表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クレアの独白  作者: こはぎ
第1章 クレアの独白
26/43

魔法のLESSEN

 


 フィン兄様が反乱をおこしたって言うのは嘘で、ただの祭りだと言うことがわかった今、私は急に暇になってしまいました。

 そして、一週間も地獄、いえ自宅で過ごさなければならなくなりました。

 ステラ母様とキース兄様から逃げることができ、なおかつ自分にとって有益になること。

 そんな都合のいい話を私は、キース兄様とステラ母様のスキスキ攻撃をかわしながら、考えていました。

 が、見つかりませんでした。

 そんな時でした。

 あの話が舞い込んできたのは。



「大変です!!大変です!!領主様!!」



 そう言って駆け込んできたのは、東の森の森番でした。

 コーナー家の領地は、四方を森に囲まれています。

 その森は、主に南、北、東、西の四つに分類されており、東の森はその中でも最大の大きさを誇っていました。



「どうなさったのですか!!」



 その時は、ちょうど他の方々が出払っていたので家の中にいたのは、私とキリだけでした。



「領主様は!!領主様はいらっしゃいませんか!!」

「残念ながら、今はいません。」

「そんな……!!」



 彼はそう言うと、へなへなと倒れこみました。

 何故、こういう時に限って皆出払っているのでしょうか?

 私は、内心動揺していました。

 しかし、いついかなる時も冷静に分析する、それが私のモットーでした。

 私は、深呼吸をして心を落ち着かせると、彼に尋ねました。



「一体、何があったのです?

 全て話してください!!」

「は、はい!!

 東の森でゴブリンの群れが発生しました。

 数は、50匹より多い模様。

 至急、駆除をお願い申し上げます!!」



 こ、これはいいストレス発散になりそうなのです!!

 そう思うとすぐに私は手を二回叩きました。

 ポンッ

 そんな音と共に現れたのは、私の戦闘用具を持ったキリでした。



「全く人使いが荒いよ、クレアは。」

「別に荒くないわよ!!キリ!!」



 東の森の森番は、驚きのあまり口を開けて放心状態に陥っていました。

 私は、彼をメリーに任せるとキリと共に東の森まで飛んで行きました。





 そこに広がっていたのは、東の森全体を埋め尽くすゴブリン達でした。

 上から見ると、その異常さがよくわかりました。

 その数は50匹をゆうに越し、約500匹のゴブリンがいました。

 私はそれを見てとてもワクワクしていました。



「キリ!!これはいい魔法の練習になりそうだね!!」

「それより、まず町の人の安全を確保することの方が先でしょ、クレア。

 今回は、領主代理としてここにいるんだからしっかりして。」

「はい、ごめんなさい。」



 キリに怒られてしまったのです。

 確かに今の言動は、領主代理として相応しくないものだったのです。

 しっかりしなくては!!



「では、まず最初に東の森全体に結界をはります!!

 キリは、結界の外にいるゴブリンの駆除を頼みます!!」

「了解、クレア。」



 キリは、そう言うと地上に降りて行きました。

 私はそれを見届けると、東の森の中央まで飛んでいきました。



「土の精霊よ、水の精霊よ、我に応えよ。

【sacred-place】」



 その瞬間私の手から光が溢れ出し、東の森全体を包みました。

 光が収まると東の森はドーム状の結界に包まれていました。

 魔法成功なのです!!

 少し詠唱を長くしたので、ざっと一週間はもつでしょう。

 その内に、全てを殲滅するのです!!

 あぁ!!ワクワクしてきました!!

 私が結界をはり終えると、すぐにキリがやってきました。

 流石、キリ!!仕事が早いのです!!



「で、これからどうするの、クレア。」

「そうね………」



 私は、悩みました。

 どうやってこいつらを駆逐するのかを。

 丸焼きにしましょうか、串刺しにしましょうか、それとも………

 と真剣に悩んでたら、キリに頭を叩かれました。



「殺し方じゃなくて、カイン様にいつ報告するのかってこと。」

「あぁ!!」



 そっちのことだったのです!!

 あー、恥ずかしい!!これじゃまるで、私が殺したがってるみたいではないですか!!

 いや、実際そうなんですけど……



「話すの面倒臭いし、一発で仕留めるわ!!

 キリはその補助をお願い!!」

「了解、クレア。」



 東の森を一つも傷つけず、ゴブリンだけを殺す方法。

 そんな魔法、私が知っている限り一つしかないのです!!



「森羅万象の精霊よ、我に応えよ。

【pure-place】」



 その瞬間、あれだけいたゴブリンが忽然と消えました。

 どうやら、魔法は成功なのです!!

 それを確認した瞬間、私の意識は暗転しました。





 目がさめると私は自分のベットの上にいました。

 周りには、家族全員が。



「もっと周りを頼れよ!!」

「クレアの為なら何でもするよ!!」

「クレアはもっと周りを見なさい!!」

「無理だけはするな、クレア!!」

「ああいうことは先に言ってくれると嬉しいです、クレアお嬢様。」



 私は本当にみんなに愛されているのです。

 こんな嬉しいことはないのです。



「ありがとうございます!!」



 と、感動に浸る前に。



「私はどれくらい寝ていましたか?」

「一週間です、クレアお嬢様。」

「ありがとう、キリ。」



 やったーーーーー!!

 どうやら、私は明日学園に帰る日のようです!!

 これで地獄はまぬがれ……



「そうだ、クレア!!

 今日はクレアの回復祝いにルール家の方々も呼んでパーティーにしましょう!!

 さぁ、ドレスを選ぶわよ!!」

「俺もクレアのドレスを選ぶの手伝うよ!!」



 いやーーーーー!!

 どうやら、地獄を免れることはできなかったようなのです。

 私は潔く地獄に向かいました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ