047
レナ
「失敗したわ~」
開口一番、第一声はこれだった。
レナはシェイオラと面々のやり取りは聞いていたが、いまいち難しい話で理解には及んでいなかった。
話が変わってモンスターに手を焼いている、困っているという話になり急に名乗りを上げたのであった。
困っている人を見過ごせない、だからこそ今回だって仲間を迎えにここまで来たのだった。
しかし、少し後悔した。
レナは虫が嫌いだった。
レナ
「アカンアカンアカンアカン!!!虫はアカン。虫は無視っていうやろ!」
巴
「はーい、言い出した本人には拒否権ありませーん。」
レナ
「う…うぇーん…。」
レナは巴に後ろから背中を押される形で歩を進めていた。
吉継
「なんだ、思った以上に嫌そうだネ。」
巴
「吉継さん、すみません進行スピードを落としてますか?」
吉継はレナに声をかけたつもりだったが後ろにいた巴が返事をした。
吉継
「いや、そこまでではないから問題ないかナ。」
二人のやりとりも耳に入っていないレナは絶賛イヤイヤモード。
吉継は見かねて声をかけた。
吉継
「レナ、あれは虫じゃないヨ。モンスターさ、冒険者はモンスターには恐れず立ち向かうものサ!レナは炎雷の大魔導師でショ?あんなのに負けてどうするのさ。」
レナ
「だって…だって虫は嫌いなんだもん…。」
顔をボロボロにしながらレナは声を振り絞って答えた。
吉継
「じゃあ帰るかい?アキバへ。僕が死送ってあげるけど?
…いやでしょ?レナはみんなとわいわいするのが好きだ、僕もだけど。
自分がいないところでみんなが盛り上がってるのは悔しいでしょ?」
吉継はいつのもゆったりとした作られた口調ではなく、素の口調で話をした。
レナ
「そうだよね、流石たかつんはわかってんじゃん…。」
レナは吉継の本当の名前のほうのあだ名で呼んだ。
吉継
「さ、さっさと片付けてアキバにみんなでかえろうヨ。」
レナ
「そだね!うぉっしゃー!やるでー!!」
レナは元気を出して歩き始めた。
巴
「……。」
巴は吉継の凄みに一人驚いていた。
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一行は順調にダンジョン最深部へ進んでいた。
最深部といっても大湿原なので地下があるわけではない。
フロアを奥へ奥へと進んでいく。
やはり昆虫系のモンスターは対峙しても倒しても気持ちが悪く女性陣は我慢をして倒しているのがわかる。男性陣も気味悪さを感じながらも女性陣が奮戦しているのに…っと戦っていた。
モンスターは蜘蛛が多く、被害を出していたモンスターも蜘蛛だったので情報に間違いはなかった。
開けたところに出た。
このダンジョンの最深部の目印である大きな木。ゲームだったころと変わらず大きな木であった。
何度来て採取や討伐をした木。
着いたときに空気が変わったのを全員が肌で感じた。
フロアの隅には蜘蛛の卵が無数にあり冒険者たちを取り囲む。
ベアード
「ボスの姿が見えない…。」
フロアの中央部まで来ても姿が見えない。
一角
「っすね、俺たちに恐れをなして…。」
一角が言葉を言い切る前だった。
エーヴィル
「違う!!上だ!!」
吉継
「周囲確認!!上から来るヨ!!」
耳のイイ狼牙族の二人が同時に危険を察した。




