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クレアの独白  作者: こはぎ
第1章 クレアの独白
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ドキドキのピクニック

 


 私は前世の『記憶』があるので、とても大人びていることは前にも書きました。

 しかし、皆さん思いませんでしたか?



 クリスとスフィアも大分大人びているんです。



 私は、二人が転生者ではないかと疑い、それとなく聞いてみたのです。

 しかし、違ったようで「頭、大丈夫?」みたいな視線を送られてしまったのです。



 本当に失礼なのです。



 この世界の宗教であるミケラン教では魂の輪廻転生を説いているのですが、あまり浸透してないようなのです。

 私はもちろん信じているのです。



 家族全員ミケラン教信者なのです!!



 と、その話は置いといてクリスとスフィアが何故大人びていたかと言いますと、簡単に言うと貴族だからなのです。

 貴族は小さい頃から英才教育を受けるのですが、その教育の中には政治や話術などが含まれており子供らしからぬ教育なのです。



 かく言う私もその教育を受けたのですが………

 そして、特に二人は小さい頃に誘拐もどきを受けているので他の子供たちより余計に顕著に現れたようなのです。



 まぁ、自分の意見のように言っていますが全部私の専属侍女の受け売りなのです。



 大人びているというのはませているとも言い換えれると思うのです。

 そう。



  スフィアはとてもませているのです。



 クリスはそれほどでもないのですが、スフィアはとてもませているのです。

 大事なことなので二回言ったのです。



 つまり、どういうことかと言いますと私とクリスが付き合ってから何かと煩いのです。

 やれ「キスはしたのか」とかやれ「手はつないだの」とか………。

 そんなスフィアは遂に行動を起こしました。





 その結果、私は今何処かの倉庫らしきところに閉じ込められています。

 流石にどんなに大人びているとは言え、私はまだまだ子供なのです。



 とても怖いのです。



 何故私がこの状況になっているのかと言いますと





  ◇ ◇ ◇


 -それは三時間前のこと-


 私はステラかあさまに呼ばれて客間を訪れていました。

 中にはクリス、スフィア、ステラかあさま、カインとおさま、おじいさま、クリスとスフィアのおかあさまとおとうさまがいたのです。

 この人達がこの場所にいるのは特段不思議なことではないのですが、何故朝八時なのでしょう?



 えっ?起きてすぐきたの?



 私が戸惑っているとスフィアが元気よく言いました。



「きょうは、ステランやまにピクニックにいくわよ!!」



 いや、いやいやいやいやいや

 スフィアは急に何を言い出すのでしょう!



 ステラン山にピクニック!?



 確かに今の時期は紅葉がとても綺麗です。

 しかし、何故今!?



「いまからじゅんびしていたらひがくれちゃいますよ!

 ばしゃのかくほやばしょのよやく、ちゅうしょくなどはどうするのですか?」



 スフィアは私がそう言うのを分かっていたようで「ふふふ」と笑いながら答えたのです。



「セッティングはかんぺきだよ!

 わたくしがいっかげつまえからけいかくしてるんだもん!!

 さぁ、クリスもクレアもいってらっしゃい!」



 ん?ん?

 聞き間違いでしょうか?

 今、二人で行ってこいみたいなこと言わなかった?



「え?もしかして、ピクニックってクリスとわたくしのふたりでいくの?」

「もちろんだよ!

 あれ?いわなかったっけ?」



 言ってない!言ってない!!言ってなーーい!!!

 ということで私達はピクニックに行くことになりました。

 二人きりで!!!



 めでたしめでたし。



 ってなるかーー!!

 とりあえず抵抗しました。

 ドアから窓から逃げようとしても執事に塞がれて無理。

 最後の頼みの綱であるクリスを見ると、案外ノリノリだった事実。



 私は断れないことを察知して、すぐに着替えに行きました。

 服ももちろんスフィアが決めたフリフリのワンピース。



 本当は着たくないのに…………



 そして、私達は仲良くピクニックに向かったのです。



 二人きりでと言っても執事や侍女がいるので実質二人ではないのですが、でもやっぱり緊張するものは緊張するものなのです。



「クレア、たのしい?」



 と聞いてくるクリスに笑顔で頷くことしか出来ませんでした。

 でも、やっぱり青空の下で食べるランチは最高なのです!!



 ピクニックって最高ですね!!



 日が沈む頃にはすっかり緊張もなくなり、私はクリスとピクニックを存分に楽しんでいたのです。



 帰る時間が来て、私はクリスと手を繋ぎながら馬車に乗り込もうとしました。

 しかし、その時怒鳴り声が聞こえたのです。



「てめぇら、金目の物とその馬車を渡せ!!

 それにその子供二人もな!

 それとそこの女はこっちに来い!

 たっぷり可愛がってやるよ!」



 私の侍女は盗賊に捕まり、私とクリスの元にも盗賊が迫ってきていました。



 私は怯えて金縛りにあったように体が動かなくなっていました。



 クリスは両手を広げて、私を一生懸命に守ってくれました。



 しかし、その手は小刻みに震えていました。

 そして、私は決心したのです。

 前世の記憶をフルに使ってみんなが無事に帰れる方法を探すことを。

 そして、見つけたのです。



 みんなを助けるためなら私は…………



「わかりました。ばしゃとかねめのものとわたくしをわたしましょう。

 だから、ほかのひとたちにきがいをくわないでください!!」

「威勢のいい嬢ちゃんだ。

 よし!その提案のった!

 もし、後をつけたらどうなるかはわかってるだろう。

 おい、てめぇらその女を放してやれ!」



 そう言った盗賊の頭は私を連れていきました。


  ◇ ◇ ◇





 こういうわけで、私は今真っ暗な倉庫の中で手足を縛られているのです。



 いわゆる監禁ってやつですね!



 なんて、呑気なことを考えてる場合じゃないのですが。

 さて、どうやって脱出しましょうか?



 私はロープで手足を縛られています。



 これぐらいはなんとかなるのです。

 私の風属性魔法【カット】を使えば、直ぐに自由になれるのです。



 後は、鍵がかかった倉庫のドア。



 これも火属性魔法【メルト】を使えば大丈夫なのです。

 そして、一番の問題はこのドアを出てからです。

 多分、外には見張りが最低でも一人ついているでしょう。



 さて、これをどうやってくぐり抜けましょう?



 これは私が新たなオリジナル魔法を作るしか解決方法はなさそうです。

 私は、暗い部屋の中で頭をフル回転させながら考えました。

 手が使えないって案外不便なのです。



 何も書けないのです!!



 そして、私が思いついたのは、透明人間になれちゃう魔法でした。

 そこから、頭の中で何となくメカニズムを考えたのです。

 この工程を吹っ飛ばすと、何かしらバグを起こしてしますのです。

 こういう時、役に立つのが前世の『知識』なのです。



 本当に、便利なのです!!



 -1分後-


 ははは………

 全く苦労しないで作れちゃうのが怖いところだと、自分でも思うのです。

 私の10個目のオリジナル魔法、無属性魔法【スケルトン】の完成なのです!!



 私はすぐさまこの作戦を実践することにしました。



 まずは、手足のロープなのです!!

 これは、簡単に風属性魔法【カット】で解除することができました。

 次の倉庫のドアの鍵も、火属性魔法【メルト】で一発なのです!!

 そして、私は渾身の無属性魔法【スケルトン】を発動して、外に出たのです。



 その効果は覿面で、私は誰にも気づかれず外に出ることができました。



 幸運なことに私が閉じ込められていた場所は先ほどの場所からそう離れていませんでした。



 なので、私は無事に家に帰ることができました。

 もちろん、無属性魔法【ダッシュ】を使ってです!!

 普通は、馬車で1時間の所この魔法を使うと、10分で着いてしまうという優れ物なのです!!



 呑気に「ただいま」と言って、私は家の中に入りました。



 何故か、ドアの目の前に集まっていたみんなにとても驚かれてしまいましたが………



 そして、私は軍の最高責任者であるおじいさまに盗賊のありかを告げると、その1日の幕をおろしたのです。




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