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クレアの独白  作者: こはぎ
第1章 クレアの独白
32/43

勉強会

 


 さてさて、文化祭も無事に終わった今日この頃。

 実は私達には、もう一個重要イベントがあるのです。

 忘れてはいけない、重要なイベントが。

 それは、



 第三回定期試験



 なのです。

 学園側も酷いことをするのです。

 暗に、「お前ら、浮かれてんじゃねぇぞ、こらぁ」というメッセージを送ってくるのですから。

 少し文化祭に熱中し過ぎた私達は、上手く勉強モードに突入できていませんでした。

 特に私が。

 いや、だってあんなに熱中したらねぇ、そうもなりますよ、ねぇ?

 他の人は、あまりなってないんですけどね。

 あははは。

 そんな私をみかねてリチャード皇子とスフィアカップルが考えたのが



「みんなで勉強をしようの会」



 なのです。

 ていうか、いつもこういうなんとかの会とか考えるのはスフィアな気がするのです。

 まぁ、どうでもいいのですが。

 ということで、私達は王都にあるリチャード皇子の別荘に来ていました。



「「うわー、広〜い!!」」



 私とクリスは、その別荘の大きさに思わず口を開けたまま、ポケーッとしてしまいました。

 だって、だって、だって。

 王都の一等地に建てられたホワイトハウス並みの建物が、リチャード皇子の私物なんて言われたら、驚かないわけがないのです。

 私達は、こんなに凄い人と知り合いになっていたのかと衝撃を受けていると



「おぉ!!やっと出来たのか!!

 お前とスフィアの愛の巣が!!

 でも、平均よりは少し小さいな。

 もっと大きくしないのか?」



 は!?

 リチャード皇子とスフィアの愛の巣!?

 ていうか、これで小さい!?

 私は、思わず口をあんぐりと開けてしまいました。

 開いた口が塞がらないとは、こういうことなのです。



「あぁ、大きすぎても不便なだけだからな。

 本当は、もう少し小さくしたかったんだが………」

「これ以上小さくしたら、王都の貴族連中に目をつけられるぞ。

 この大きさでも、ギリギリなのに。」

「はぁ、そうだよな。

 そんなこと気にせずにスフィアとのんびりゆったりした生活が送りたいよ。」

「お二人さん、楽しそうに話しているところ悪いんだけど、刺激が強すぎてあの二人が放心状態になっているんだけど………」

「「え!?」」





  ◇ ◇ ◇



「起きなさい、クレア。

 全くいつまで寝てる気なんだろうね、このお姫様は。」



 私は、そんな聞き覚えのある人の声で目を覚ました。

 目を開けると、そこには



「キース兄様!!

 何故、ここにいるのですか!?」



 な、な、なんとキース兄様がいました!!

 スフィアからのプレゼント?サプライズ?

 この際、何でもいい!!

 どうやって、キース兄様の魅力を独り占めするか考えないと!!



「今日は、君達の家庭教師役を任されてるんだ。

 僕の教え子からね。」

「キース兄様は家庭教師をなさっていたのですか!?」



 私は、不思議に思いました。

 我が親愛なるキース兄様は、とても頭が良く、将来は政治に携わる仕事をしたいと言っていました。

 なのに、どうして家庭教師なんかをやっているのでしょう?

 家庭教師をやってくださるのは、嬉しいけど、嬉しいけど、なんかモヤモヤするのです。



「あ、別に家庭教師はただのアルバイトだよ?

 もう、司法部への就職は決まったんだ。」

「では、何故アルバイトなんてしてるのですか?」

「あー、それは僕が皇太子の家庭教師に適任だったからみたいだね。」



 は、はぁー!?

 こ、皇太子の家庭教師!?

 それってエリート中のエリートしかなれない役職じゃないですか!!



「え、え、キース兄様!!

 おめでとうございます!!

 これで、将来安泰ですね!!」

「待って、クレア落ち着いて!!

 僕は、別に永久就職するつもりはないんだよ!!

 さっきも言っただろう。

 司法部に就職が決まったって。」



 は、はぁー!?

 だって、だって、だって。

 皇太子の教育係と言えば、教育関係の仕事の頂点で、給料も地位もバカにならないほど高いのです。

 それに、貴族位まで持つことができるというのに!!何故!!



「だーかーら、早とちりしすぎなの!!クレアは!!

 僕は、ただのアルバイト!!

 いい!?

 教育係の人が急遽遠くに行く用事ができてしまって、代理に指名されたのが僕なの!!

 わかった?」

「はい、キース兄様。

 早とちりしてしまって申し訳ございません。」



 どうやら、私はとんだ勘違いをしていたようなのです。

 キース兄様に関わるといつも暴走してしまうのです。

 この癖、治さなければ!!



「クレア〜、落ち着いた?」



 そう言って、ニヤニヤしたスフィアが近づいてきました。



「スフィア!!

 キース兄様が来ること知ってたなら、前もって教えてよ!!

 私がキース兄様のことになると暴走しちゃうこと知ってるでしょ!?」

「えー、いーやーだ!!」

「は!?何で!!」



 何故、嫌なのですか!!

 教えるくらいいいじゃないですか!!

 スフィアのケチ!!



「だって、面白いんだもん!!」



 スフィアは、そう言うとスッと指を指しました。

 スフィアが指を指した方向を見てみると………

 そこには、何故かとても憔悴しきっているクリスとリールがいました。

 お互いに肩を抱き合って泣いているのです。

 少し気持ち悪いのです。



「クリス、リールどうしたの?」

「いや、何でもないよ、クレア。

 わかってたことだからね、うん。

 何でもないよ、気にしないで。」

「まさか、クレアがシスコンだったなんて。

 何ていうことでしょう。

 本当に予想の斜め上をいく人だ。

 それにしてもシスコン、シスコン、シスコン、シスコン………」



 本当にどうしたのでしょう?

 全く原因がわからないのです。



「クレア、二人がこうなった原因はね………」

「はい、はーい。

 勉強を始めますよ!!

 みんな、席について〜!!」



 キース兄様に呼びかけられ、その話はうやむやになってしまいました。

 その後のクリスとリールはいつもと変わりがなかったので、何故あんなに落ち込んでいたのか、その理由はとうとうわからずじまいになってしまいました。



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