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クレアの独白  作者: こはぎ
第1章 クレアの独白
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星に祈る



 私達は、急いで自宅に向かった。

 馬車だと遅いので、魔法を使って。

 もしかしたら、帰ったら逆に事を拗らせてしまうのかもしれないのだけれど。

 それでも、もう大切な人は失いたくないから!!

 私は、より速度を速くした。





 久しぶりに帰った我が家は、悲惨なことになっていた。

 雑草は生い茂り、窓はところどころ割れ、夜中だというのに光が一つもついていなかった。

 まるで、誰も住んでいないみたい。

 私は、おかしいと思った。

 だって、フィン兄様に屋敷を渡すのはキリ調べによると、まだ一週間もあったはずだ。

 なのに……!!



「くそ!!何がどうなってんだ!!」



 キリは悔しそうに呟いた。

 しかし、今すべきことは冷静に物事を把握すること。

 私は、とりあえず無属性魔法「サーチ」を使った。

 この魔法は、周囲の状況を教えてくれる魔法で、地球で言うレーダーみたいなものだ。

 五メートル、十メートル、十五メートルと範囲を広げていくと、南西の方角二十五メートル先に複数の人の反応がでた。

 私は、未だに落ち込んでるキリの背中を思い切り叩いた。



「キリ!!

 落ち込んでる場合じゃない!!行くよ!!」



 すると、キリは思い切り自分の頬を叩き、私を見てにやっと笑った。



「わかった。

 ところで、何処に?」



 そういえば、キリに目的地を言ってなかった。

 まぁ、キリならいいか!!



「説明するのは、後!!

 いいから着いてきて!!」



 私は、そう言って空中に飛び上がった。

 少し遅れて、キリも空中に飛び上がった。

 そして、私達は南西にある森に向かった。





 サーチをこまめに使いながら目的地に着いたと思ったら、そこには誰もいなかった。



「おかしいな、ここなんだけど……」



 私とキリは、不思議そうに首をひねった。

 すると、キリはいきなり手を叩いた。



「クレア、関係あるかわかんないんだけど……」



 そう言って、キリは私のもとに来る前、カイン父様と話したことを教えてくれた。





 ◇   ◇   ◇



「キリ、ちょっとこっちに来なさい。」

「はい、ただいま。」



 カイン父様は、準備をしていたキリの元に押し掛けると、珍しく真面目な顔をして、そうキリを呼んだ。

 そして、こう言ったのだと言う。



「これから、私達家族には大きな試練がやって来るだろう。

 切り離され、ボロボロになり、もしかしたらお互いを憎みあうかもしれない。

 その時、キリはクレアの、クレアだけの味方になってくれないだろうか。

 よろしく頼む。」



 そう言うと、カイン父様はキリに向かって一礼をした。

 それは、いつものカイン父様からは到底かけ離れた行動だった。

 キリが何か言う前にさっと体を起こすとカイン父様は、部屋を出る前にぽそりと呟いた。



「もし、どうしても家族の力が欲しいときには星に祈りなさい。

 私からのアドバイスだ。では。」





 ◇   ◇   ◇





 私は、その話を聞いて絶句した。

 なんで、なんでこいつは……



「なんでそんな大事なこと黙ってたのよ!!」



 キリは、私がどうしてそんなことを言ったのかわからないらしい。

 いつもは、もっと頭が切れるのに。



「だーかーら!!

 星に祈るって言うのは、魔法を使う、特に何かを暴く魔法を使うって言う隠語なの!!

 こんな簡単なことにも気づかないなんてキリらしくない!!」



 キリは、それでもキョトンとしていた。

 どうやら、本気で知らなかったらしい。

 なんて、珍しい。

 私は、そんなキリを横目に固定魔法を行使した。



「[appear-person]」



 すると、周りの森林は消え失せ、そこに現れたのはなんと自宅だった。

 私は、とても驚いた。

 そして、思った。

 何してるんですか、キース兄様。



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