002
ベアードがギルドホールに着くとメンバーはテーブルを囲んで待っていた。
「みんな、揃ってるか。」
メンバーはコクリと頷く。
「おめーがビリッケツだよ!」
シゲンが小口を挟む。メンバーがクスリと笑った。
「おおお、そうだったか、待たせてすまない。さっそく本題に入ろう。
どうやら俺たちはゲームの中に入り込んでしまったらしい。」
ホール内がざわつく。
「メニュー画面を見てもらえば分かる通り、現段階でのGMコールとログアウトは不可能となっている。」
何度試してもこの二つは反応がない。
「どうやらこの世界に閉じ込められたらしい。現段階で何か分かっているものはいるか?」
「ったり前だよな…。俺がアプデと共にログイン!新クエで楽しもう!なんて言わ なければみんなを巻き込むこともなかった…。だが、こうなってしまったからに はみんなで協力してこの世界から脱出しよう!」
「「おおーー!!」」
ホールで歓声が沸く。
「こんな状況で慌てふためいて嘆くこともなく一致団結とは、まだ夢だと思ってい るのか…。はたまたただのゲームバカなのか…。何にせよ揉めなくてよかったわ。」
「シゲン、その通りだよ、これからどうしたらいいと思う?」
「まぁ~情報集めたり衣食住の確保じゃないか?」
「よし、班を分けて行動しよう。食べ物を集める班、情報を集める班に分かれて動くように。」
「「ういーっすっ!」」
次々にホールから退室して行動を開始するメンバーたち。
「俺らも動くとしよう、知り合いに手当たり次第に念話してみるか?」
ベアードはシゲンに聞いた。
「そんなんみんなメンバーが勝手に合間見てやるっしょー?
あるじゃん?重要なお役目がさっ!」
シゲンはニヤニヤしながらベアードに詰め寄って耳元で囁いた。
「フィールドに出て一戦やってこようぜ!」
「はぁ??こんな状況で何言ってんだよ!」
「怒らない怒らない!実はもう段取りはお前さんが来る前に話はつけてあってさ、あとはお前がこの船に乗るだけなんだが…。」
「用意周到と言うかなんというか…。そんなこと言われたら断るに断れないだろう、はいはい、乗ります乗ります。そのタイ○ニック号に乗せてください。」
「うおおおい!その船沈むじゃねーか!それは勘弁な!」
「そうだな、これがゲームなら、死んでも神殿送りで済むけど、もしいつもみたいに生き返りができなかった場合を考えると…な?」
「まぁ、神殿送りにならない程度にっつーことでさ!」
「はいはい、シゲには敵わないわ。」
「おうよ、待ち合わせは旧アキバ駅出入り口。合流後静かーにフィールドに出るぞ。」
「確かにこの騒ぎじゃ堂々と出て行ったら目立つな…って行くメンバーはギルメンじゃないのか?」
「俺の知り合いなんだけどさ、同じこと考えてて、こんな事態でもお外に出てみたいんだって。」
「うーん、頭が弱い人なのかな?」
「おう、会ったらチクるぞ!んだってあこがれのゲームの中だぞ!楽しみたいだろー!」
「わかったわかった軍師殿にお任せしますよ、行くぞ!」
ここはゲームの中なのか、現実なのか、
彼らはわからないまま一先ず同行者との合流地点へと向かう。