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宴も大変盛り上がった。
昨夜は日を跨ぐまで大いに飲み食い、語り明かした。
冒険者一行が起きたのは翌日のお昼に差し掛かる少し前であった。
人数が多かった為、各宿屋に分散したプレイヤーたち。
2Fの部屋から下へ降りるとカウンターの前のちょっとしたスペースにはそれぞれの武器が修理された状態で置かれていた。
戦士職、武器攻撃職の武器防具はもちろん、回復職や魔法攻撃職の武器までもである。
街の鍛冶屋をはじめ細工師・裁縫師などが総動員されて一夜で修理を行ったのだ。
ほぼ完璧な状態へ修理された自分の武器を眺めながらプレイヤーは感嘆の声を漏らした。
「やっとお目覚めかい、冒険者も意外とたくさん眠られるのですな。」
声のする方を見るといかにも鍛冶屋風なドワーフが寝ぼけ眼をこすりながら話しかけてきた。
どうやら修理を終えて、そのままここまで運び込んでくれたようであった。
「さっきウチの使いの者と冒険者の長がやってきたぞ。身支度を済ませたら昨夜集まった広間に集合だそうだ。」
それを聞いたプレイヤーたちは身支度を済ませて鍛冶屋なドワーフに感謝と別れを告げて宿屋を後にした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
場所は変わってほぼ同時刻、噴水のある広間。
街を救った英雄たちの見送りに町の者たちが出てきていた。
昨夜は暗く全体を見渡すことが出来なかったがそれなりの面積のある広間に昨晩以上の人が詰めかけていた。
冒険者たちもその中でメンバーが集まるのを待っていた。
ベアード
「夕べも結構な人が出ていたが昼間に見るとそれ以上だな。」
泳汰
「あの像…、いつみてもうける…ブフッ!」
ベアード
「…。」
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吉継
「シゲ!見てヨ!多々良ちゃんに頼んだ時と同じくらい耐久度戻ってル!そしてこの輝キ!!」
シゲン
「刀バカ!うるさい!そのセリフ朝から既に3回目だし、俺じゃなくて蔵人でも相手にしてくれ!!俺は南下するルートの作戦会議中じゃ!!」
吉継
「シゲが冷たイ!」
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一角
「荷物詰め込みOKっす!」
ミライ
「ちゃんと2回確認した?」
一角
「間違いなく!馬車を格安で確保出来たのはでかいっすね。」
ミライ
「魔法鞄が無い子たちにはかわいそうだったからね、馬車の護衛は自分たちですればいいから補給の回数がこれで減るわね。」
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幹部格の各々は出発まで時間を過ごした。
そのあとすぐにメンバーが集まった、そして間もなくコオリマの戦士達を束ねるオーギュストがやってきた。
オーギュスト
「この度は街を救っていただいたこと、重ね重ね感謝致す。感謝の気持ちとして代々我が〈黒曜の大盾〉に伝わる勇敢な戦士のみが手にすることのできる〈漆黒の大盾〉《オブシディアン・ガードナー》をお渡しする。また来てくれ、来た時にはまたみんなで騒ごう。皆家族よ。」
ベアード
「あぁ、絶対にまた来るさ。」
二人は堅く握手を交わして別れた。
アキバへの帰還勢は広場を後にした。




