反乱の真実
ここにキース兄様がいることに、私は凄く納得してしまった。
何故なら、こんな家ごと移動しようとか思いついて、実行するのはキース兄様ぐらいしか我が家にはいないから。
私は、安堵した。
誰も傷ついていないことに。
なんだけど………、流石にこれはないんじゃないかな、キース兄様?
遡ること1時間前、私はキース兄様に抱きつかれていた。
何でかって?理由はいたって簡単。
キース兄様が私を見た途端、目にも留まらぬ速さで私に近づき、抱きついたから。
私は、ほんの少し抵抗(殴るとか、蹴るとか、ぶん投げるとか)をしたんだけども、まるでひっつき虫のように離れないキース兄様に私は少し………イラついた。
いや、世間一般に今この状況は「感動の再会」ってやつだってわかってるけどさ、流石にこれはないと思うのです。
何ていうのか、度合いが違うというのか、テンションが違うというのか。
キリは、そんな私を助けようとしないし、どうしようと思っていたら、玄関のドアが開いて、ここにいるはずのない人が現れた。
「キース兄、帰ってくんの遅いけど、何かあった………んだね。じゃあ!!」
そこにいたのは、フィン兄様だった。
私に気づいて、ダッシュで逃げようとするフィン兄様をキリは逃しはしなかった。
どういうことなのだろう?
私は、ひどく混乱した。
だって、この反乱の首謀者であるはずのフィン兄様がどうしてここに………?
私とキリが混乱していることに、気づいたキース兄様は、私をお姫様抱っこするとこう言った。
「詳しい説明は中でしよう。
ここは、あまりにも危険すぎる。」
その前にこの体勢についての説明が欲しいんだけど、キース兄様?
私は、その体勢のまま、ステラ母様とカイン父様がいるという居間に向かった。
「今回は、何処へ行こうかしら?」
そう言いながら、ステラ母様は旅行雑誌をめくっていました。
隣にいるカイン父様も雑誌を見ながら、指を指していたました。
「こことかいいんじゃないか?」
「あ!!いいわね!!
そこにしましょうか!!」
ステラ母様は、そう言って手を叩きました。
居間には、何故かいちゃついてる両親がいました。
この状況誰か説明してくれませんか?
両親はいちゃついてて、フィン兄様は家にいて、キース兄様は未だに私をお姫様だっこしてて………
救いを求めるように、キリの方を見ましたがキリも私と同じように混乱していました。
私は、溜まった感情を吐き出すように泣きながら叫びました。
「ちゃんと説明しろやーーーーーーーー!!」
私の声に、その場にいた全員は驚いてこちらを向きました。
キース兄様は、驚いて私をおろしてくれました。
私は、そんなことも気にせず、叫び続けました。
「フィン兄様が反乱をおこしたって聞いて来てみれば、一体何なの!!
ステラ母様とカイン父様はいちゃついてるし!!
フィン兄様は何故か家にいるし!!
反乱おきてる感じしないし!!
ちゃんと説明しろやーーーーーーーー!!」
私の言葉に驚いたのか、さっきまでの明るいムードは何処かへいってしまいました。
すると、キース兄様が私の涙をぬぐいながら優しく説明をしてくれました。
「この地域には、昔からこの時期にするお祭りがあるんだ。
町の人VS領主で何か勝負をするって言うお祭りが。
俗にこのお祭りを反乱するって言うんだけど。
で、今年の勝負のテーマがかくれんぼ。
だけど、今年のお祭りはいつもと少し違っていたんだ。
何故なら、フィンが町の人側で出たいと言い出したから。
まぁ、こういうことは数十年に一回起こることなんだけど。
しかしここで、ひとつの問題が生じた。
それは、領主側の人数が最低人数である15人を下回ってること。
だから、キリにクレアを呼ばせたんだ。」
どうやら、私はかなりひどい勘違いをしていたようなのです。
でも、どうしてでしょうか?
「どうして、私はその事知らないの?」
「それは、クレアがいつも勉強してたからだよ。
誘っていいかわかんなかったんだ。ごめん!!」
そうして、「フィン兄様反乱事件」は、幕を閉じました。
 




