多かった。

しかし、そんな逸材であったために、人から好かれ、かわいがられ、慕われ、尊敬され、愛されることもあった。


また、彼をそのように思った人々も逸材であった。




彼が晩年に著した明治外交の回想録「蹇蹇録」には、このような言葉がある。


政治はアートなり。サイエンスにあらず。巧みに政治を行い、巧みに人心を治めるのは、実学を持ち、広く世の中のことに習熟している人ができるのである。

決して、机上の空論をもてあそぶ人間ではない。



この非凡な言葉を我々凡人が完全に理解することは、おそらく不可能であろう。


そして、なんとか導きだす未完全な解釈も人それぞれ異なり、多彩な影響を及ぼす言葉であることは間違いない。




私は未完全な解釈の一つとして、彼が唱える政治とは、広く真っ白なキャンバスに決して同じものなど存在しない青く澄んだ海の波を描くようなものであり、それは哀しくもかわいらしくもある小さな人間たちの儚い思想や理想とは全く異なるものであると思う。


そして、彼こそがそんな海を描くことのできる芸術家であるように思えてならない。



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