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セララ
「しるきーちゃん!!」
しるきー
「こんなに早く会えるなんて思って無かったよ!!」
ススキノで一旦別れた少女達は再開の喜びに声をあげた。
シゲン
「よう、念話以来だな。こっちでは初めて会うな。シロ。」
シロエ
「そうですね、はじめましてシゲンさん。」
シゲン
「他人行儀は止してくれよ、ススキノまでの道程なんて言い出すからなにかと思ったがこういうことだったのか。」
シロエ
「ええ、マリ姉のギルドのメンバーがススキノから戻ることが困難と言うことで…。」
言葉を濁らせ料理の手伝いをしているセララの方へ視線を飛ばすシロエ。
直継
「なんだよシロ、そんなに恥ずかしそうにして、胸を張って言うんだ祭りだぜ!」
アカツキ
「そうだ主君、こんな状態の中人助けとは人がイイにも程がある。しかし、そこがいいところでもあるな。」
シゲン
「いい仲間が出来たんだな…。」
シロエ
「はい、僕の我がままにこんなところまで着いてきてくれる最高の仲間です。」
アカツキ
「おお、珍しく主君がデレたぞ。」
直継
「長年一緒にいたが中々貴重な体験だぜ、シロがデレるなんて。」
シロエ
「そ、そうかなぁ…。」
シロエは少し恥ずかしそうに顔を掻いた。
ベアード
「これはアレなのか?あの茶会が復活でもするのか?」
ここに居合わせた古参プレイヤーが頭のどこかで思っていたことを口にした。
シロエ
「あ、いえ、そんなことはないんです。ただあの大災害の日からたまたま直継がエルダーテイルに戻ってきて、アカツキと出会い、ススキノで班長とセララさんに出会って…と偶然が重なっただけですよ。」
シゲン
「にしては出来過ぎだろう?俺も再結成かと思ってたぜ。」
直継
「それにゃ重要なキーパーソンがいねえ。茶会の復活なんかないと思うけどねぇ。俺だってたまたまログインしただけなんだからよ。」
シゲン
「そっかぁ…。」
シロエ
「唐突ですがみなさんはアキバの状況についてはどう思いますか?」
吉継
「雰囲気が悪い、それに尽きるかナ。」
白眉
「横の伝手で中小ギルドを回ってはいますがどのギルドもアキバの雰囲気やギルドの大小で生じる軋轢についてみなさん述べられますね。」
シロエ
「やはりですか…。僕はアキバを統制する何らかの機構を作りたいと考えています。まだ何も計画はスタートしてはいませんが、現実世界へ戻る方法がない今の現状ではこの世界でどのように生活をしていくかが一番に考えなくてはならないと思います。」
それを聞いたその場にいた面々からは感嘆の息が漏れた。
にゃん太
「やっぱりシロエちは出来る子ですにゃぁ。」
少し離れたところでセララやミライと調理をしていたにゃん太は、
出来立てほやほやのシーフード焼きそば運んできた。
直継
「おほー!班長の塩焼きそば!!」
吉継
「はっ!!!シーフード!!」
泳汰
「俺も!!」
にゃん太
「セララさん、ミライさん、みなさんに取り皿を。」
しんみりした空気が一変、戦場と化した。
それを見計らってかベアードとシゲンがシロエの元へ歩み寄ってきた。
シゲン
「何か力になれることがあったら言えよ!俺らダチだろ!」
ベアード
「俺たちにはまだたくさんの仲間がいる。なんでも言ってくれ。」
シロエ
「ありがとうございます…。」
にゃん太
「いい子達ですにゃあ…。」
こうして味のある食事をたらふく食べた一行は気持ちのいいまま眠りへと着いた。




