収穫祭
皆さん、聞いてください!!
今日は、今日は、待ちに待った「収穫祭」なのです!!
一年に一回、秋に行われる祭りで、無事に収穫出来たことを神に感謝する祭りなのです!!
王都は、屋台はもちろんパレードやライブ、王族の演説など、沢山の催し物があります!!
しかし、地方ではまぁ、よくて屋台ですかね?
私達、領主はその祭りを主催する側なので、とても忙しいのです。
今回の祭りは、ルール家と合同で行われます。
コーナー家とルール家は、仲がいいので5年に一回合同で祭りを開いています。
その年が今年というわけです。
「………お嬢様、ステラ様とキース様とスフィア様が呼んで………お呼びです。」
「ありがとう、キリ。」
何もすることがないはずなのです、普通は!!
キリに連れられて、入るとそこには大量の服!!服!!服!!
「頑張ってください、………お嬢様。」
「ありがとう、キリ………」
これは、現実ですか、現実なのですか。
ハハハハハ。
いつもこうなのです。
祭りやパーティーがあるとこうなのです。
「「「クレア、待ってたよ!!」」」
あぁ、綺麗にハモってます。
よし、ここはあの作戦で行くしかありません!!
「みなさん、わたくしはキリとともにまわるはずです。
ならば、キリのふくもかんがえたほうがいいのでは?」
「それもそうね!!
流石、クレアだわ!!」
対象が2人の方が、1人に対する被害は少ないはずなのです。
もう、ステラかあさまはノリノリなのです。
この作戦は成功した、そう思ったのですが………
「クレアには、これが似合うね。
そう思わない?」
「えぇキース、これがいいわ!!」
「でも、それだとキリに合わせる服がないわ。」
「だったら、この服はダメだね。」
まさかの、まさかの展開なのです!!
今回は、何故かすぐに私の服は決まりました。
しかし、キリの服が決まらないのです。
まさか、こうなろうとは………
「………お嬢様。」
そんな目で見るな、キリ!!
不可抗力だーー!!
「皆さん、これはどう?」
「「「それだ!!」」」
どうやら、私が適当に選んだ服がお気に召したらしく、私とキリの服は決まりました。
これからは、自分で服を選ぼうかしら?
そう思った瞬間でした。
さて、何故私とキリの服を選んでいたのかと申しますと、私達はカインとおさまと一緒に王都に行ってくるからなのです。
毎年、この祭りの時、領主は王都に呼ばれます。
それにくっついていくというわけなのです!!
「キリといくの?」
「えぇ、そうよ?」
クリスはとても行きたそうでしたが、同行は2人までというのが慣わしらしいので、残念です。
私達の家から、王都まではとても遠いです。
馬車で三月はかかります。
しかし
ここは魔法が使える国なのです。
そういう場合に登場するのが、この「転移装置」なのです。
この「転移装置」、領主の家には必ず設置してあります。
王都にある別邸に必ず繋がれており、とても便利なものです。
貴族でよかったと思う瞬間ですね。
「クレア、危ない人に捕まりそうになったら、この短剣で刺すんだよ!!」
とキースにいさまは、私に短剣を渡し、
「クレア、何かあったらここに向かって叫びなさい!!
必ず助けがくるから!!」
とステラかあさまは、通信用の魔道具を渡してきました。
私は、今から王都に行くんですよね!?
そうですよね!?
さっと隣にいるキリを見つめるとさっと目を逸らされました。
「………お嬢様、お疲れ様です。」
「ありがとう、キリ………」
そして、私達はカインとおさまに連れられて、王都に向かったのです。
最初に気づいたことは、魔力が至る所で感知できることでした。
酔ってしまいそうなのです。
「クレア、大丈夫か?
魔力酔いしてないか?」
「すこし………うっ……」
「よし、すぐに治してやるからな!!」
どうやら、王都には魔道具が溢れているようなのです。
その結果、こんなにもの魔力が空気中に放出。
魔力酔いを引き起こしたり、風景が霞んで見えたりと一種の社会問題になっているそうなのです。
最近は、魔力を外に放出しないタイプの魔道具も出ているとかで、ここ10年で大分マシになったようなのですが………
「カインとおさま、わたくしおうとでのかんこうはえんりょしておくわ。
これでは、かんこうどころではないわ。
キリといっしょにあそんでる。」
「わかったよ、クレア。
でも、慣わしでパレードだけは、貴族席に座って見ないといけないから、それだけは我慢しておくれ。
それが終わったら、クレアは先にお帰り。」
「ありがとう、カインとおさま。
そうさせていただくわ。」
私は、今日の夜に行われるパレードだけ見て、帰ることになりました。
まさか、王都がこんなところなんて。
「キリ、なんかはなして。」
「………お嬢様、何をですか?」
「なんかかよ、なんか!!
そういえば、キリってけいごにがて?」
「………お嬢様、そうです。」
「だったら、やめちゃっていいよ?
わたしとふたりのときは、けいごなしで!!ね?」
「………ですが。」
「めいれい?」
「………わかったよ。
クレアと2人の時はこう話す。
えーっと、ありがとう。」
「どういたしまして!!」
それから、キリとは沢山話しました。
キリの昔のこととか、何故私の家に仕えるようになったのかとか………
え、教えて欲しい?
ダメです!!
キリのプライベートなのです!!
「クレア、そろそろ時間だから準備しないと。
パレードに遅れるぞ!!」
「はーい!!
りょうかい、キリ!!」
すると、キリは何故か顔を真っ赤にしてしまいました。
「キリ、どうかした?
かおあついよ?
ねつでもある?」
「いや、何でもない。
心配してくれてありがとう、クレア。」
私は、侍女に連れられて自室に向かいました。
カインとおさまに連れられて、キリと私は、パレードの会場に向かいました。
「カインとおさま、パレードにはだれがでるの?」
「そうだな。
宮廷魔導士様や王様、皇太子様が、出られるそうだぞ。」
宮廷魔導士様ですか。
どんなパフォーマンスをしてくれるのでしょう?
楽しみです!!
そうだったのですが、会場に着いた途端、私は酷い目眩に襲われました。
大気中の魔力のせいですね、魔力酔いです。
馬車を出て、よろけた私をそっと支えたのはキリでも、カインとおさまでもありませんでした。
「大丈夫ですか?お嬢さん?」
私はその人と目が合った瞬間、気を失ってしまいました。
最後に見えたのは、綺麗な銀髪でした。
目を覚ました私を囲んでいたのは、キースにいさまにステラかあさま、スフィアにクリスにキリでした。
「「「「「大丈夫!?」」」」」
「だいじょうぶ。
わたしどうなったの?」
「………お嬢様は酷い魔力酔いのため、気を失ってしまい、至急家に戻ったのです。」
「クレア、心配したのよ?
体は大丈夫?
だるくはない?」
「大丈夫よ、ステラかあさま。
わたしはげんき!!」
「そう、なら安心だわ。
クレアは、しばらく安静にしなさい、いい?」
そう言うと、皆は私の部屋から出て行きました。
私はずっとひっかかっていることがありました。
私を助けた人は誰だろう?と。
何故かとても懐かしい気がしたのです。
その人のことを思い出そうとすると、酷く頭が痛みました。
-まだ思い出してはダメよ-
私は深い深い眠りに落ちていきました。