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クレアの独白  作者: こはぎ
第1章 クレアの独白
15/43

子分ができました!?

ケビン=スルタン(♂)

⇒学年2位

⇒三大貴族の一つスルタン家の次期当主

⇒クレアの子分?

 


 -あの事件から一カ月-


 私は、とても充実した日を過ごしていました。

 まぁ、変わったことと言えば例の事件のケビン君が私を師匠(姉御?)として接してくることなのでしょうか?

 とってもうざいのです。

 寮から出るとまず、私はケビン君に会うのです。



「姉御!お荷物お持ちします!」



 その言葉を華麗にスルーして教室に着くと、聞いてもいないのに今日の授業の予定について一通り話されるのです。

 わざわざ私の前に来て。

 また、移動教室がある場合にはお決まりの



「お荷物お持ちします!」



 学食に行こうとすると



「お昼をお供してもよろしいでしょうか?」



 いや、よくないのです、って言っても無視をするケビン君と一緒にお昼を食べるのです!!

 私は、クリスと食べたいのに!!

 寮に帰ろうとする私に



「危ないのでお供します!」



 と言って一緒に帰るのです!!

 私には、キリがいるので大丈夫なのです!!

 しかも、クリスとデートに行こうとしても



「危ないのでお供します!」



 って本当にやめてほしいのです!!

 一体、何が危ないというのですか!!

 あぁー、もう本当に鬱陶しいのです!!

 そのせいで、クリス不足なのです!!

 思い立ったら吉日。

 ということで、私は寮の部屋にキリとスフィア、そしてクリスを招集しました。



「実は、みんなに協力して欲しいことがあるの!!

 私は、もっとクリスと二人きりで楽しく過ごしたいの!!

 なのに、あのケビンとかいう奴のせいで全然二人きりになれない!!

 だから、あのケビンをどうにかしてくれないかな!!」

「お嬢様は、意外と堂々と惚気るタイプなのですね。

 勉強になります。」



 キリの言葉でさっきの私の言葉がかなり恥ずかしいものであることに気づいた私は、思わず顔を赤らめてしまいました。



「な、なんの勉強よ!!

 べ、別に私は惚気てなんかいないんだから!!」



 私は、とっても恥ずかしくて反射的に可愛くないことを言ってしまいました。

 すると、クリスは小首を傾げながら、私をに対して上目遣いをしながら言いました。



「え、クレアは僕のこと好きじゃないの?

 僕は、もっとイチャイチャしたいな〜!!」



 可愛すぎるのです。

 こんな可愛い生き物は他にいるでしょうか、いやいない!!



「な!!あー、もう!!

 話がずれてる!!

 それで、何かいい案ない?」



 私は、強引に話を変え、本題に戻しました。

 そうです、私達が今話し合わなければいけないことは、ケビンへの対処法なのです!!

 クリスが好きとか好きじゃないとか、そういうことではないのです!!



「じゃあ、いっそのことケビンをリンチする?」



 かなり、物騒なアイデアをスフィアが出してくれました。

 実力行使ですか………



「うーん、それは最終手段かな?

 何か他に意見ない?」

「とりあえず、何でこんなことをするのか話を聞いてみてはどうでしょうか、お嬢様。」

「そうね、流石キリ!!

 名案だわ!!」



 私は、キリのアイデアが一番平和的で簡単だと判断し、いつものように私に話しかけてきたケビンにこう問いかけました。



「何で貴方はそこまで私についてくるの?

 誰かの、私の迷惑になるとは考えないの?」



 荷物を持とうとしたケビンはその場に固まり、ヘラリと笑いながら言いました。



「え?迷惑でしたか、姉御!!

 僕は、何でこんなことをしてるんでしょうね。

 実を言うと、僕にもわからないのです。

 迷惑ならば、私はこういう行動は控えることにします。

 お手数おかけしました。

 それでは、僕用事があるので。」



 そう言って、私の元から去っていく彼の目には、涙が光っていました。

 何故、彼は涙を流していたのでしょう?

 私には、全く理解できませんでした。

 全ての授業を終え、寮の部屋に戻ると、そこにはスフィアの姿がありました。



「で、どうだったの、ケビン君は?

 作戦は、成功した?」



 スフィアは、私が座るやいなや聞いてきました。

 随分、気になっていたようなのです。



「それが、ね………」



 私は、今朝起こった出来事についてスフィアに全て話しました。

 その話を聞いたスフィアは、大きくため息をついて言いました。



「クレアって本当に鈍感よね!!

 改めて、再確認したわ!!」





  ◇ ◇ ◇


 -翌日の朝-


 私は、朝早くにケビンを教室に呼び出していました。

 一人、教室で本を読んでいると、教室に入ってきたのはケビンではなく、クリスでした。



「え、何でクリスが………」



 私は、動揺して持っていた本を落としてしまいました。

 クリスには、このことを少しも言っていなかったから。

 クリスは、その本を拾うといつになく怒って言いました。



「あのね、こういうことは僕にも言ってほしいな。

 別にクレアの気持ちが変わるわけはないって知ってるけど、やめて欲しいな!!」

「………ごめん。

 私、クリスの気持ちを少しも考えてなかった。

 本当にごめん!!」



 私は、本当に馬鹿なのです。

 こんなにクリスを心配させて。

 俯いている私の頭に、クリスはそっと手を置きました。



「僕の方こそごめんね。

 そこまで言う気は無かったんだけど………

 ヤキモチやきました、はい。」



 驚いて、顔を上げるとそこには真っ赤な顔をしたクリスがいました。



「え?ヤキモチ?何処に?」



 私は、クリスが何に妬いたのかが分からず、クリスに尋ねました。

 しかし、答えたのはクリスではありませんでした。



「僕、ですよね、クリスさん。」



 そう言って現れたのは、ケビンでした。

 そう言えば、ここで待っていたのです。

 すっかり忘れていました。

 ケビンはそのまま話をし始めました。



「迷惑なのは、最初からわかっていたんです。

 でも、こうでもしないと姉御の近くには行けなかった。

 強引でも、どんな手段を使ってでもいいから、僕は姉御の側に、隣にいきたかったんです。

 姉御、本当にごめんなさい!!」



 私は、何か答えなければいけないと思いましたが、何も言葉が出てこませんでした。

 頭の処理が追いついていなかったのです。

 すると、隣にいたクリスが言いました。



「あのね、クレアは超がつくほどの鈍感だから、多分さっきの言葉の意味、少しも理解してないと思うよ。

 正直に伝えたら、どうなの?

 それとも、僕に遠慮してる?

 どうぞ、お構いなく。

 僕とクレアの愛は、そう簡単には壊れないから。」

「そうですか、そうですよね。

 わかりました。」



 そう言うと、ケビンは何かを決意したように、私の目を真っ直ぐに見つめて言いました。

 一体、ケビンは何を言おうとしてるのでしょう?

 私には、全くわからないのです。



「姉御!!いや、クレア!!

 出会った時から、ずっと好きだった!!

 僕のこの気持ちのせいで、いろいろ迷惑かけてごめん!!

 ごめん、クレア!!」



 ケビンはそう言うと、走って教室から出て行きました。

 私は、驚きすぎて何が何なのかよくわかりませんでした。



「クレア、返事は?

 ケビンへの返事は………?」



 不安そうにクリスは、私に尋ねてきました。

 私は、同じ失敗は二度もしない主義なのです。



「もちろん、答えはNOだよ、クリス!!

 私がす、好きなのは、ク、クリスなんだから!!」



 私は、そう言ってクリスの頬にキスをしました。

 すると、クリスは私にギュッと抱きついて言いました。



「可愛すぎます、クレアさん。

 また、僕クレアに惚れちゃったよ。

 もう、どうしてくれんの!!」



 私達は、他の人が来るまでずっと抱きついていました。





  ◇ ◇ ◇


 実は我が1-Aには、まだ学校に来ていない生徒が二人いるのです。

 第一皇子のリチャード皇子とその側近候補で三大貴族レイン家の次期当主であるリール=レインなのです。

 この二人は外交のために隣国に行っており、入学式に間に合わなかったのです。

 ひゃー、別次元の方々なのです!!

 もう公務をしているなんて!!

 ということで、彼等は今日初めて学校に登校してきます。

 因みに、彼等は試験を受けること無くこの聖クレリエント学園に入学しているのですが、席は一番前なのです。

 理由は簡単なのです。



 彼等の才能が飛び抜けて凄いからなのです。



 どうやら、魔法の量も質もずば抜けており、武術もそこらへんの騎士では太刀打ちできないほど、強いらしいのです。

 ということをスフィアがその日の朝、わざわざご丁寧に教えてくれたのです。

 クラス内はそのことでザワザワガヤガヤしていました。

 すると、先生が入ってきて生徒の声がピタッと止みました。



「公務のために約一カ月の間、学校を休んでいたリチャード皇子とリール=レインが今日から学校に登校することになった。

 くれぐれも粗相の無いように気をつけろよ〜!

 では、二人とも入ってください。」



 先生の合図と共に私達のクラスに入ってきたのは、二人の美少年でした。

 一人は、金髪碧眼のTHE王子様でした。

 多数の女子が黄色い声をあげて、



「皇子様〜、こっちを向いて〜!!」



 と叫んでいるので、多分、こちらがリチャード皇子なのでしょう。

 そして、もう一人は銀髪長身のクール系男子なのです。

 こちらの方はリール=レインだと思われるのです。

 私は何故かリール様が気になり、じーっと見ました。

 何処かで会ったような気がするのです。

 遠い昔に何処かで。

 すると、その視線に気付いたのかリール様も此方を見ました。



 そして、彼と目が合った瞬間、私は気を失いました。



 そして、私の意識は暗く深い所に落ちていきました。

 クリスとスフィアに後から聞いたところ、リール様も私と全く一緒のタイミングで気を失ったらしいのです。



「「二人とも何かとても楽しそうな夢を見ているみたいだったよ」」





  ◇ ◇ ◇


 今から、お話するのはその夢の内容です。

 私が今まで失ってきた前世の「記憶」の全てです。



 私の前世の名前は水原久美。



 こことは違う、地球という惑星のなかにある日本という国に住んでおりました。

 そして、私の側にはいつも一人の男子がいました。



 後々、彼氏となる彼の名前は土井琉太。



 この世界では、確かリール=レインと名乗っています。

 私達は、いつ如何なる時も一緒でした。



 離れることなんてできない程に………


  ◇ ◇ ◇

 


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