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クレアの独白  作者: こはぎ
第1章 クレアの独白
29/43

全体リハーサル

 


「さぁ、今日は全体リハーサルよ!!

 体育館をリチャードの権限で貸切にしたから、思い切りしごいてあげるわ!!

 みんな、位置について!!」



 思い切り、スフィアがリチャード皇子をパシリ扱いにしているような気がするのは気のせいですよね、あはは。

 まぁ、リチャード皇子はスフィアの尻に敷かれているご様子ですし。

 でも、一応次期国王のはずなんですけどね………

 ファイト!!リチャード皇子!!





 ということで、今日は全体リハーサルなのです!!

 まぁ、あれですよ。

 地獄なのです。

 完璧にできるまで、エンドレスで続く地獄なのです。

 今、朝7:00なのですが、一体いつまでかかるのでしょう?

 想像したくもないのです。



「クレア、もうすぐ始まるって!!」

「 はーい!!

 今、行きまーす!!」



 私は、そうして戦場に向かっていったのです。





  ◇ ◇ ◇


 -昼食の時間-



「もう無理、動けない!!」

「僕も、もう無理だよ!!」

「スフィアさんは、思ったよりハードな方なのですね。

 勉強になりました。」



 私達、主役三人は揃って弱音を吐いていました。

 だって、しょうがないのです!!

 立ち位置、セリフなどは、今までの練習で完璧になっていましたし、リハーサルでも完璧でした。

 しかし、スフィアはそれでも満足しなかったようなのです。


「あそこは、もっと腕を広げて」とか


「そこは、もっと感情込めて」とか


「今のは、全然可愛くない」とか


 可愛くないってどうしろというのです!!

 どうしようもないのです!!

 いつもは、隙あらば私を口説いてくるリールも今日はとても大人しかったのです。



「はい!!みんな!!

 休憩終了よ!!

 元に戻って!!

 さっきの続きから始めるわよ!!」

「「「鬼か、スフィアは!!」」」



 私達はその残酷な宣告に、声を揃えて突っ込んでしまいました。



「鬼で結構よ!!

 早くしなさい!!」

「「「はい………」」」



 私達は、この時実感しました。

 スフィアには、敵わないと。

 リチャード皇子は、そんな私達を見て、クスッと笑っていました。

 後で覚えておくのです。

 そして、地獄の練習が再び始まったのです。





 練習は、サラ(クレア)とレイ(リール)の密会している姿をライ(クリス)が見つけるという中々の修羅場のシーンから始まりました。



「サラ、君のことを愛してる。

 世界中が敵に回ったとしても、僕は君の味方だ。」

「レイ、ありがとう。

 その言葉が私を支えてくれる。

 貴方といれば、私は何処へでも行けそうだわ。

 ねぇ、いっそ何処かへ、誰もいない何処かへ一緒に行きましょう?

 このままでは………

 いえ、何でもないわ。」

「そうだね。

 このままでは、いけない。

 僕にもっと地位があれば、君とずっと一緒に居られるのに………」

「レイ」

「サラ」

「サラ姫、こんなところにいたのですか、探しましたよ。」

「ライ!!

 何でここに………」

「サラ姫のことなら、何でもわかりますよ。

 ずっとずっと一緒にいるのですから。

 もちろん、これからも一緒に。

 さぁ、そんな下賤なものの手なんか離して、私の元に来るのです。

 一緒に帰りましょう。」

「………わかったわ。

 ごめん、レイ。

 私は、私は………」

「いいんだ、サラ。

 いってらっしゃい。」



「はい、カーット!!」



「クレアとリールは、もっと仲良く親密に!!

 もっと愛し合ってる感じをだして!!」

「はい、スフィア監督!!」



 スフィアの指摘は最もなのです。

 リールを琉太だと思ってやれば、いい感じになるでしょうか?

 前世の「記憶」って何かと便利なのです。



「クリスは、今の感じよかったよ!!

 その感覚を忘れないでね!!

 では、もう一回、同じところから!!」



 そう言った瞬間でした。

 クリスが倒れたのは。

 それは、あまりにも唐突で衝撃的でした。




 ワタシノセイダ




 その想いが私を締め付けます。

 まるで、あの時と同じ。

 琉太の時と………

 私のせいで、私があんなこと言わなければ、クリスはここまで、頑張らなかったでしょう。




 ワタシノセイダ

 ワタシノセイダ

 ワタシノセイダ




「クレア、しっかりしろ!!

 クリスは、死んでないし、ただ眠っただけだ。

 よほど、疲れてたんだろうな。

 あの時とは、違う!!

 クレア、戻ってこい!!」



 この時の私は、完璧に取り乱していました。



「ワタシノセイダ

 ワタシノセイダ

 ワタシノセイダ

 ワタシノセイダ」



 その瞬間、私は思い切り頬を叩かれました。



「クレア、甘えるな!!

 自分のせいだと思うのなら、相手のためにできることをしなさい!!

 今の貴女にできることは、そうやって泣くことではないでしょう?」



 スフィアは、私にいつも道を示してくれる。

 私は、本当に自慢の友達を持ったのです。



「ごめん。スフィア。

 そうだよね。

 私が今するべきことは、泣くことじゃない!!

 クリスの分も演技を頑張ることだわ!!」

「「さぁ、再開しよう!!」」



 私とスフィアは、手を取り合って練習を再開しました。



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