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ファンタジー系乙女ゲーム「プラクの王子様」
これが私の現世界である前世の乙女ゲーム。略して「プラプリ」。
私はこの世界に生まれ物心ついた直後、すぐにこのゲームのことを思った。
なぜかというと、このゲーム特有の世界観がまるっきり同じだったからだ。
このゲームの世界には「プラク」と呼ばれる不思議な力が存在する。
一部の選ばれた人間にしか使うことの出来ない不思議なその人だけの力。
超能力というにはあまりにもファンタジーに富んでいて、魔法というにはあまりにも特定的すぎるその力は、この世界では「プラク」という名前で当たり前のように存在しているのだ。
ある者は「物を浮かせること」ができ、ある物は「犬に姿を変えること」ができる。それは十人十色。その人によって違う。そして一部の人にしか備わっていないもの。
私は物心ついてすぐ、母親の「プラク」を目の当たりにし、そしてそれを「プラク」と呼ぶ姿を見て気づいたのだ。
ちなみに、この世界での私の名前は、富士峰カナン。
ゲームじゃ悪役令嬢の取り巻きBぐらいにいた名前だ。